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旅立ちは突然に

このお話でははじめまして。これからどうぞ、よろしくお願いいたします。

「アニス、あなた、アルメリアのセントーレア学院に入学なさい」


「……はい?」


 ある日、僕は母から突然そう言われ、こてりと首を傾げた。


 あ、失礼しました。

 

 僕の名前はアニス・スノードロップって言います。


 今年で13歳になります。


 童顔で女顔でよく女の子に間違われますが、れっきとした男です。


 ここ重要! もう一度言います。


 僕は男です。


 ちなみに女顔と言っても、母にはまったく似てません。


 完全に父親よりの顔です。


 母はアゼリア・スノードロップ。


 僕が住んでいる国・ウィステリアの宰相やってます。


 史上初! の女性の宰相です。


 やりての宰相と有名です。


 ちょっと容赦無さすぎるってことでも知れてます。


 ……どんだけ? 


 容姿は息子の僕が言うのはなんですが、ゴージャスビューティーです。


 もう圧巻です。


 迫力美人です。


 でも性格も圧巻の強引さです。


 もうゴーイングマイウェイです。


 なんかウィステリアの女帝とかって、言われてます。


 王族じゃないのに不思議です。


 あ、でも一応うちは侯爵家だったりします。


 じゃなければ宰相になんかならないですもんね。


 父は専業主婦です。

 

 あ、間違えた。専業主夫です。


 ミント・スノードロップと言います。


 とっても優しくて可愛くてほわほわしてる、料理上手な父です。


 もちろん家の専属の料理人はいるけれど、よく手料理を振る舞ってくれます。


 母の晩酌のつまみは必ず父のお手製です。


 でないと母が暴れるので。


 よく僕と姉妹に間違われてます。


 あれ、なんかおかしい。


 ともかく、僕はそんな豪胆な母と愛くるしい父と、それなりに楽しい毎日を過ごしていたわけですが……。



「アルメリア? 隣国の? どうして? ウィステリアの学校じゃなく?」


 僕の頭は???だらけです。


 母はワインを片手に、にっと笑いました。


 真っ赤なルージュが恐ろしいほど似合ってます。


 ああ、まるでなんだか悪の総帥のような迫力です。


「そうよ、アルメリア。出発は明日ね。あなたのことはアルメリアに住む私の親友に預けることになってるから」


「明日? そんな急に言われても困ります」


「困ることなんてないわ。私は」


 それはそうでしょう。困るのは僕です。


「これは決定よ。反論は受けつけないわ」


 母がこう言ったらもうなにを言っても駄目です。


 僕は今までの経験から諦めました。


「だけど、なんでアルメリア?」


 ウィステリアだって良い学校はたくさんあるのに。これだけははっきりしておきたいです。わからないと気持ち悪いです。


「約束してたのよね、親友と。子供達は同じ学校に通わせましょう、って」


 初耳です。


「忘れてたんだけど、先日連絡がきて」


 忘れてたんですか。


「手続きもしてくれたってことだったし、じゃあまあいいかと」


 そんな簡単にですか。僕の人権はいったい。


「その子がこっちにくるのでは駄目なんですか?」


「アニス、これはもう決定よ」


 有無を言わせぬ母の一言です。


「アニス、きっと向こうも楽しいよ。頑張ってね」


 にっこりと微笑む父の言葉で、僕は諦めました。


「はい。行ってまいります……」




 こうして、僕は隣国へ留学することが決まりました。


  

ではまた次回、よろしくお願いいたします。

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