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01. プロローグ

泉水紗良(♀)、16歳。日本で高校生をやっていました。


顔面偏差値はそんなに低くはなかったのですが、周りから言わせるとどうやら中身はかなり残念だったようです。

というのも、いわゆるゲーオタというやつでした。

どんなジャンルでもやりますが、RPGには目がありませんでした。


ちなみに職業は魔法士とかの補助系が好きです。

ガシガシ前線で戦うよりも後ろから魔法で攻撃したり回復したりするのが好きでした。

エルフな美少女とか素敵じゃないですか?(涎)


ゲームの事を考えている時が何よりも幸せでした。


でもそれは過分に親の影響だと思うのです。

父はゲーム機は据置・ポータブルに関わらず片っ端から持っていたし、母はファンタジーなんかが大好きでどでかい本棚を持っていました。


子どもの頃からゲームと本に囲まれた、そんな中で育ったのですから文句を言われても困ります。不可抗力です。



✧✧✧✦✧✧✧



土屋悠人(♂)、16歳。日本で高校生をやっていた。


顔面偏差値は並……の上と言わせて欲しい。

身長は平均より高かったのが、容姿についての唯一の自慢ポイントだ。


隣に住んでいた幼馴染の紗良の影響でかなりのゲームをやってきた。

面白いとは思うけど、あそこまで鼻息荒くはなれなかったな……

紗良は異常だ。黙って立ってれば美少女で通るだろうに……


紗良のせいで何故か周りからはゲーオタのレッテルを貼られていたが、どっちかというと身体を動かす方が好きだった。

部活は陸上部。


まだこれといった専門競技を決めていなかったので、顧問と相談して順番に一通りの競技をお試ししていたところで、最近は高飛びにハマりつつあった。




❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊


そんな二人に運命のイタズラが襲いかかったのは、テスト前で部活禁止期間に入ったばかりの日の、学校からの帰り道だった。

普段は帰宅部の紗良と陸上部所属の悠人は別々に帰宅しているが、部活禁止期間は何となく一緒に帰っていた。


「ねーねー、悠人。今夜ヒマ?」

「一応勉強予定だけど……」

「うん、分かった!一狩りいこーぜ☆」


親指を立ててウィンクなぞかます幼馴染に、悠人は無表情で視線を送る。


「素材が足りなくてさ~」

「人の話聞いてた?」

「うん!軽く勉強したあとはヒマって!」


"一応勉強予定"が何だか都合よく変換されている。

悠人からすれば慣れた話だから、頭の中で軽く帰宅後のスケジュールを弾き出す。

幸い悠人は学業の成績は悪くはなかった。一夜漬けで半泣きで詰め込むような必要もなく、軽くテスト範囲をさらえば良い程度だ。

今夜はテスト1番手の数学をさらう予定だった。数学は比較的得意科目だ。


「んじゃ10時くらいにINで良いか?」

「全然オッケー!」


ありがとーと笑う幼馴染に、悠人はテスト前のいつものセリフを投げかける。


「お前は勉強平気なのか?」

「文系は大丈夫!!」


良い笑顔だ。

紗良は本人曰く『典型的な文系人間』らしく、理系科目はハナから捨ててかかっている。

かといって赤点を取るほどではないから、基礎力は問題ないのだろう。


「10時まではやっとけよー」

「ドリョクシマス」


うふふ、と笑う紗良に、やんねーなこれはと悠人が思ったところで、ふと先の交差点に視線がいった。


この辺りでは大きな道で、車がひっきりなしに行き交う交差点。

そこで犬の散歩中と思われる小学校2・3年生くらいの少女と母親が信号待ちをしている。

特段変わった光景ではない。


けれど悠人は何か違和感を感じた。


何が、とは言えない。

はてと首を傾げてそのまま悠人と紗良も信号待ちの仲間に加わったところで、隣にいた紗良があっと小さく声を出した。


少女の脇で大人しくしていた犬が突然吠え始めて、交差点内に向かって駆け出したのだ。

するりと少女の手から離れるリード。

咄嗟に追いかける少女と、叫ぶ母親。


悠人の横から紗良が走り出した。


何か思う間もない。

紗良を追って、悠人の足も自然と動いた。


運悪く交差点には大きなトラックが入ってきていた。

紗良が少女を突き飛ばす。



──トラックと紗良の距離は、突き飛ばしても引き戻しても、きっと間に合わない。



妙にスローに感じる景色に、冷静にそう判断した悠人は紗良の腕を掴んで引き寄せると、そのまま自分の胸に抱き込んだ。


せめて、これで紗良の命だけでも守れれば――



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