41/55
極東堕ち・16
(…………ふむ)
そんなアーナを、エリスは他の二人と同じように見ていた。誰もが声をかけづらいのもあってか、口を閉じてアーナの事を見守っていた―――が、色眼鏡の下の眼は二人とは少し違っていた。
(アーナさん。これは少し面倒な事になってしまいましたね)
エリスは常の明るい雰囲気を崩してはいない。普段の飄々とした柔らかな物腰は変わらぬままだが、その眼差しには僅かに細められ、普段の彼とは僅かに変化している。
それはここからどうなるのかを目を凝らして見守る子供の様にも見え、同時に周囲の変化に鋭く反応する老猫のようにどこか狡猾さも見え隠れした、矛盾に満ちた目。他者への期待と値踏みを混ぜた無情の視線。
そんな男の僅かな瞳の色の違いに反応してか、ふと菊千代がアーナからエリスに視線を移す。
菊千代が横目で見れば、エリスは普段の飄々とした視線はさすがに浮かべていなかった。
(……エリスも、やっぱそういう目ぇするんだな……)
エリスは心配そうな眼差しでアーナを見ていた。
ウラグナと同じく、ただただ心配そうな表情とともに。




