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アルカディア・クエスト~死にゲーを極めたRTA廃人が駆け抜けるMMORPG『理想郷探索Any%盾使いチャート』~  作者: 蒼唯まる
無名の主、踏み入れるは四天の領域

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空中の街に辿り着いて

「——これで終いだオラァ!!」


 盾震烈衝を放った後、リフレックスステップ+ドッジカウンターを掛け合わせたホライズフラッシュでレッサーグリフォンを斬りつけると、レッサーグリフォンは力無く倒れ、程なくポリゴンへと散っていった。


「ふう……終わったか。二人共、GG」

「うん、GG!」


 出現したバトルリザルトを軽くチェックし、振り返りながら言えば、シラユキが笑顔を浮かべて返してくる。

 その傍らでは、チョコがきょとんと目を丸くしていた。


「ジージーとは何のことでしょうか?」

「ん……ああ、GGはグッドゲームの略な。RTAだとタイム計測が終わった時によく使う言葉だ」


 そういやチョコの前で言うのがこれが初か。

 いつもならボス倒した後には毎回言ってたんだけど、昨日は言ってられるほど余裕なかったもんな。


「まあ、お疲れ様みたいなもんだと思ってくれればいい」

「ほうほう、なるほど。GG……なんだかとても良い響きですね。ではちぃも——GGです」


 言って、チョコはぶいぶいと両手でピースサインを作って見せた。


 ——なんつーか、マスコットみたいだな。


「ジンくん、どうかした?」

「……いや、なんでもない」


 流石にこれを口にするのは失礼になるか。


「とりあえず、また出てくる前にエリアを抜けるとしようぜ」




 アドヴェンジ山脈を抜け、尾根を下ればすぐに次の街”エウテペリエ”へと辿り着いた。


「おお……なんか今までの街と結構雰囲気が変わったな」

「うん、そうだね。まるで違う国に来たみたい」


 今までに訪れた三つの街は規模の違いはあれど、どれも欧風の街並みをイメージして作られたものだったが、エウテペリエはガラッと変わっていて、一言で表すと南米風の街並みとなっていた。


 尾根に沿うように築かれた石積みの建物。

 斜面を有効活用した段々畑。

 高い標高から見下ろす絶景。


 恐らくペルーだかにあるマチュピチュをモデルにして作られたのだと思われる。


 西側に視線をやれば霧のような雲が広がり、奥には霊峰が天高く聳えていた。


(へえ……ここからでも結構距離がありそうだな)


「折角だから写真を撮ってみるのです」


 一頻り街を眺めた後、チョコがメニューを操作し、スクショを撮り始める。

 何枚か撮影し、満足げにうんと頷くと、


「それではシラユキさんとジンムさん。お二人ともそこに並んでください」

「ん……いいけど。なんで?」

「記念撮影です。お二人の並んだ写真を残しておくのです」


 ふふん、と笑みを浮かべながらチョコは言った。


「はあああっ!?」

「え、ええっ!?」


 唐突な提案。

 途端、シラユキと声が重なる。


「……嫌でしょうか?」

「い、いや……全く嫌とかじゃねえけど」


 というか寧ろ歓迎ですらあるんだけど。

 だからと言って、心の準備ってもんがあるだろ。

 それに俺が良くてもシラユキが良いとは限らないんだし。


「なら問題ないですね。シラユキさんもそれで良いですよね?」

「え……う、うん」


 チョコの圧に屈するようにシラユキが首肯する。


「それでは、そこに並んでください」


 チョコに言われるまま指定された位置に立つ。


「……本当に嫌だったら、断ってもいいんだぞ」


 並んだ拍子にシラユキにこそっと呟けば、


「……ううん、全然嫌じゃないよ。ちょっとびっくりしただけ」


 と、柔らかな笑顔が返ってきた。


「——っ」


 直視できず、つい咄嗟に顔を逸らしてしまう。


 ——やっぱ破壊力やべえ。


 昨日、思い出すだけで恥ずかしくなるようなことを色々と口走ってしまったけど、天使って表現は本当に的を射ていると思う。


 シラユキってリアル含めて誇張抜きで美少女なわけだし。

 なのに、なんでシラユキ……というより白城に告白してくる奴っていないんだろうな。


 本当に謎だ。

 まあ、そんな奴が出てきて欲しいわけじゃないけど。


「二人共もっと距離を詰められませんか?」

「……こ、こうかな」

「そうです。ジンムさんもあともう一歩」

「……なあ、流石に近過ぎないか?」

「そんなことはありません。さあさあ、ぐいっと」


 指示に従い、一歩分距離を詰める。


 ……いや、ガチで距離が近いんだけど。

 あとちょっとで肩が触れるスレスレだぞ。


(……普通に心臓に悪い)


「では、撮りますね」


 言って、カシャっとシャッター音が何回か鳴ってから、


「——はい、オッケーです。ちぃの我儘を聞いていただきありがとうございました」


 ようやく解放される。


「ううん、これくらいなんてことないよ。ね、ジンくん?」

「ああ。……まあ、急に言われてびっくりはしたけど」


 とはいえ、無下に断るほどのものでもない。


「えへへ、それなら良かったです。あ、撮った写真は後でお渡ししますね」

「ありがとう、チョコちゃん」

「サンキュー。んじゃまあ、チョコの気も済んだみたいだし、そろそろ街の中に入るとしようぜ」


 いつまでも入り口で駄弁っていても仕方ない。

 それにひだりから受け取った()()()のテレポートの使い捨て術巻も試してみたいしな。


 その為にもまずはテレポートの転移先を更新するべく、宿屋に向かうことにした。

書いてたら何故かチョコが気振り勢になってた件。


エウテペリエは雲がかかる程の標高に位置していますが、プレイヤーの認識だとそんなに高く登ってなかったり。

こんな感じにゲーム内における設定としての広さと実際の広さは結構乖離を起こしています。忠実に再現しようとすると、それこそ現実の大陸と同じような広さになって街の移動だけで数日かかるとかザラにしまうので。

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