Disguise Story 〜仮面物語〜
ある男性がこんな事を言っていました・・・・・
『仮面・・・・それは本心を包み隠してしまう物・・・
人間はそんな仮面を被って生きている・・・・
仮面・・・・それは、素顔を隠してしまう物・・・・
被っているその仮面を脱いだ時・・・
本当に美しい素顔を持っている人間は・・・
この世界に1握りもいないだろう・・・・
今君たちが被っている物・・・・
そうそれこそが仮面なのだ・・・・・・・』と・・・・・。
小さい頃はこの言葉を聞いても、何を言っているのか解りませんでした・・・・
俺が被っている物ってなんなんですか・・・・みんなが被っている物は・・・・
母は、母です・・・父は父です・・・・
同じ顔なんて無いはずなのに・・・・
仮面のような無表情の物を被る必要があるのですか・・・・
しかし、今・・・もう一度自分を見ていれば・・・・一つだけ言えることがあります・・・・
小さい頃に思ったことはすべて嘘だったのだと・・・・・
俺は自分の本性を隠しながら・・・・・・・
その本性がばれないようにと・・・・・
びくびくしながら・・・・仮面の中に隠して・・・・・
毎日学校に通っていました・・・・
いつからそうしていたのか解りません・・・・ただいつの間にか・・・・
そうやって仮面の下に本性を隠していました・・・・
そう・・・・人間は仮面を被って生きている・・・・
今この小説を読んでいるあなたも・・・・・
私は、小さい頃から仮面という物を好んでなかった・・・・
仮面は、人間の顔のような豊かな表情ではなくいつも同じ顔でにらんでくる・・・・
人間も仮面を作っては自分の本心・・・本音・・・などを
他人に見られないように被っている・・・・
私はいつもそんな人間たちを見て悲しくなる・・・・
人間が仮面を付けて生活している・・・・
そう気付いたのは中学1年の夏休みだった・・・・
いきなりめまいに襲われ頭痛と吐き気を伴ったとき・・・・
私の目と耳はおかしくなった・・・・・
見たくも聞きたくもないのに勝手に入ってくる・・・・
仮面は、色々な形で現れる・・・・・
たとえば、薄い膜のような物が顔に覆い被さっていたり・・・・
本当の仮面のようだったり・・・・・
狐のお面って感じだったり・・・・・・・・・・
本当に色々だった・・・・・
俺は、高校に上がったときにはもう目が見えなかったと思います・・・・
中学一年生の時に一部分がいきなり見えなくなり・・・・
眼科に行くと・・・・
緑内障という病気だと診断されました・・・・
俺は、初めてその病名を聞きました・・・・
目薬を渡されて決まった時間に決まった量を差していましたが・・・・
症状がどんどんと悪化していき・・・・中学3年の時にはもう3分の2ぐらいは見えなくなっていました・・・・
高校受験は、推薦で普通科に通りましたが・・・・
実技試験は、絶対無理だったと思います・・・・・
今授業では、数学を教えていますが聞いているだけで見えません・・・・
図は、もっぱら見えませんが・・・・聞いているだけで・・・・解ってくる時があります・・・・
なんだか不思議な学校生活だと思います・・・・
私は、公立高校にかよっている・・・・・
だけどクラスメイトは、みんな仮面・・・・仮面で名前を覚えていると言っても良い・・・・
聞こえてくる言葉は、色々・・・・小学生並みのケンカ口調や・・・・
自分の闇のことはもちろん・・・・・・
他人への嫌がらせ・・・・・・
どうしてこんなにもどす黒い人たちがいるのだろう・・・・・
私の周りには、人がいすぎです・・・・
クラスだけでは、まだ良いが・・・
たとえば、全校集会の時全校生徒が集まりとても気分が悪くなる・・・・
どす黒い空気が体育館内に充満して・・・・めまいや、吐き気がしてくる・・・・
今日は、全校集会です・・・・
目は、見えませんが全体の雰囲気で体育の授業じゃないことを知ります・・・・
今日は、作文の賞状を渡される日でした・・・・
夏休みに書いた人権にかんする物です・・・・
人権は、俺にとってはあまりない物でした・・・・
日本では、人権が守られていると言いますが・・・・・
俺にとって・・・目の見えない人にとって・・・・・
毎日の生活は、苦痛と同じようでした・・・・
人権なんてありません・・・ただ単に不親切な世の中です・・・・
目が見えなくては、階段も上れません・・・・
もし踏み外したら・・・・と思うと恐ろしさで誰かに助けを求めたくなり・・・・・
