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過去

***


私が作られたのは三十年前。そして、王族として。

聞いてない?それは美幸が覚えてないだけだよ。話を続けるね。

生まれたばかりと言っても、私たちは機械だからそんなの関係ない。すぐに言われた事、やらなければならない仕事をこなしていく。

王族として作られたから私は飛び抜けて優秀にプログラミングされている。

ある日私は、いつものようにリラックス効果…つまり、熱が上がってくると寄る場所へ定期メンテナンスをしに行った。

だけどいつも聞こえてこない声が聞こえてきたんだ。


『あははは!なにこれ、くるくるする〜!』


『誰だ。』


『へ?』


当然私は不審者だと捕まえようとした。だけど、その不審者…ではなく女の子は人間だった。この星にはいない、生身の。

思わず凝視すると、その少女は私の手を引いて、無理やりコーヒーカップに乗らせた。


『一緒に遊ぼう?』


『いや、私は仕事がーー』


『えー、一人じゃつまらなーい。少ししたら帰るからいいでしょ?』


強引な誘いに当然断って立ち上がったのだが、少女は大声をあげて泣いてしまった。


『うぇぇぇぇえ!!お兄ちゃんあそんでくれないーー!!』


『弱ったなぁ』


機械である私は最初から頭脳がトップクラス。なによりも効率重視であったので、この少女を無断で入れるよりは願いを聞き入れて大人しくさせようと思ったのだが…突然慌てたように立ち上がったんだ。


『ま、まずい!そろそろ帰らないとお母さんが心配しちゃう!』


『家?それよりなんで君はここにーー』


『じゃあね!また明日も来るから!』


『ちょっ』


そう言って空中を飛んだ。そんな非現実な出来事に、聞きたいことがあったのも忘れて止まってしまった。

少女は空を目指していくと、見えなくなった。嵐のように過ぎ去っていったが、追い出すという目的は達成したから私は考えから追い出して、メンテナンスを開始した。


だけど少女は言葉通り毎日来て、私を遊びに誘った。


『今日こそ遊ぼうよー!』


『だから私はーー』


『良いでしょ?』


『……分かった』


『やったぁ!!』


断ったら泣き出す。だから毎回私は遊んでいた。

そんな風に感情豊かな人間の少女と過ごす内に、だんだんと私にも感情が宿されていった。AIとは違う、本物の。


恋愛感情だ


太陽に笑う少女に私は惹かれていって、気持ちが抑えられなくなった私はプロポーズをした。

会ってから三ヶ月経ってのことだった。


王族だと知ってもカッコいいと褒め、機械だと知っても気にしないと言ってくれた少女に、私は覚悟を決めて膝をつく。


『どうしたの?』


『ねぇ私と結婚してくれない?君が好きだ。愛してる』


『…機械だから好きっていうのは分からないって言ってなかった?』


『それは昔の話。今は殆どの感情をもっている』


『……よく分からない。だけど、私もね、お兄ちゃんのことすき、だよ』


『なら…』


『うん、お嫁さんになる!』


はにかむような笑みは、どんな景色よりも素晴らしかった。

完結をしたいいいぃいいい

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