36. 邂逅
「あれ……?」
気が付いた時、フィーリアは一人で立っていた。
ここはどこだろうと見渡しても、辺りは真っ暗で何も見えない。
──―……イ
「え?」
──―……シイ
──―……サミ シイ
「だぁれ?」
子供だろうか
くぐもったような小さな声に、フィーリアは辺りを見回す。
でもやっぱり辺りは真っ暗で、いくら目を凝らしてみても何も見えはしない。
──―……サミシイ
────―……カナシイ
────―……ダレ カ
じわりと胸に浸み込んでくるような、哀しそうな苦しそうなその声に、フォーリアの胸がズキリと痛んで、
そして、気付く。
あぁ、これは"あの時の声"だ と。
────―……サミシイ
──―……カナシイ
「お願い、教えて。 どこにいるの?」
フィーリアの声は届いていないのか、
その誰かは、ただただサミシイ カナシイと繰り返す。
「ねぇ、あなたは誰?どこにいるの?」
必死で声の出所を探ろうとするけれど、反響しているような、遠くからも近くからも聞こえるような声に、フィーリアは闇の中をうろうろと彷徨う。
「さっきの声もあなたでしょう?──ねぇ、どこにいるの?」
フィーリアは一生懸命、話しかけ続ける。
「私はフィーリア。フィーリアっていうの。ねぇ、あなたは?」
どこに視線を向ければ良いのかも分からない。
少しでも遠くに声が届くようにと、フィーリアは少しだけ上を向いて、大きな声を出す。
──フィー… ア……?
ぽつんと、声が応えた。
「!!そう、フィーリア。あなたは?どこにいるの??」
──クライ……
「うん、ここは暗いね。ねぇ、近くにいるの?こんなところ、一緒に出よう?」
サミシイ……
ダレカ──……
「私、手を繋いであげる。だから一緒に出ようよ」
近くにいるのかも分からないけれど、必死に手を伸ばす。
ダメだと思った。
こんなところで、一人で寂しい哀しいと繰り返していたら、絶対にダメだと。
何が何でもここから連れ出さなければいけない、と。
じわじわと哀しみに侵食されていくような闇と、キリキリと締め付けられるように感じる胸の痛みに、
フィーリアの瞳から自然と涙が零れた。
「こんなところ、出よう。私、絶対離さないから。ちゃんと、手を繋いであげるから……ねぇ──」
──………
どこ?と続けようとしたフィーリアに、小さな小さな声が、何か応えた気がしたけれど。
「っ!!待って……!!」
急激に身体が浮上するような感覚を覚えて、フィーリアは慌てて闇に向かって手を伸ばす。
「待ってて……!迎えに、行くから……!」




