律令制における「令外官」と「日本国憲法」
はじめにお断りしておきますが以下の主張はあくまでも
私の記憶のみに基づく「私的感想」です。
古代日本では律令制が
世情の変化や時代に合わなくなると、
律令そのものを根底からスクラップアンドビルトしないで
その都度その都度
「令外官」という
律令には一言も記述されていないにも関わらず
臨時の制度を付け足してその場をしのいできたのである。
いわばこれは
特例であり臨時であるから
律令の条項には全く記述してなくても時の政府の判断で許される?
というまさに?
間に合わせの、しかしどうしても時代的に必要なので
設置けざるを得ないような官職なのである。
これは今の法律感からいえば
憲法になんの根拠もないような官職を勝手に間に合わせに作った?ということになり、
明らかに憲法違反・法治主義違反である。
これが許されるなら
時の政府はどんな官職も、必要だからという理由でいくらでも作れるということにもなりかねない。
さてそれがまかり通ったのが古代律令制度の日本である。
そしてそのような、令外官の典型が
「検非違使」と「追捕使」であろう、
これは律令に何の規定もない
まさに「令外官」である、
当時武士の台頭や地方の豪族の台頭で
警察力がどうしても必要だったから
時代の要請で?
こうした警察組織を律令の規定外の組織として作ったのである。
なぜ?
こんな間に合わせでなく
律令そのものを改訂しなかったのか?
或いは、、できなかったのか?
それは律令はいったん作ったらそれは、千古不易の法典であり、
改訂するなど、はなから、頭になかったからである。
もし改定などしたら威厳にかかわるし
なんだ、、もう時代に合わなくなったのか。
千古不易の法典ではなかったのか、
ということになり時の政府の沽券が棄損されるからであり
政府自体が存立しえなくなる可能性すら起こるからである。
律令の改訂、、また作り直すなどありえない御法度だったのである。
だから、、律令は尊くて偉大で崇高で改定など不要ですよ、
といいつつ、
どうしても時代変化で必要になったものは
「令外官」として
規定外の官職として創設せざるを得なかったのである。
このように日本では
古代から
一国の基本法なるものは
どんなに時代に合わなくなっても
廃棄や改訂など、、とんでもない事だったのである。
合わなくなったら、間に合わせの「令外官」を補充して行けばそれでよかったのである。
まるでボロボロの、古着でも先祖の御威光の崇高な遺物として、、、
継ぎ当て、継ぎ当てで
補強してしのぎ
決してその古着を捨てて
新しい服などを新調しないという
千古不易の法典主義、
律令はおかすべからず。神聖なものである、、
これこそがいかにも日本的な法律感・憲法観なのです。
さて翻って
今の日本国憲法はどうでしょうか?
これなどはまさに作られて70年の
もう、いかにも誰が見ても時代の激変に合わなくなったぼろの古着?でしょう?
でも誰もそれを、うすうす、気がついていても改訂しようとは言いませんよね?
その典型的な実例が、、
間に合わせの「令外官」である
現代の「検非違使」、、、、、、
「自衛隊」を作って、、とりあえずまにあわせるだけ、、。
みたいな?
だって憲法のどこにも自衛隊なんて規定されてないんですよ。
これはまさに律令のどこにも規定されていない「検非違使」を
これは「令外官」ですといって作った古代日本のいかにも日本人的な発想ではないですか?
律令は変えてはいけない、変えるなんてとんでもない。
おおそれ多いことだ。律令は神聖にして犯すべからず。
これが日本人なのです。
こうして日本は時代の激変にも、
律令原本は一切いじらずとも
補充、、補充、また補充の臨時官(令外官)の補充で
どうにか?乗り切ってきたんですよね。
いかにも日本的です。
まあそれが日本的な知恵?だったのでしょう。
ところがこうしたいわば、「腹芸」?が決して許されない厳格な国々では
一国の基本法が時代に合わなくなったら
即、廃棄、、そして即、改訂ですね。
たとえばドイツなどは
第二次大戦の敗戦後に作られた
「ドイツ基本法」(ドイツ憲法)を
これまでに59回改訂しています。(あくまでも私の記憶によると、です)
日本は?日本国憲法を70年間ただの一回も改訂していません。
どんな立派な憲法か知りませんが
70年間、あるいはこれから100年も200年も
一切改訂しないでそのままで、、
時代の価値観の激変や世界情勢の劇的変化に適合出来うる憲法なのでしょうか?
そんなことってありえないでしょう?
ドイツはもう、すでに59回も改訂してその都度その都度
時代の変化に合わせてきたんですよ。
ところが、、
日本国憲法だけは千古不易の大法典の憲法?であり
一切改訂の必要もない。至高の、偉大な憲法である。
神聖にして犯すべからず、、。
もし本当にそう信じているならば
それはカルト宗教の教義を狂信している信者と同等ではないでしょうか?
ただ、、
日本という国は、、
古代の律令でも見た通り
律令がいくら時代に合わなくなっても
律令を決して改訂などせず
その都度その都度
律令に何の規定もないような
「令外官」を継ぎ足しては
時代をしのいできた民族性なんですよ。
それが日本人なんですよ。
それが日本人の血脈なんですよ。
それが日本人の知恵?だったんですよ。
というわけで
これからも日本人は
憲法が時代に合わなくなったと心ではわかってはいても
決してドイツ人のよう59回も改訂するどころか
それどころか、、
おそらく、、、
ただの一回すら
「日本国憲法」を
これからも半永久的に、改訂など決してしないのでしょう。
よっぽどの国がひっくりかえるような衝撃的事件でも起こらない限り、、
或いはかってのように戦争でアメリカに完敗するようなことでもない限り、、
日本国憲法はこれからも半永久的に
千古不易の大法典として
一切改訂などされることなく
続いていくことでしょう。
ただし、、、
日本人がこれまでもそうしてしのいできたように?
その都度
その都度
時代の激変に合わせて必要になった
「令外官」を
とりあえず
つぎはぎ
つぎはぎ
追加しながら、、、。