不安になり・・・・暗闇から抜け出したくなるのに・・・・
抜け出すすべが無くて・・・・そして・・・・・・・・・・・・
その不安を文章に表しました・・・・
原稿は、母に代筆してもらいましたが・・・・
文は、俺の思うままに言いました・・・・
ステージの上・・・
手を引かれて真ん中の方に連れて行かれます・・・・
「賞状・・・大賞、川緑和様・・・
あなたは、今回の人権推進協議会主催
第26回人権推進ポスター、作文の部で
当初の成績を収められましたのでこれを称します・・・・
8月25日人権推進協議会会長・・・夏釜優華」
拍手によって顔が熱くなってきます・・・・・
恥ずかしい・・・・そうしてステージからつれておろされます・・・
バックのステージでは、校長先生の話が聞こえています・・・・
私は、ステージで表彰される人間を見ていた・・・・
気分が悪くなり後ろの方で顔を伏せて座っていたが・・・・
変な雰囲気が漂ってきたので顔を上げてみていた・・・・
するとステージの上に見たことのない人が上がっていた・・・・
表彰を受けているが・・・ふつうの人間とは違い・・・・
なんというのだろう・・・先生に手を引かれている・・・
そのことで目が見えないのだとわかる・・・・
私は、振り返ったその人の顔を見た・・・・
いつも見ている・・・仮面を付けた顔ではなく・・・・
目を閉じているものの表情豊かな本当の人の顔だった・・・・
私は、背筋に寒気を感じて頬に何かが伝ったのに気がつく・・・・
同じ学校にいたのに解らなかった・・・・仮面を付けていない・・・・
本当の人間・・・・このうれしさに涙が出たのだった・・・・
彼の名前は、川緑和と言うらしい・・・・・
一回見ただけで・・・・天にも昇るような想いがわいてきた・・・
前から諦めてきたのに今このときにあったのが運命だと言っても良い・・・・
俺は、誰かに見られているような感覚を得た・・・
誰かは、解らない・・・・ただ単に誰かに見られているような・・・・・
それが気のせいだと思い座り込む・・・・
暗闇に中何所を探しても何をしても暗闇なのだ・・・・
私は、今日見た彼のことが気になっていた・・・・・
ベットに付いたあともうまく眠りにつけなかったが・・・・
ある程度落ち着くと寝れた・・・・
と・・・・思ったが今暗闇の中に立っている・・・・
ここは、何所なのだろう・・・・
「誰か・・・いませんか・・・・」
こんな暗闇の中にいるわけがない・・・・・・・・・
俺は、今夢を見ているのだと思います・・・・・
だけど、起きているときも寝ているときも暗闇に支配されているので・・・・
解りません・・・・・
しかし・・・・今夢だと気付きました・・・・
声が聞こえます・・・・「誰かいませんか・・・」と・・・・
「ここにいるよ・・・こっちにおいでよ・・・・」
そういって声のした方に歩いていきます・・・・
私は、暗闇の中から声がしてびっくりした・・・・
「ここにいるよ・・・こっちにおいでよ・・・」
声のした方に歩いていく・・・・
淡く光る物が少しずつ近ずいているように見えた・・・・
「ここにいるよ・・・!!」
叫んでみる・・・・
「ここにいるよ・・・・」
見えないはずの淡い光が今見えています・・・・
これは、本当に夢なのでしょうか・・・・
叫んだ声が聞こえました・・・だいぶ近くなってきたみたいです・・・・
「ここにいるよ・・!!」
そう近くの方から聞こえてきました・・・
「何所にいるの・・・??」
叫んでみます
ちかくから「何所にいるの」
ときこえた・・・・
“振り返ってみる・・・・・”
そこには、今日見た彼がいた・・・・
そこには、見たこともない女の人がいた・・・
見たことがないと言うより・・・見えないから誰だか解らないが・・・・
今は、はっきりと見えている・・・・・・・
今は、目を閉じていない・・・・
心の声が聞こえる・・・・
『見たこともない女の人ですね・・・・誰なんでしょう・・・・』
答えたくなる・・・・
「わたし!!麻芽夏っていいます・・・・」
また心の声が聞こえる
『なんで・・・俺の思ったことが解るのでしょう・・・・』
「それは、心の声が聞こえる耳を持っているから・・・・」
「では、何でいやな顔をしないんですか・・・・」
心の声が聞こえるなんて・・・・とても不思議なことを言う人だと思った・・・・
「それは、ふつうの人間と違って・・・・あなたは、仮面を被っていないから
