表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/61

百爪がまだ決めていない所属

何故かお笑い百爪編です

「所で正式所属決まったのか?」

 天道龍が問い掛けると百爪が首を横に振る。

「何か八百刃様が色々とトラブルを起こしていて、後回しになってる」

 影走鬼が小さく溜息を吐く。

「流石にいい加減に決めないと不味いだろう」

「今のまま八百刃様の直属じゃ不味いのか?」

 闘威狼の言葉に大地蛇が苦笑する。

「その地位は、特殊だ。水産蛙さんや風乱蝶さんの様な特例で中位に居る人がなる立ち位置だ」

「そういう意味で言うなら百爪も特殊といえば特殊なんだがな」

 百姿獣が百爪の頭を撫でる中、炎翼鳥が頬をかく。

「西刃様の御付だからな。同じ立場だった、火羽鳥は、八百刃様の命令の元、カードシップウォーの管理を一手に行っているしな」

 百爪が遠い目をする。

「空道竜は、ちゃっかり子供作ってその力を引き継がせているし、輝石蛇は、調和竜の変わりに監視任務についちゃったしなー」

「そう言う事だ。他のメンバーは、後継者作ったり、確りした役職についているんだ。お前も早く何処かに所属しろ」

 やってきた白牙の言葉に天道龍が嫌味を放つ。

「お前の部下にするのが一番当たり障り無いって事実に気付いているか?」

「俺を父親扱いするこいつを部下にしたら公平性が保てないだろうが」

 白牙の尤も反論にも九尾鳥が疲れた顔で言う。

「しかしな、こいつは、色々とトラブルの種なんだぞ?」

 大きなため息を吐く白牙。

「それは、解ってる。だから尚の事ちゃんとした所属につける必要があると考えている」

 多大な権限を持つ上位八百刃獣達が頭を悩ませていると八百刃がやって来る。

「珍しいメンバーが揃ってるじゃん」

「八百刃様、あたし八百刃様の直属じゃやっぱ不味い?」

 百爪のストレートな言葉に八百刃が眉を寄せる。

「基本的に直属のメンバーって言っても仕事が決まってる訳でも無いからね。所で何かしたい仕事決まった?」

 百爪が首を傾げる。

「したい仕事? そういえば、八百刃獣の仕事って何するの?」

 ド基本の質問に白牙が怒鳴る。

「お前は、今まで何をしていたんだ!」

 視線を逸らす百爪。

「だって、言われた事をやってただけだし。ほら、あたしってセーイと一緒に人の世界で暮らしていた時期が長いから」

 呆れた顔をしながら炎翼鳥が説明する。

「今の八百刃獣の仕事は、大きく分けて三つあります。一つは、支配世界での戦争の管理。ホープワールド時代と違って直接干渉は、減りましたが、その分、兵器や術の制限など細部に渡り、制限をかけたりしています」

「そういう細かいのは、あんまり好きじゃない」

 素直に好みを口にする百爪を白牙が叱り出す前に天道龍が説明を続ける。

「世界間の行き来の管理なんかもある。主に上位世界から下位世界に過剰な干渉をしない様に監視、指導する仕事だ」

「国境警備みたいな仕事は、待ち時間が多そうで向いてない気がする」

 百爪の軽い言葉に脱力する八百刃獣達の中、闘威狼がいち早く復活して説明を引き継いだ。

「最後は、管理派の神々との戦いだ。未だに旧勢力の管理派の神々が現行派の監視派に戦いを挑んで来る。その戦いの最前線に出るのが八百刃獣の花形だな」

 自慢気な闘威狼の言葉に百姿獣が鋭い視線を向ける。

「聞き捨てなりませんね。それでは、他の仕事が劣っていると聞こえますよ」

「劣っているとは、言わないが、やっぱり一番貢献してるだろ?」

 闘威狼は、自信有り気に言うと九尾鳥が不機嫌そうな顔をして反論する。

「その仕事、本来の仕事では、無い。我々八百刃獣の本道は、人々の戦争管理し、よりよい方向に導く事だ!」

「その為にも世界間の行き来の管理が重要視されるのは、当然だな」

 天道龍が釘を刺し、重苦しい空気が流れ始める。

「あれ、もしかして剣呑な雰囲気になってない?」

 首を傾げる百爪に八百刃が苦笑する。

「まあ、よくある衝突だから暫く見ていよう」

「だから、八百刃獣の力をフルに使うのは、やっぱり管理派との戦いだろう!」

 闘威狼が主張すると炎翼鳥が首を横に振る。

「八百刃獣の力の大小など、我々の仕事にとっては、無意味。大切なのは、結果。その結果を導くのが戦争の管理です」

「結果を出す土壌を維持する為に、世界間の行き来の制限がどれほど重大か解らないのか!」

 大地蛇が苛立ち始めた頃には、この場には、人間界など百回単位で滅ぼしかねない力が満ち溢れ始めていた。

「皆さん落ち着いて下さい。八百刃様の御前ですよ」

 影走鬼が必死に宥めるが当の八百刃が傍観者に徹している為、効果が無い。

「こんな喧嘩がよくあるの?」

 百爪の問い掛けに八百刃が苦笑する。

「まあね。皆自分の仕事に誇りを持ってるから、自分の仕事が一番だって言うのを譲らないんだよ」

 怒声が飛び交う中、不幸な下位八百刃獣がやって来る。

「大変です、管理派の神々の奇襲部隊がこの神殿に攻撃を仕掛けてきました!」

 報告した後、この場の剣呑な雰囲気に涙目になる下位八百刃獣、赤風犬に八百刃が言う。

「皆忙しそうだからあちきが対応するよ」

「「「「「「「「絶対駄目です」」」」」」」」

 上位八百刃獣達が口を揃えて静止した。

「それにしても事前調査が足らない連中だ。上位八百刃獣がこれだけ居る時期に奇襲をしかけるなど」

 白牙がまず歩みだす。

「一番手は、俺の仕事だからな」

 闘威狼が駆け出し。

「この神殿に手を出そうとした事を後悔させてやろう」

 天道龍が冷たく言い放つ。

 最後尾に居た影走鬼が八百刃に頭を下げる。

「八百刃様に逆らう愚か者達は、一柱残らず、滅してやります」

「皆殺しにしちゃ駄目だよ。ちゃんと手加減しなよ」

 八百刃の忠告だが、あまり意味を成さなかったとだけ言っておこう。

「結局、あたしの所属は、またお預けだね」

 百爪の言葉に八百刃が肩をすくめるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