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皆木のオムニバス作品集

『冬』の『サンタ』さんは『温かい』 

作者: 皆木 亮

「『クリスマス』に、『サンタ』さんには、何を、お願いするんだい?」

 リビングの中で…家猫と一緒に…。

 キャッキャと遊びまわり…楽しそうにしている息子に…。

 不意に…そう告げてみた。



 私は…。

 いつも…この子に感謝していた…。



 その念は…。

 この子が…毎年『サンタ』さんへ感謝する気持ちよりも…。


 多分…大きいと思っていた…。



 妻が…。

 私と別れる時…。



 自分が末期ガンで…。

 最後まで私に面倒を掛けるのが嫌だから、

 別れて欲しいと…せがんだ時、



 それでも…私は…。

 この子には…母親が必要だと思った。



 だから…転居するという妻に…。

 辛いと思うが…最後まで…この子を見て欲しいと…。


 

 例え…その後に…私の下に…この子が戻る事になっても…。

 その思い出は…消えないからと…。



 せつに頼んだ…。



 だけど…妻は…。

 転居する時…。

 この子に…どちらとたいか聞きましょう…。


 と…言ってくれた…。




 嬉しかった…。

 その…妻の優しさが…。


 

 そして…この子は……。

「友達と別れたくないから…ボク…お父さんの所に残る!」

 と…笑顔で…私たちに告げた…。



 それから3年…。

 妻は…向こうの世界に旅立った…。



 この子は…3年が過ぎても…。

 まだ小さく幼く…。



「お母さん…旅に出たっていうけど…また会いたいな…。」

 と…その純粋な気持ちを…。

 私に…いつも…伝えてくれた…。



 この…息子の…優しさが…。


 妻を亡くした私にも…。

 ソロリ…ソロリと…その温かみを…ゆっくり近付け…。



 だから…私は…。

 今も…こうして…。

 温かい気持ちで…この子とれる…。



「天体望遠鏡…!

 天体望遠鏡が良い…!

 友達が、太陽さんや、お月様は、綺麗だけど、

 この地球から、ボクらの目だけじゃ見えないけど、

 天体望遠鏡が有ったら、火星とか木星とかも見れるし、

 流れ星さんも、もっと綺麗に見えるってTVで言ってたって、

 この前、教えてくれたから!」

 この子は…大興奮で…。

 私に…そう…。

 『サンタ』さんに貰いたい『プレゼント』を告げた…。



--------------------------------------------------------------------




 朝…。



 目を覚ますと…。

 

 布団と枕の…もっと上の方に…。




 

 お父さんが…。


「サンタさんにプレゼントを貰う時は…。

 君が寝る布団の…。

 枕の…もっと上の方に…。

 靴下を置いておくと…。

 サンタさんが…その中に入れてくれるから…。

 君も…そういう風に…。

 靴下を置いて…。

 『サンタ』さんが『プレゼント』をくれる準備をして…。

 『サンタ』さんの『プレゼント』を願って…。

 早く…お休みしようね…。

 ちゃんと早くお休みする子にだけ…

 『サンタ』さんは…ご褒美に『プレゼント』をくれるから…。」

 って教えてくれたから置いてた靴下の上に…。


 『プレゼント』が…置いていたんだ…。





「わ~…。天体望遠鏡! 天体望遠鏡!

 『サンタ』さん! ちゃんと来てくれた!」

 ボクは…とっても嬉しい気持ちで…いっぱいになって…両手を上げて喜んだ…。





 そのボクに…。

 先に起きてたお父さんが…。


 優しく微笑ほほえみながら…。




「ホントはね…。

 『サンタ』さんは…。

 靴下に入る大きさの『プレゼント』しかくれないのが…

 『サンタ』さんの…決まりなんだけど…。

 君が…本当に…良い子だから…『サンタ』さん…。

 特別に…『プレゼント』をくれたんだよ…。」

 何だか…まぶしいモノでも見たように…。

 目を…ちょっと…閉じてから…。




「『メリークリスマス』…だね…。

 『サンタ』さんはね…。

 『良い子』にしか『クリスマス』の『プレゼント』を配っちゃダメだから…。

 来年の『サンタ』さんの『プレゼント』も貰える様に…。

 これからも…『良い子』でようね…?」

 と…また…ニッコリと笑ってくれた…。




 ボクも…嬉しくなって…。


「うん! ボク…。これからも…良い子にするね! 『サンタ』さんも大好きだけど…お父さん…もっと大好き!」

 とても嬉しくなって…お父さんに…思いっきり抱き着いた…。



 お父さんは…。

 いつも優しいけど…。



 もっと…もっと…優しい顔になって…。

 そっと…ボクを…。


 優しく抱きしめてくれた…。

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