美味しい食事と自己紹介
前回言った通り、能力説明会です。ついでにキャラの名前も。
『それにしても、この煮っ転がし美味しいですね。』
『だろ?』
『えっ?』
僕がふと漏らした料理への感想に日本語での返答。黒髪の男の人がこちらに向けて満面の笑みで親指を立てています。
まさか、日本人ですか?もしくは僕と同じ敬意の…
『なあ、お前、日本人だろ。』
そのまさかでした。
『はい』
『やっぱしな、多分転生だか転移だかした時に言語翻訳貰えなかったクチだろ。』
『お察しの通りです。』
『まぁ、ここで会ったのも何かの縁だし、よろしく頼むわ。』
よろしくされました。悪い人じゃないみたいですし、まぁ良いか。
『そんじゃ、改めて自己紹介しとくか。俺はユズキ。ちなみに俺は転移したクチ。まあ、同郷同士よろしくな。』
何とも気さくなお兄さんです。
ユズキさんに紹介される形で、赤髪、銀髪、金髪、お婆さんの順に、“リコリス”さん、“スノー”さん、 “リオン”さん、“レシア”さん
ちなみに、ユズキさん以外は転生者だったみたいです。更にユズキさん含む全員に、僕みたいな能力があるみたいです。
『ご丁寧にどうも、改めまして、僕はシンシアと言います。今日は何から何までありがとうございました。』『『『×××××』』』
『三人も【どういたしまして】だとさ。』
『よろしくね、お嬢ちゃん。それより坊やって言った方が良いかい?見た所行く宛も無さそうだし、暫く此処で暮らすと良いよ。』
レシアお婆さんの発言に、場の時が一瞬止まりました。つか日本語話せるんですね。
そうして食後に改めて自己紹介となりましたが、レシアお婆さんもある程度日本語話せるみたいです。お婆さんは旦那さんが日本人だったそうで、流暢とまではいかないまでも普通に話してました。お婆さんと赤銀金の四人はそれぞれ、南米系、ラテン系、北欧系、アジア系。お互いに使用言語が違うから共通語として話せるこっちの言葉を使用しますよね。結果、意思疏通が更に困難となりましたが…。
しかし同郷出身が居て助かりました。元日本人の男と知られた時は大爆笑されましたけど…ちくせう。
年齢の方も驚かれました。こっちの世界での僕は設定年齢15歳らしいのですが、どう見ても10歳かそこらにしか見えないとの事…。ちなみにリコリスさん15歳、スノーさん18歳、リオンさん12歳でした。欧米人には背の低いアジア圏の人種は幼く見えるそうなので、仕方ないにしても…リオンさんにも年下だと思われてたんですね。
まあ、生前から世が低くて、やや女顔ではありましたけど…ありましたけど。
……ちくせう。
そんなこんなで夜も更けて…からの翌朝。
『そう言えばお前、どんな能力貰ったんだ?』
食事の際のふとした会話から、それぞれの能力の話題になりましたが、僕には応える事が出来ません。
何せ、ろくな情報も無しに能力与えられて全裸で放り出されただけですからね。言葉も解らず、性別すら変えられて。
『すみません、僕もよく解ってないんです。カミサマに聞いた話によると、“曰”や“謂”、“格”を付与する能力と逆境に適応する能力らしいんですけど…』
『おいおい、よりにもよって三つ持ちかよ。』
『まあ、よく分からない僕の能力は置いておいて、皆さんはどんな能力なんですか?』
『俺の能力は掌サイズの無機物に“弾”を付与する能力だな。あと、視界にある任意のモノに“的”を付与出来る。』
徐に小石を取り出したユズキさんは、
『“指標”』そう言って、壁に居た黒いアレを指差し、『“誘導弾”』と言うと、小石を放り投げました。
すると適当に放り投げられた小石が黒いアレに向かって飛んで行きました。
黒いアレが逃げるのを追う様に、物理法則を無視した軌道で飛ぶ小石に対して、“開いた口が塞がらない”とは、まさにこの事でした。
何処ぞの霊界探偵漫画の狙撃主みたいな能力ですね。