君とトイレと苦悩の末
皆さん、トイレットペーパーをご存知だろうか。
ご存知だろうか?と、問う以前に知らない人はいないだろう。
一応知らない人の為に説明すると、荒れ狂う荒波を超えた先にある安らぎを享受した後の後始末をする為の一種の神器だ。
しかし、その神器が失われた事に気付いた時、享受していた安らぎは一瞬のうちに絶望に変わり、圧倒的な悲しみを生み始める。
さて、何故、今になってそんな当たり前の事を語っているかというと、私が今。その絶望を目の前にしているからだ。
時は元年とまでは遡らないが、約一時間、私は日課であるバラムツの刺身をおかずにご飯を食べていた時だ。
いつもの通り食べ終わり、今か今かとウォータースライダーばりに腸の中を滑っているバラムツを、迎え打つためにトイレへと赴いていた。
そして、これまたいつもの通り、奴との激しい戦いを終え。いざ、神器に手を伸ばした所、、、なかったのである。
そう、トイレットペーパーが無かったのである。
何を隠そう、私は神器購入の儀を済ませずに合戦へと赴いていた。
腹が減っては戦はできぬ、それと同じく。紙が無ければトイレを出れぬ。
未だ、バラムツが滴る屈辱的感覚をその身に受けながらどう立ち回るかを、考える人のポーズで考える。
到底、本家と思考している事は全く違うと思うがどうだっていい、結局の所考えている事など客観視すれば何を考えてるか分からないだろう、
ならば違いなど椅子に座っているかトイレに座っているかの誤差程度の物。そう、だからこそ、今の私は令和を生きる考える人だ。
故に考える、如何にしてこの危機的状況を打破するか。
一つ一つ慎重に案を出していく。
まず一つ目、今ポケットの中に入っているスマホを使い、友人にSOSを出すか。
却下だ、まず私はバラムツを日課に食べている事は隠している、そして根本的な問題で連絡先を知ってるほど親しい友人が居ない。
二つ目、パンツを完全に脱いでそれを神器の代用として使用。
却下だ、今まで経験則で言えることだが奴の残党兵はパンツ一枚でなぎ倒せるほどの量ではない。故に中途半端に終わることは目に見えている。
三つ目、残党兵諸共、腰に付いている地割れ二つを合併させ、近くのスーパーへ行く
却下だ、単純にヤダ
ダメだ、何も思いつかないではないか。
八方塞がり四面楚歌、今、私は初めてバラムツに王手を、チェックメイトを掛けられている。
もうダメだ、私はこうして残りの余生をトイレで過ごすことになるだろう。
いや、待てよ。
そうだ、風呂場、風呂場だ!風呂場に行き、穴を洗えば勝ちではないか!
なぜこんな簡単な事を思いつかなかったのか、畜生、盲点だったぜ。
然し、もう貴様との戦いは終わりの様だな!!!
次回、「廊下に散らばる元バラムツ兵!」お楽しみに!
連載している小説に行き詰まり、息抜きで書いてみたら一時間で出来上がってしまった