汚い物を見ないですむんだよ・・・・」
「仮面・・・??」
「そう、仮面・・・・人間は、仮面を被っているんですよ・・・
私には、それが見えるんだ・・・」
「見えるんですか・・・・・?どんな見え方をするのですか・・・・」
俺は、本当にこれが夢なのか・・・とつくづくがっかりしました・・・・
「本当に仮面・・・・あのっ・・例で言うとたとえば・・・・
劇で使うような仮面とか・・・お祭りの出店にあるような・・・・
面です・・・それが、人の顔に付いていて
素顔は、隠されているんです・・・・・だからその・・・いつもいつも同じ顔なので
コミュニケーションが大変なんです・・・・・」
俺は、なんだか・・・うれしくなりました・・・・
『もし彼女が夢じゃなく・・・本当に存在しているとうれしいのですが・・・・』
「えっ・・・いますよ・・・・あなたと同じ学校に・・・」
「また聞こえましたか・・・・同じ学校ってあなたも星南高校ですか・・・・」
「そうですよ・・・知らないのも解りますが・・・・・」
「目が・・・見えない物で・・・・だけど今のあなたは、見えています・・・・」
「何ででしょう・・・・」
「解りませんよ・・・ただこれが夢だからだと思います・・・・」
「だったら・・・私に会いませんか・・・・今日、表彰されたとき初めて知ったんです・・
あなたのような存在がいたことを・・・・前まで知らなかった・・・・
仮面ばかり見ていたので・・・・・」
「会いたいです・・・・是非・・・・俺は、目が見えないんです・・・
あなたが解らないんです・・・・・」
「解りました・・・・そうだ・・・明日学校が終わったら校門のところで待っていてください
・・・・そうしたら私が声をかけるから・・・・・声で判断してね・・・・」
「はい・・・明日ですね・・・解りました・・・・放課後待っています・・・・・
盲導犬を連れているのでわかりやすいと思います・・・・」
「そう・・・・・では、また・・・・・・・」
「はい・・・・声をかけてくださいね・・・・」
そうして暗闇の中に俺は残されました・・・・
だけどなんだかウキウキしました・・・・
学校が楽しみになりました・・・・・・・・・・
私が目を覚ましたのは朝の6時だった・・・・
夢だったのだと思う・・・・
だけど・・・今日学校に行くのが楽しみだ・・・・
彼に会うのが楽しみ・・・・
そうして放課後が訪れた・・・・・
私は、遅くなった・・・・生徒指導の先生に呼び出されて・・・・
遅くなった・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして・・・校門に行った・・・・
彼は、暑い中待っていた・・・・・・
声をかけてみる・・・・
「あの・・・・」
俺は、暗闇の中・・・・夢の中の彼女を待っていました・・・
そこに昨日のような淡い光が差してきました・・・・・
そして突然声が聞こえてきました・・・・
「はい・・・・??」
「私・・・解りますか・・・・」
俺は、もう解っていました・・・・・
「麻芽さん・・・??」
「はい私です・・・・本当に、昨日夢だったのかな・・・・・
今思い出すとすごく不思議なんだけど・・・・」
「そうですね・・・・」
「そうだ・・・ちょっとお話ししませんか・・・私、すごく気分が良くって・・・・」
「はい、良いですよ・・・俺も暇だし・・・・あっだけど盲導犬・・・・シフォンもいますよ・・・・」
「このワンちゃんシフォンって言うんですか・・・もしかしてメス・・・??」
「はい・・・雌のラブラドールレトリーバーです・・・・」
「じゃあ私のライバルだ・・・・」
「ライバル・・・??」
「まあそういうことは気にしないで・・・・じゃあ・・・行きますか・・・・」
俺は、暗闇の中で彼女が笑ったような感覚を覚えました・・・・
なんだか俺の顔もほころんでいるように思えます・・・・・
私は、ゆっくり歩いていた・・・・
隣の彼は、とてもうれしそうな顔をしていて仮面なんて何所にも見えなかった・・・・
彼は、心もきれいで・・・・
今さっき盲導犬のシフォンをライバルと言ったのは、
彼のことが好きになり始めていたからだと思う・・・・
夏休み明けなのでまだまだ暑いです・・・・・
なので涼しさを味わおうとパフェを注文しました・・・・
彼女がメニューを読んでくれたのでどんな物があるのか解りました・・・・・
盲導犬は、そんなことお構いなしに机の下でふせをしていると思います・・・・
