朝を迎える
朝がきたのか?体が重い…
あれ?まくらが違う、腕…?
目を開けると見慣れないものが目に付く
「何これ?」
さわさわと触ると人の温もりを感じる
「くすぐったいんだけど」
「へっ?」
「起きたか?」
「えっ!」
起きあがろうとしても体が重い
「おい、無理するな横になっとけ」
「あらんさま…」
そうだ、昨日アランと夜を迎えたんだった…
急に恥ずかしくなりシーツで顔を隠す
「どうした?」
「昨日のことを思い出しまして…」
「やっと夫婦になれたな…」
シーツ越しにチュっとキスをされる
「いい加減に出てきて顔をみせてくれ」
「無理です…」
どうして夜着も着ていないのか…
「起き上がれるか?」
もそもそと動くが体が重いようだ
「…ハイ」
「もうすぐ昼だけど…ランチにするか?喉乾いたろ?」
「…ハイ」
「ほら」
ローブを渡された
シーツの下で羽織り、妙に生々しいので泣きそうになる
「どうした?」
アランがマリーを覗き見るが顔を見られたくなくて胸にしがみ付いた
「なんだよ、」
そっとアランの顔を見上げると優しい微笑みを浮かべ頭を撫でてくれた
…うん、好きだなと思ったら泣きたくなった
ずずっと鼻を啜ると
「なんで泣いてんだ?後悔した?」
ふるふると頭を振る
「アランの事好きだなって思って」
ぐすんと鼻を啜る
背中を撫でられ
「幸せだよ、ありがとうマリー」
超絶イケメンだ!
もう一生ついていく!と決めたマリー
胸にしがみつき
「キスして…」
小声で言う
「マリー愛してるよ」
耳元で囁かれ、顔をあげたらキスしてくれた
嬉しくて微笑むと
「くそっ!可愛いじゃないか!」
と言われマリーは喜ぶがお腹がコロコロとなった
「…取り敢えず何か口にするか」
「…うん」
ランチは隣の部屋に用意されていた
アンがチラリとこちらを見て、とてつもなく恥ずかしかったが
「おはよう」と声をかけたら
「おはようございます、殿下、お嬢様」
普通に挨拶が返ってきたのでホッとする
ランチをアランに食べさせてもらっていたら、メイドの一人が銀のトレーに手紙を持ってきた。
「えっ?私宛?」
「そのようです…」
眉を顰める様子が嫌な予感しかない…
「誰からだ?」
アランに言われ、差出人を見る
「ジークムント・カイ・ハーラー…?」
首を傾げる
「誰?」
「バカか…帝国の若き皇帝だろうが…」
「急に名前を言われても…」
取り敢えずお茶でも飲んで、落ち着こう
「申し訳ございません、返事を寄越すまで部屋の前で待つと言われ、使者の方がお待ちです…」
「えっ?今…ランチ中なのに」
「申し訳ございません…」
「いえ、貴女は悪くないもの…」
「開けてみろよ」
機嫌の悪いアラン
ペーパーナイフを渡される
カサカサと手紙を開けて読んでみる
「なんて?」
「晩餐を一緒にとらないかって?」
「休日だからと断れ、俺たちは三日間休暇になっている」
「そうなの?」
「さっき母上からの伝言を聞いた」
「お断りのお手紙を書くわね」
サラサラと手紙を書き封をしてメイドに渡す
ランチを食べて、簡素なドレスに着替えさせてもらい、ソファでアランとお茶を飲んでいたら、父リオネルが扉をバンっと開いてツカツカとアランとマリーの座るソファの前の席にどかっと座る
そんな仕草を未だかつて見たことがなかったマリーは恐怖に慄きアランにしがみつく
「…こわいよぉ」
ブルブルと震えるマリー
「お前は、また何をしたんだよ!」
リオネルがマリーを睨みつける
「何ってなによぉ…なんのことよぉ」
「お前らの結婚を許してやったのに…」
バンっと机を叩くリオネル
「帝国から正式に求婚された、お前を正妃にするそうだ!」
「はぁっ?!」
アランが怒りの声を上げる
「俺の妻だよ!心身ともに!生娘じゃない!帝国は許さんだろうが!」
「私も同じことを言った!法律を変えるそうだ!」
「ヤダよぉ、アランと結婚したもん、なんでパパ断ってくれないの…」
ぐすんと泣くマリー
「断ったよ!話も出来ないのなら国に連れて帰るって言っていた!何をした!」
「晩餐の誘いを断ったの…だって休暇中だもん、ひっく」
「それだけだな?」
「ひっく、ゔん…」
「くそっ、面倒だな、結婚させてもダメだったか…今日の晩餐は参加だ!お前も殿下も、両陛下も出席だ、空けとけよ?良いな?逃げるなよ」
「やだぁ、こわいよぉ…」
「レオナルド殿下の時もちゃんとしただろう?今回もちゃんとしろ!じゃないと離婚だ!帝国行きだぞ」
「やだぁ、なんでよ、私何も悪いことしてないのにぃ…」
ぼろぼろと流れ落ちる涙
「仕方ない話をしよう、ちゃんとお断りしてくれよ…一緒にいる約束だろ?」
「アランが、ついててくれるなら…」
「…いくよ晩餐に」
「分かりました、娘がいつもすみませんね…トラブルに巻き込まれる宿命なんですかね?はぁっ…」
「その、少し聞くが、マリーの母親の時もこんな大変だったのか?」
「…いえ、ここまでではないですね…マルベリーの兄弟王子、皇帝や貴方…王族だけで四人とは…頭が割れそうですよ」
「気苦労かけてるんだな、侯爵すまない」
「いえ、貴方にはこのバカ娘を責任とって一生面倒みてもらわなくてはなりませんので、苦労も分かち合えますね…」
「パパ、疲れてるの?お茶を入れるね」
とぽとぽとお茶を入れリオネルの前に出す
お茶を口にしたリオネル
「美味いな…」
「えへっパパ紅茶好きでしょ?一緒に飲みたくて淹れる練習したの!」
にこにこするマリー
「こんなバカな娘でも可愛いんですよ…」
「そうだな」
「鎖で繋いでくれても結構なんで面倒見てやってくださいね…」
「ひどい…鎖はやめてよ!最近パパ怒ってばっかでこわい、前まで優しかったのに!」
「…昔は良かったよ、お前は子供らしくて可愛かった…今はトラブルメーカーだ、頼むから殿下と仲良く暮らしてくれ…」
「アランもなんか言って!私悪くないもん」
「そうだな…」
遠い目をするアラン
「後悔してるの?私と結婚したの…」
「するわけがない!お前はずっとここにいろ!いいか?よそ見をするな俺だけ見てろ」
キュンっとした
「うん、アランかっこいい」
「はぁっ、私は出て行く、あとは二人でなんとかしてくれ」
リオネルが出て行った
「最近のパパは違う人みたいで怖い…」
「人前でパパって言うなよ…」
「あっ!お父様が怒ってばかりで辛い」




