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第八話

四体目の人体模型をスルーしたところで何かピアノの音が聞こえてきた。前方にある音楽室からだな。


「……これは前期で私が一番好きだったアニメのOP!」


俺に背負われている水瀬が急にテンションを上げる。

確か俺も水瀬に勧められて見たが面白くなかった。大体、男の俺がBL系のアニメなんて見ても面白くない。

て言うか、何でアニソン? ホラー系のアニメなら、まだ分かるがBL系。これは幽霊の仕業だとは思えない。どう考えても愉快犯の仕業だ。


「どうする? 中を見てみる?」


どうするか。早く宿直の先生を呼びにいきたいし。でも、ここで真犯人を捕まえられるなら捕まえた方が良い。


「よし、行くか」


「行きましょう。この演奏はところどころ音が外れています。ちゃんと注意しないと」


いや、そこはどうでもいい。て言うか、何でそんなことが分かるんだ? 俺には問題ないように聞こえるが。


俺達は音楽室に入る。


「誰かいますね」


朝陽の言う通り、後ろから入ってくる月明かりでピアノを誰かが演奏しているのが見える。さすがに顔までは見えないが。


「あいつが七不思議事件の犯人か」


俺は懐中電灯を出して犯人の姿を見ようとする。

どうでもいい話だが、音楽室といえば壁の音楽家の写真の目が動いたとかが定番だな。この学校の音楽家に音楽家の写真はないが。


「は?」


懐中電灯でピアノの演奏している犯人を見ると人体模型だった。何故、人体模型? 意味が分からない。人体模型の数が多すぎる。

というか、この学校に五体も人体模型あったけ?


「どこかな」


泉がキョロキョロしながら何かを探しているようだ。


「どうしたんですか?」


「よく聞いてくれました、朝陽ちゃん。いや、どう見ても人体模型が演奏しているように思えないから、もしかしたら別に音源があるのかと思って」


確かにそうだな。今も演奏は聞こえているが、人体模型の指は動いていない。つまり、人体模型が演奏していないということだ。当たり前だが。


「でも、どこにもないな」


俺も懐中電灯で辺りを照らしながら探してみるが見付からない。


「とりあえず一旦、降りろ」


「仕方ないですね」


軽いとはいえ、少し疲れたので水瀬を降ろす。

一応、音はピアノの辺りから聞こえるから近くに音源があると思うんだが。


「キャ!」


いきなり泉が可愛らしい叫び声を上げた。泉のこんな声を聞いたのは初めてだな。


「どうした? 人体模型が動いたのか?」


「……今、触らなかった?」


泉が怪しむような目で俺を見てくる。


「触る? 何を?」


「……私のお尻」


なるほど。確かに今の位置から泉のお尻に手が届くのは俺と人体模型ぐらいだ。泉が尻を誰かに触られたとしたら俺を疑うのも無理はない。だが、俺は触っていない。

つまり、結論は決まっている。


「犯人は人体模型だ」


「そんなわけないでしょ!」


大きな声を出すなよ。夜中で静かだから響くんだよ。


「って、また触ったでしょ!」


「はぁ? どう見ても俺が触っているようには見えないだろ」


泉は俺の方を見てるんだ。それで、どうやってバレずに触れると言うんだ?


「じゃあ、誰が?」


そして二人の視線が一ヶ所に集まる。こうなると犯人はやっぱり人体模型しか考えられない。


「ウォォォッ!」


人体模型が変な声を出しながら動き出した。


「は?」


ん? 何が起こった?

ちょっと考えてみよう。人体模型が動いた。それは間違いない。じゃあ、人体模型は動くものか? それはNOだ。誰かが動かしているのか? そうも見えない。

つまり、どういうことだ?


「逃げろぉぉぉ!」


「ちょ、どうなっているのよ、アレ!」


よく分からないが逃げた方がいい。これが本物の幽霊だとしても、違うとしても関わるのはどう考えてもマズイ。


「早く私を背負ってください!」


この状況をそれを言う余裕があるのかよ。

大物だな、水瀬。だが、自分で走れ。今の俺には水瀬を背負う余裕はない。

八話終了。感想待ってます。

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