「あの・・・・麻芽さん・・・・
俺、その小さい頃仮面を人間が付けて生活していると聞いて・・・
信じられなかったんです・・・・
だけど、今の俺は、仮面を被っている物と思っていました・・・
しかし・・・麻芽さんに被っていないと言われました・・・
これは、どういうことなんでしょう・・・・」
「私には、解りませんが・・・・
今の川緑君の心の中は、他の人間よりも澄み渡っていて・・・・・
なんと言うんでしょう・・・本当に・・・きれいなんです・・・・」
「そうなんでしょうか・・・・俺は、自分は汚い物・・・・
ずっとそう思ってきました・・・・」
「いいえ・・・・私には、とてもきれいに見えます・・・・本当に美しいです・・・・
例を言いましょう・・・今あのレジの所に立っている・・・・女の人・・・・
あの人間の心はと言うと・・・・」
そういって彼女は、耳を傾けたと思います・・・・
俺には、見えませんが雰囲気で解ります・・・・・・・
「そうですね・・・とても汚い・・・・・
仮面は、狐のような仮面と言っていい・・・・
で、心の中はいま肉を切り裂いて・・・血を見てみたい・・・内臓を取り出したい・・・・
本当に気持ち悪いです・・・どうして私だけ・・・・どうして聞こえて・・・・
どうして見えるの・・・・どうして・・・・どうして・・・・」
彼女は、泣いているのでしょう・・・・俺には、解ります・・・・・
そっと彼女のいる方に手を伸ばします・・・・
淡い光のする方へ・・・・・・
暖かい物に触れました・・・・
柔らかいのでそれがほっぺただと思います・・・・
もう少し上に行くと目があるはずです・・・・
そこには、水のような物がありました・・・・・・
涙でした・・・
「泣かないでください・・・・・・俺には、見えません・・・・
聞こえたりもしません・・・・・
だけど・・・俺には、あなたの考えていることが解ります・・・・
だから泣かないでください・・・・・
俺の側にいて・・・・俺に仮面の恐怖を伝えてください・・・・・
二人で頑張れば生きていけると思うんです・・・・・
だから・・・・その力を捨てないでください・・・・・
お願いです・・・・そんなに泣かないでください・・・・・・・」
私は、頬に彼の手の温かさを感じた・・・・・
私は、彼を悲しませてしまった・・・・どうしよう・・・・
「ごめん・・・・・泣いちゃあいけないね・・・・もう泣かないよ・・・・
だからずっと私の側で・・・・笑っていてください・・・・・
ずっと・・・ずっと・・・・・・」
そういって私の頬にある彼の手に手を重ねた・・・・
彼は、うれしそうに笑ってくれた・・・・・
そして今、私の側には、彼がいて・・・・・
その隣には、シフォンがいて・・・・
複雑な三角関係・・・・なんちゃって・・・・・・
そうしているうちに・・・・仮面のことや心の中のことを忘れていった・・・・・
そして・・・いつの間にか見えなくなり・・・・聞こえなくなった・・・・・
そのことを彼に言うと・・・・・
彼は、笑って頬をなでてくれた・・・・・・
私は、彼の唇に自分の唇を重ねる・・・・・
そうして目を閉じる・・・
暗闇の中・・・彼が笑っている・・・・・
俺の唇に何かが被さりました・・・・・
柔らかくて暖かいものです・・・・
それが彼女の唇だとわかり顔が熱くなっていきます・・・・・
暗闇の中・・・・俺に唇をつける・・・・
彼女が見えた気がしました・・・・・・・・・・・・・・・・
そうして俺と彼女の不思議な関係が終わりました・・・・・・
仮面の話は、これで終わり・・・・・・・・・・
だけど覚えておいて欲しいです・・・・・・・
私たち人間は、日々の生活を仮面を被って過ごしています・・・・・・・・
そうして都合の悪いことは、その仮面で覆い隠して他の仮面を見ています・・・・・・・・・
もし彼女のような能力を持っている人間がいたとしたら・・・・・・・
もう、あなたの考えていることはお見通しですよ・・・・・・・
本当にどす黒い心を持っている・・・・・そこのあなた・・・・
今がチャンスですよ・・・・・・
お友達に相談してみたらどうでしょう・・・・・・
もし運が良かったら・・・・・・・・・
受け入れたくれるかもしれませんよ・・・・・・・・・・
だけど・・・・保証は、いたしませんよ・・・・・・・
私・・・・仮面つけているかも・・・・そう思っているあなた・・・・そう思って無くても良いです・・・・もし良かったら、感想を書いてくださいね・・・