告白
「えー、婚約者って親が決めたー? どんな人? ってゆうか誰?」
ステビアは興味津々でシレネにつめよりました。
ステビア、さっきシレネのこと嫌いと宣言したのに、ある意味すごいです……。
「あら、どうだった、かしら?」
「姉様とすれ違った時、一目ぼれして速攻で求婚してきたんだよ」
ふと、後ろから声がかかったので振り向くと、そこにはシレネと同じ顔をした男の子が立っていました。
髪が短いのと、男子の制服着てなければ、まるで女の子です。
「君は?」
僕が問いかけると、その男の子はにっこりと笑って言いました。
「僕はシラーです。シレネの弟ですよ。クラスは違ってしまいましたけど」
「ああ、そうそう。そうだったわね。よく、覚えてたわね、シラー」
「彼のこと? 逆に忘れてる姉様に僕はびっくりだけどね」
「あら、そう、かしら」
シレネは首を傾げました。
「へえ、一目惚れねー。いいじゃない。で、相手はー?」
「この学院の理事ですよ。ローレル・フラックス。良い方です」
「ローレル・フラックス!? 伯爵だけど、まだ若いし美形だし資産家だし、かなりポイント高いじゃない。そんなのに一目ぼれ? 悔しー、絶対私はもっと上玉つかんでやるんだから!」
ステビアはぷうっと顔を膨らませて、そう宣言しました。
シラーはそんなステビアを面白そうに見やります。
「ステビアさん、でしたね」
「そーよ」
「玉の輿がご希望ですか?」
「悪い?」
「いえ、別に。一目惚れも羨ましいんですよね」
「……だからなに?」
「僕と姉、今日誕生日なんです」
「はあ? なによいきなり」
「だから、もう公言していいことになったんです」
「だからなんなのよ!」
「ほう」
「あう、もしかして……」
ステビアはまったく気がついている様子がありませんが、これはさっき話していた……。
「僕達、王の子なんです。マートルは乳母の家の姓で。ちなみに僕はこの国の王の後継です」
やっぱりです。
「は……!?」
「良かったですね。早速達成ですよ、玉の輿。僕の妻になればいい」
「はあ!?」
「おい、いいのか。こいつ、見てくれはそこそこだが、中身これだぞ」
「はい!? なによそれ!」
「もちろん。外見より、どちらかと言うとこの中身が気にいりました。馬鹿な子ほど可愛いって、地でいってますよね。はまりそうです。僕ってこういうのが好みだったんですね、新境地ですよ」
「と言っても馬鹿すぎるだろう」
「馬鹿!? 失礼ね! それになに勝手言ってんのよ、あんたなんかには嫁がないわよ!」
「なぜですか?」
「なぜもなにもないわよ! その私より綺麗な顔見てるだけでむかつくし、なんかそばにいるだけで寒気がすんのよあんた!」
あう、王子様に向かってあんた呼ばわりはちょっと。
ハラハラして見ていると、シラーはうっとりするくらいの微笑みを浮かべて、胆が冷えるようなことをさらりと言いました。
「君に選択権はないですよ、ステビア。それを、これから嫌と言うほどわからせてあげますからね、楽しみにしていてください、……僕の可愛い人」
ステビアはぴしりとかたまりました。
シレネは内容をわかってるのか「まあ、妹が、できるのね」と能天気に喜んでいる模様です。
リコリスは「黒いな」と言って、溜め息ついてました。
僕はと言うと、なんだか疲れた気分で脱力してしまいました。
次回で最後です。