初恋〜My delusion〜
島崎藤村さんの『初恋』を読んで膨らんだ妄想をそのまま文章にしてみました。
完全に自己満足用の作品ですが、読んでいただけるとうれしいです!
秋のある夕暮れ時
僕は恋に落ちた。
たくさんの林檎の樹の下に佇む少女。
独り彳むうら若き少女。
あどけなさが残る顔に微笑みがうかぶとき、
少女の花のような愛らしさに目を奪われた。
僕はいつものように家を出て、散歩していた。
特に意味はない。ふらっと散歩してふらっと家に帰るのが僕の日課だった。
だからその日も、唯ふらっと散歩に行って、
そして、見つけたんだ。あの少女を。
沢山の林檎の樹の下に立つ。
花櫛のさしあげた前髪から、少し幼さの残る顔が見えた。
立ち止まり、思わず思う。
『まるで、花のように愛らしい。』
しばらく少女を見つめ続けた僕は、足早に家へ帰った。
歩調のせいだと思うが、胸がドキドキしていた。
また、散歩に行く。
あの少女もまた一人、立っていた。
そして僕も、少女をみていた。
目が、あう。
少女は少し驚いた顔をしたが、ふっと微笑んだ。
「これ、どうぞ?」
こてん、と首を傾げ、りんごを差し出す。
「あ、ありがとぅ…」
上擦った声で応える。
少女の白く細い指に包まれたりんご。
紅いりんごでいっぱいの樹の下で、
僕は初めて恋に落ちた。
それから毎日のように、僕は彼女と会い、話し、楽しんだ。
月日が経ち歳を重ねても、僕等は会い、話す。
いつもころころとした声で笑う彼女を
僕はとても愛おしく思うよ。
ほぅ、と僕がつく息が、彼女の髪を揺らしてくすぐったそうに笑う。
僕がキミのことを好いていること。
きっとキミは気づいてくれているだろう。
そして、きっと、
受け取ってくれるだろう。
また、いつもの散歩に出かける。
でも、今は隣にキミがいる。
もう、幼さは残っていないその顔で
ころころ、と昔と変わらない声で笑う。
少し、あかぎれで皹が入った白く細い指で。
林檎の樹の側にある、小さな小さな道を指す。
「ねぇ、あの道。」
お互い、いとおしげに、微笑みあう。
あの時と、同じ笑顔で。
「いったい、いつできたのかしら?」
詩の良さを出しきれていないのがすごく残念ですが、楽しくかけました。
文章の中でも、言葉遊びやリズム遊びをかけてみました!
初々しい恋愛って甘酸っぱくていいですよね〜。
感想などよろしくお願いします(*´꒳`*)
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