マリー十三歳
なんやかんやと、十三歳にまで成長した、ローズマリア
今年からは学園に通う年になる。
今年から学校へ行くのね。王妃教育もあるし学校もあるし、気が抜ける時間がなくなるじゃないの。
十歳を迎えてからと言うもの、木登り禁止となり、鬱々とした気分の時はお菓子作りや刺繍をして過ごしているのだが、そうすると、お菓子作りの才能に芽が出て、ある美食家に目をつけられた。
しかし侯爵令嬢という身分もあって、身バレはしなかったのだが、沢山の食べたいという要望の元に、レシピ本を出した。
これがヒットすると、新作を作っては小遣いを得ると言う生活になった。
「せめて外に出てお買い物に行きたい」
以前窓から脱出をしようとして、見つかって以来、外には見張りが増やされている。
それもアランの命令の元、王宮から見張(護衛)まで付けられたのだ。
街へ出る時は必ず護衛も付く。
街へ出る時はアランに連絡されてしまうので、『よし!街へ行こう』と計画しても直ぐには出かけられないのだった。
一度面倒で連絡を怠り街に出たのがバレた時は、リオネルとアランに、こっ酷く説教され外出禁止の軟禁状態にまでなったのだ。
はぁー。バザーに出すハンカチでも刺繍しようかしら。
刺繍の腕も元から良かったのだが、益々上達し幻の刺繍技術と言われていた。
家族や友人にプレゼントをしていたが、複雑なパターンの刺繍はこの世のものとは思えず、どこの誰が刺繍したのか!と騒ぎになり、このままではまずい!と匿名でパターンの教本を出した。
これがまた大ヒットとなり、侯爵家の財政は大変潤った。
現世でのヒットメーカーなのを本人は知ることなぞない。
天然な箱入り娘なのだ。
空気の入れ替えでもしようかしら…。
窓の外を見ると、見張りと目が合う。
もう!なによ!と窓から離れようとしたら
遠くの方から馬車が見える。
あれ?うちの馬車ではないわね。
大変立派な馬車である。
王宮の馬車だ、アラン様が来るのー?
姿見で服装を整える。
十三歳になったマリーはやはり美しく、昔の病弱キャラはどこへ行ったやら、頬はピンクで血色が良い。身長はあいもかわらず伸び悩んでいるが、出るところは出てお転婆な女の子から美しい女性へと変わりつつある。
王妃教育のおかげで、人前での所作は美しく周りからは、賛美の声があがる。
アラン様が来る。私何かしたかしら?またお説教じゃないでしょうねぇ。
アランは口調は悪いものの、マリーには甘く優しく、溺愛しているのだが、脱走や外出と言ったことには殊更厳しく(そりゃそうだ)怒るとしつこくとても怖いのだ……。
とあるお茶会にマリーが参加した時に、勝手に惚れ込んだ子息がマリーのお茶に怪しげな薬を盛ろうとした。護衛が見つけ、口にする事はなかったが、その後の処理もマリーの知る所ではなかった。
以前お茶会でマリーに迫った子息たちは、すっかり反省し、社交の場に戻ってきたのだが、マリーの美しさに目が眩み、迫ってきたところを護衛が見つけ処理された。
あの時に子息に囲まれた思い出が蘇り、また男性恐怖症になってしまった。
マリーは家族とアラン以外の異性とは、近づかなくなり、お茶会も女子限定のものと、パートナー同伴で参加するもの以外は拒否するようになった。
それもあって、アランは過保護になっているのだ。今年から学園に行くことになるので、恐らくはその件についてだろう。
コンコンコン
「お嬢さま、アラン王子がお見えです」
「今行くわー」
部屋から出て階段を降り邸のエントランスに向かう。
「マリーだだいま」
とユーリウスが顔を見せた。
「おかえりなさい!」
と笑顔で挨拶をし、軽くハグをした
ユーリウスは十四歳、ますます色気が増し父に似てきた。身長も伸び続けている。
