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尽きるリソース、閃くは

————————————


PN:ジンム Lv:21

所持金:364ガル

PP:0

ジョブ:戦士(盾使い)

-

HP:59  MP:17

ATK:61  DEF:59

SATK:8  SDEF:21

SPD:58  TEC:30

STR:55  VIT:25

INT:10  RES:17

AGI:51  DEX:23

LUK:15

アーツスキル

・シールドバッシュLvMAX ・ジャストガードLv8 ・ジャンプスラッシュLv6 ・パワーキックLv6 ・挑発Lv7 ・トリプルスラッシャーLv2 ・ハードアッパーLv3 ・バリアーナックルLv5


装備

武器1:ライトバックラー

武器2:ブロードソード

頭:レザーキャップ

胴:レザーベスト

腕:レザーグローブ

腰:レザーパンツ

脚:レザーブーツ

アクセサリー:-

アクセサリー:-

シリーズボーナス:SPD、TEC+5


————————————




 シラユキとハンスが攻撃に巻き込まれないよう、二人とは反対側に位置取るようにしてフィールドを走り回る。

 崖の僅かな凹凸を使って可能な限り高く壁ジャンしてから石槍をドン・ヴァルチャーに投擲する。

 石槍は見事に命中こそするが、初撃ほど深く突き刺さっていない辺り、そこまで大したダメージにはなっていなさそうだった。


「チッ……これもダメか!」


 戦闘を開始して十分近くが経過し、気づいたことが二つほどある。

 一つは思っていたよりも簡単に崖を駆け上がれそうなこと、もう一つは鎌鼬についてだ。


 ドン・ヴァルチャーが放つ鎌鼬は、地面を抉り砕くほどの強烈な威力と直径三メートル近い攻撃範囲を誇るものの、そう何度も連発できるものではないらしい。

 おまけに予備モーションが大きいおかげで、見てから回避というのもそう難しいことではなかった。


 つまり鎌鼬の脅威は、そこまで大したことないということだ。

 ……まあ、一発目はガチで焦ったけど。


 それよりも問題なのは、やはり上空に居座り続けられることだ。

 槍投げとシラユキの攻撃術で着々とダメージを与えてはいるが、それでも攻め手に欠けている感は否めない。


 やっぱオークの石槍だと攻撃力が足りないか。

 あと俺のSTRが足りていないのも要因の一つだよな。


 これはJINMUでの経験からの予測なのだが、投擲による射程距離は筋力に依存し、有効射程を超えると威力が減衰すると思われる。


 実際、一番石槍が深く突き刺さったのは初手にぶん投げたやつで、以降はより空高く飛ばれたせいか、刺さってもすぐに抜け落ちて大したダメージには至ってなさそうだった。


「……つーか、やけに体力多いなあいつ。もしかしてドン個体ってHPかなり高く設定されてるのか?」


 減衰した威力を差し引いたとしても、通常のヴァルチャーならとっくに倒していてもおかしくはないくらいにはダメージを与えているはずだ。


(クソッ……HPの多さに関しては完全に誤算だったか)


 まだ弱る気配のないドン・ヴァルチャーを睨め付けながら俺は、インベントリにある石槍の残数を確認しつつ新たに取り出す。


 今取り出したのをを含めて残りあと四本。

 これで仕留められなきゃ、かなり面倒くさいことになる。

 というのも、俺が攻撃の手段を失えばジリ貧になるだけじゃなく、挑発の効果も薄れてヘイト管理も難しくなるからだ。


 挑発の効果をちゃんと発揮させるには、ある程度惹きつけるのに十分なヘイトが存在しているのが前提条件となっている。

 何も危害を加えてくることもなければ、目の前に立ちはだかるわけでもない。

 そんな敵からして無害な奴がヘイトを集めようとしても、無視されるだけだ。


 投げた槍を回収できれば良かったのだが、残念ながらオークの石槍は一度投げてしまうと落下の衝撃でぶっ壊れるくらいの耐久性しかないせいで、その思惑は叶いそうにない。


 こんな事になるならライトシールドじゃなくて、安物でいいから耐久性のある槍を数本買っておくべきだったか。


 今更ながら後悔が頭を過ぎるも後の祭り……結果論でしかない。

 悔やむ暇があるなら、どうやってこの状況を打破するかを探し出すことに脳のリソースを割くべきだ。


 とはいえ現状、ぶっちゃけ八割くらい手詰まりなんだけど。


「……だからって、そう簡単に再走するとか走者の名折れだよなあ!?」


 まだ詰みが確定したわけではないし、今ならまだ全然リカバリーが効く範疇に収まっている。

 それに賭けにはなるが、一つだけ戦況をひっくり返す策は思いついてはいる。


 まあ、実行に移すには確認しなきゃならないことはあるけど。


「――けど、その前に一旦回避っと」


 ドン・ヴァルチャーの翼を羽ばたかせる動作から鎌鼬を予測、横に跳んで攻撃範囲から逃れると同時に後隙を狙って石槍をぶん投げておく。


 何気にちょっとだけ高度を落とすから絶好のカウンターチャンスでもあるんだよな、この攻撃。

 まあ、喰らったら間違いなく致命傷になるんだけど。


 効果は薄いものの石槍が命中したのを確認してから、インベントリから新たな石槍を装備し直した。


 これで石槍は残すところあと三本。

 もう一本たりとも無駄撃ちはできないが、これだけはやっとかなきゃならないことがあった。


 ドン・ヴァルチャーの攻撃に警戒しつつ、俺は残り少ない貴重な石槍を投げ放つ。

 狙いはドン・ヴァルチャーではなく、()()()――これであいつがどんな行動を取るかで賭けに出るかどうかが決まる。


「おまけだ、もう一本!」


 それから巣に石槍が突き刺さるよりも先に、次弾の石槍を巣に向かって投擲する。


(これで残りあと一本――対価に見合った結果を見せてくれよ……!)


 半分祈るように、ドン・ヴァルチャーがどんな反応をと見せるのか意識を集中させる。

 すると奴は、一本目の石槍が巣に突き刺さるや否や、即座に巣に向かって急降下を始め、立て続けに飛んでくる二本目の石槍は身を挺して防いで見せた。


 ――よっしゃ、ビンゴ!!

 これならワンチャン通せる可能性が出てきた。


 しかも命中するまでの距離が短いおかげで、久々に石槍がドン・ヴァルチャーの背中に深々と突き刺さり、ドン・ヴァルチャーの動きが鈍くなる。

 再度動き出すまでの間に俺は全速力でシラユキの元へ駆け寄る。


 この賭けを成功させるには、シラユキの協力が必要不可欠だ。


「――シラユキ!」

「わっ!? ジンくん、どうしたの!?」

「ちょっとシラユキに頼みたいことがあってな。ただ……先に言うとシラユキをかなり危険な状況に晒すことになる。それでも頼みを聞いてもらえるか?」

「……うん、大丈夫だよ。なんでも言って!」

「助かる! それじゃあ、早速作戦の内容だけど――」


 シラユキが力強く頷いてくれたことに感謝しながら、俺はドン・ヴァルチャーを倒すための賭けの内容を手短に説明することにした。

ドン個体に分類されるエネミーは、通常種のエネミーが強化したケースと最初からそのクラスに分類されている特殊個体ケースの二パターンが存在します。

どちらも扱いはボスエネミーですが、戦闘途中でも逃走は可能です。遭遇した際には冷静な判断を。

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