カミサマとの謁見
初投稿です。
『っ…真っ暗だ、此処何処だろ?意識はある、身体は…つか無いよ、手も足も!考えたくないけど…僕は死んじゃって、魂だけって奴かな?』
本人の想像通り死んで魂だけとなった少年、名前は と言う。
『まぁ、あれだけでかい瓦礫の下敷きになったら死んでもおかしくないけど、上手く隙間に収まって一命を取り止めた…みたいな奇跡くらいあっても良いのに…。』
数時間前______
『おい、地震だ!結構でかいぞ!!』
逃げ惑う人々とそれを誘導する係員の声が響く
『慌てないで下さい!まずは小さなお子さまや女性の方、それから御身体の弱いお年寄りから優先して下さい!!』
『そんな事言ってたら逃げ遅れるだろうが!』
係員の声を無視して我先に避難しようとする人々
その際、一人の男が幼い少女にぶつかり、その勢いで尻餅を付く少女、その手から持っていたぬいぐるみが床に落ちる
『きゃん!』
直ぐ様少女を抱え起こす母親らしき女性
『邪魔だ、ガキ!んな所に突っ立ってんじゃねぇ!!』
『っ!ユカちゃん急いで!』
________
『ママ、みーちゃんが居ないの…』
避難を終えた人々の喧騒の中、母親らしき女性が泣いてる女の子を宥めている。
『後でまた買ってあげるから、ね』
はその女の子に近付き
『その子、君のお友達?』
『お姉ちゃん誰?』
女の子と目線を合わせる様にしゃがみ込む
『僕はニシアラタって言うんだ…って言うか“お兄ちゃん”だからね、君は?』
『 ユカ』
『 そっか、ユカちゃんって言うんだ、どうして泣いてるの?』
『みーちゃんが居ないの』
『じゃあ“みーちゃん”は僕が助けてきてあげる、だからお母さんと良い子で待ってられるかな?』
『お兄ちゃんが?ホント?』
泣きながらそう訊ねる少女に
『僕と ユカちゃんは、もうお友達でしょ?だから“みーちゃん”と僕もお友達…』
女の子に笑顔で答えながら、 頭を撫でてやり
『 ユカちゃんが危ない事したらお母さんが可愛そうだよ?代わりに僕が行って来てあげる』
『うん』
そう言うと、女の子の頭から手を離し、踵を返し建物へと戻る
その数分後、一際大きな揺れが辺りを襲った。
『死んじゃったのは仕方ないけど、せめてあの娘の友達は助けてあげたかったかな…人じゃなくてぬいぐるみだけど、しかも猫だけど。』
ピンポンパンポーン、、、
『ようこそ死者の皆、ボクは君らが言うカミサマって奴だよ、これから君らには天国か地獄に行って貰いまーす!あれ、ちょっと暗いよ皆、せっかくのカミサマとの謁見だよ?』
やたら軽いノリで声を張り上げる少年とも少女とも付かない声の主
数分とも数時間ともしれぬ時間が過ぎた後
『嗚呼、そうそう君々、ちょっと話があるから残って貰って良い?』
カミサマに呼び止められる
『僕ですか?』
『うーん、君にも分かる様に人の寿命を蝋燭に例えて説明すると………本来此処に来るのは蝋燭が燃え尽きた人達、…つまり天寿を全うした人達なんだ。ちなみに、人によって蝋燭の長さや燃える速さは違うからね。』
『じゃあ僕が死んじゃったのも寿命って奴だったんですか?』
『とは言え、君の場合はちょっと特殊なんだよね…蝋燭の火が着いたまま蝋燭が倒れた状態と言うか、本来此処に来るべきでは無いと言うか…要するに天寿を全うしてない事になる。ちなみに【不慮の事故】ってあると思うけど、あれ全然【不慮】でも何でもないから、一部を除いて、寧ろちゃんと死亡フラグ立ってるからね。当局では【天寿全う扱い】だからね。ついでに君らが言う天国も地獄も、僕ら神にとっては【来世の為の魂の関門】に過ぎないよ。悪人は地獄で数年から数百年掛けて魂を浄化し、善人は天国で現世に置ける未練や後悔を忘れて貰う…そうやって魂って奴は生まれたり死んだりを繰り返してる訳だけど、君はその蝋燭が燃え尽きてない状態だから天国にも地獄にも行けないんだよね』
『だったら生き返らせてくd『嗚呼、それは無理!』』
皆まで言わせないとばかりに神は の言葉を遮る
『だって君の身体、もう無いから』
肉体があれば失意体前屈、“orz”の体勢で凹んでいたであろう
『とは言え、今までそう言う例外が無かった訳じゃないから、一応救済措置として……君には君が居たのとは別の世界で【天寿を全う】して貰います!』
神を称する者がそう言うと の意識は途切れ、目を覚ますと…
ありがとうございます。