同じ兄妹とは思えぬ身長差だ。
「そろそろ離れたらいかがかね?」
エントランスの扉の前で仁王立ちしているアランが言う
「アラン様、ようこそおいでました」
……まだ離れぬ二人
ユーリウスはマリーの頭を撫でている
「いい加減にしろ」
「「はい」」
と名残惜しく離れる二人
「応接室へご案内します」
とマリーが歩き出す。その横にアランが並ぶ。
アランもユーリウスと同じく十四歳になった。顔は勿論美形だが精悍な顔付きで、女性人気がすっごく高い。アランの近くに寄るだけでぶっ倒れる女子生徒もいると言う。
剣術の腕も中々のようで程よくついた筋肉に腕を絡めるととても安心するのだ。
身長もユーリウスに負けじと、伸び続けている。
「どうした?」
「うん。触れてると安心するの」
「相変わらずだな」
と満更ではない顔をするアラン
マリーが腕を絡めるとその腕に柔らかいものが触れてくる。
マリーは一切気づかない、#天然__バカ__#は治らない。
アランがなにやらぶつぶつと言っている。
…マリーの胸が腕に当たっている。また成長したようだ。身長は伸びないのに……ダメだダメだと、顔を天に向けて葛藤をしている
応接室に入り、ソファに腰掛ける。勿論隣にはアラン。卓を挟んでユーリウス。
「もうすぐ入学だな」
「うん」
「俺は心配でならん」
「どうして?同じ学園だよ?」
「おまえ、男子生徒もクラスにいることを分かっているか?」
「うん」
「大丈夫か?」
「大丈夫かどうかは行ってみないと分かんない」
「ソフィアも一級飛ばしでおまえと一緒に入学する事になっている」
「うん、シャルもリリーもいるしソフィア様も一緒で嬉しい」
「なんかあったら、すぐに知らせろよ」
「心配しすぎて、禿げたりしない?」
アランの髪を触る
「胃は痛くなる事はあるけど髪は大丈夫だ」
「体に気をつけてね」
「おまえと話してたら、色々と考えてる事がバカらしくなる」
「えっ?またなんかした?」
「はー。フランソワも入学が認められた。あいつは学力も高いし問題はないだろう。おまえと同じクラスにでも入れるか…」
「えっ!権力を行使するの?ダメだよ」
「じゃあ誰がおまえをみるんだよ?」
「子守みたいに言わないで!学園で危ないことなんてないと思うけど?」
「あってからでは遅い。護衛は付けるこれは決定だ、いいな?」
「えぇぇー。学園でくらい伸び伸びしたいのにぃ」
とアランに掴み訴える
「私はこの場に必要か?そろそろ出て行っても良いですかね?」
ユーリウスが額をグリグリとしている
「お兄様!学園って危険なところなの?」
「危険ではないが、マリーは女の子だから、気をつけて学園生活を送るのは間違いではないよ。護衛も付けてもらえるものなら、そうしなさい」と優しく言われる
「ハイ決定!入学式には迎えに来る、大人しく準備していろ。話はそれだけ、城に帰るよ、執務が残っている」
「仕事があるのに来たの?王子様って暇なの?」
「またそれを言うか!忙しい中、会いにきたんだよ」
「うん。忙しいから良いのに、手紙で伝えてくれても良いのに」
「会いたかったんだよ…」
「うん」
と見つめ合う二人
アランがマリーの頬に口付ける。
「わたしは何を見せられているのでしょうか?殿下そろそろ帰ってください」
「時間だな。マリー同じ学園に通えるのは嬉しいんだよ。同じクラスだったら良かったのだが」
「お昼ご飯一緒に食べてくれる?」
「勿論、昼は一緒に過ごそう」とまた頬に口付ける。
「ユーリウスが怖いからそろそろ行くよ」
とアランが帰って行った。
相変わらず仲がいいんだね。もう嫉妬という感情すら忘れてしまったよ
ユーリウスは二人の相手に疲れていた




