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第六話

「ところで目的の鏡はどこにあるんだ?」


今さらだが、まだ場所を聞いていなかったことを思い出した。


「特別授業棟の三階の奥の女子トイレだ」


トイレ、しかも女子トイレかよ。行きたくないな。


「何? もしかして女子トイレって響きだけで欲情してるの?」


泉が嫌らしい顔をしながら俺に聞いてくる。こいつはレズであることを除いても変態だ。


「女子トイレって響きだけで欲情する奴なんているわけないだろ」


「じゃあ男子トイレ?」


「いつも普通に入ってるんだが!」


何でそんな発想になるのかが理解できない。こいつの頭の中はどうなっているのだろう? 一度、頭の中を解剖して見てみたいな。


「大きな声を出すな。宿直の先生にバレるだろ」


「ああ、悪い」


まさか迅にマトモなことで注意される日が来るとは。ショックだ。

場所はすでに特別授業棟の前に来ている。


「さて、今から特別授業棟に入るわけだが」


「どうした? まさか今さら恐くなったのか?」


まぁ、迅に限ってそれはないと思うが。もし、そうだったら良いネタになるな。


「いや、そうじゃない。特別授業棟には他にも七不思議がある」


やっぱりビビってなかったか。残念だ。


「確か、音楽室のピアノと人体模型でしたよね?」


朝陽が確認する。その二つはすでに確認されている奴だったな。


「後、血塗れの女子生徒も特別授業棟だ。ここでイジメられている途中に事故で死んだらしい。死因は家庭科室の包丁で脅されている途中に手が滑って心臓に一突き、だったか」


何か物騒な話だな。


「こ、怖いです……」


朝陽が今の迅の発言に怯えている。これはお兄ちゃんとして、どうにかしないと。


「どうせ、迅の俺達を脅かせるための作り話だ。だから安心しろ」


「そうですよね。そんな事件があったら普通、知ってるはずですよね」


まぁ、普通に考えたらそうだよな。


「……おい、迅。今の話は本当なのか?」


俺は顔を近付けて小声で念のため迅に確認する。


カシャ!


水瀬の奴が写真を撮りやがった。後で隙を見てカメラを盗って写真を消すしかない。


「幽霊がいるのかは分からないが、この事件は実際にあった話だ」


マジか。俺の通っている学校でそんな事件があったのか。


そして俺達は特別授業棟の中に入る。月明かりが入ってきているので懐中電灯がなくても普通に歩ける。


「やっぱり夜中の校舎は雰囲気がありますね。幽霊ぐらい出ても不思議じゃないです」


確かに水瀬の言う通りだな。普段、通っている学校とはいえ夜中になると別物と言っても問題ないほどに雰囲気が違う。


「ん? 今、何か音がしなかったか?」


「え!? 嘘ですよね!?」


迅の言ったことに焦る朝陽。朝陽はオカルト系が苦手だからな。


「大丈夫だ、朝陽。迅の戯言だ。それか宿直の先生だ」


俺にとっては宿直の先生の方が幽霊よりもある意味怖いけど。さすがに宿直の先生から朝陽を守れる自信はない。


「今の本当なの、迅くん」


「ああ、向こうの曲がり角あたりから聞こえた」


そう言うと迅は早歩きで曲がり角に向かう。しかも虫取り網を構えながら。もし幽霊がいたら捕まえるつもりなのか?

とりあえず俺達も迅を追い掛ける。


「ほぉ、ただの噂じゃなかったのか」


迅が嬉しそうな顔をしている。


「迅、何かあったのか?……マジか!?」


迅が見ている場所を見てみると、そこには人体模型があった。

何でこんな廊下に人体模型があるんだ? まさか本当に人体模型が動いたのか?


「ひっ!」


追い付いてきた朝陽が人体模型を見ると、驚いて俺に抱き付いてきた。

事情はよく分からないが人体模型に感謝だな。幸せだ。


「人体模型? 風間先輩の仕掛けですか?」


「この程度の演出じゃ、つまらないよ」


普通の女の子だったら驚くところだけど、水瀬と泉はふてぶてしい。

まぁ、予想通りだが。ただ、さっきの迅の表情は演技に見えない。


「いや、これは俺の仕掛けじゃない」


「だったら誰が犯人なの? もしかして深夜くん?」


「何でそうなるんだ? 俺がするわけないだろ?」


俺が可愛い朝陽を脅かすようなことをする訳がないがな。まぁ、そうじゃなくて、そんな面倒臭いことをするはずがない。生物室は三階。そんなところから一階まで運ぶのは疲れる。


「もしかしたら本当に怪談かもしれないですね」


怪談とか信じられない。だが、迅以外でこんなことをする変な奴がいるとは思えない。

怪談と迅以外の奴の仕業、どっちの方が確立が高いかな?

六話終了。では感想待ってます。

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