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水産蛙の力を導く最強の力

水産蛙の当番回おなじみ、神々の戦いの話

 水産蛙の力は、水を生み出すだけ。

 本来なら、神々には、通じないその力を強大な武器に変えるのが八百刃の力。

 しかし、八百刃の力は、それだけでは、無かった。



「仕事、頑張って下さいね」

 八百刃が手を振るなか、八百刃の配下の神々が八百刃の神殿から出ていく。

 すると、今回初めて八百刃神殿に来た神、火納瑠カナルが肩をすくめる。

「六極神の一柱だからどんな凄い存在だと思って居たのですが、かなり期待外れでした」

 他の神々が苦笑する。

「何がおかしいのですか?」

 苦笑していた神の一柱が答える。

「貴殿の感想は、誰もが一度感じる事だからだ」

 火納瑠は、首を傾げる。

「ならば何故従うのですか?」

 この中では、最高位の神、帆湖多ホコタが告げる。

「否定する事すら思い付けない実力差を見せつけられたからだ」

 神々が頷く中、火納瑠が告げる。

「それは、仕えている八百刃獣が優秀だからなのでは? 特に白牙の優秀さは、有名では、ないですか?」

 帆湖多が遠い目をする。

「八百刃獣が優秀なのは、誰もが認める事だが、八百刃様の力は、その様なレベルで語るのもおこがましい。その戦いを見れば疑った自分が愚かしく思える」

 唾を飲み込む火納瑠。

「私が初めて八百刃様にお会いしたのは、まだ六極神に成られる前。私も八百刃を見下していた……」



 まだ管理派との戦いが激しかった時代、帆湖多がまとめていた戦場に八百刃がやって来た。

「貴様が助っ人だと言うのか?」

 疑惑の眼差しを向ける帆湖多に八百刃は、ガッツポーズで応える。

「はい、頑張ります!」

 舌打ちする帆湖多。

「上の奴等は、この前線の重要性を理解してない様だな」

「そうみたいですね。あちきに早く戻って来いって釘を刺してきましたから」

 八百刃の意外な言葉に帆湖多が眉をひそめた。

「どういう事だ? お前は、上の指示でここに来たのだろう?」

 八百刃が首を横に振った。

「あちきが志願してここに来たんです。ここであちきの力を必要となるから」



「当時の私は、知らなかったが、八百刃様は、監視派の最大戦力とさえ言われていた。前線と言っても、中位の神々が争う戦場に態々いらっしゃる御方では、無かった。しかし、八百刃様がもしもいらっしゃらなかったら、我々は、多大な被害を出していた……」



 八百刃の来た直後の戦場に信じがたい数の支配虫が放たれた。

 一体一体では、神を支配するなど出来る筈も無いが、兆を越える支配虫が神々を飲み込もうとした。

 帆湖多は、必死にガードするが支配虫へのガードに集中しようとしても敵の攻撃が邪魔をする。

 ジワリジワリと支配されていく恐怖に帆湖多が神になってから初めての真の恐怖を覚えた。

『水産蛙、撒き散らせ!』

 戦場に響き渡る八百刃の声、同時に戦場を覆い尽くす大量の水が産み出された。

 量こそ凄まじかったが、ほぼ普通の水と変わらないそれは、神々には、害を及ぼさなかった。

 しかし、数だけで神々を蹂躙しようとしていた支配虫は、抵抗も出来ずに溺死していく。

 必勝の策を破られた管理派は、脆かった。

 戦闘が終わり、八百刃が頭を下げる。

「あちきは、帰ります。これからも頑張ってください」

 帰ろうとしていた八百刃を帆湖多が引き留めた。

「貴殿は、神々の未来まで予知出来るのか?」

 問いかけた帆湖多自身、有り得ないと考えていた。

 世界に縛られた人間の未来とは、桁が違う。

 そんな事が出来る者が居たら、それは、神を越える存在だからだ。

 八百刃は、朗らかな笑顔で答える。

「まさか、あちきが判ったのは、八百刃獣の情報の中に今回のテストがあって、実際に行われるとしたら何処かが判断出来たからですよ」

 言葉を無くす帆湖多達を残し八百刃は、帰っていった。



 帆湖多が畏怖を籠めて火納瑠に告げる。

「理屈が有ったところで、八百刃様が行った事は、未来予知でしかない。八百刃獣の優秀さ等、八百刃様の力の一つでしかない。八百刃様の真の凄さは、数多の八百刃獣からの情報を元に神々の戦場すら操れる絶対性だ」

「過大評価では?」

 疑う火納瑠に遠い目をする帆湖多が言う。

「その内、嫌でも思い知らされる」



 八百刃の指示の下に反発する管理派の鎮圧していた帆湖多達だったが、戦場の極限状態の中、火納瑠が指示を無視した追撃を行っていた。

「もう一歩で壊滅させられる。こんなところで追撃を止められか!」

 火納瑠の象徴の炎が管理派の神々に向かって放たれた。

 その瞬間、周囲が炎に包まれた。

「何が起こったのだ?」

『愚か者め、ここは、紫縛鎖様の力で生み出した自縄自縛の世界、お前の力は、自らに降りかかるのだ!』

 管理派の神が遠話で勝ち誇る。

「抜け出すまでだ!」

 火納瑠が一気に飛び出そうとしたが、外輪に着く前に管理派の神々から攻撃が始まり、火納瑠を静止させる。

「八百刃様は、こんな状況すら予測されて居たのに、なんて失態だ!」

 火納瑠が外部からの攻撃に滅びの危機にさらされた。

「さて、どれだけのキャパがあるかな?」

 火納瑠が声に振り返ると八百刃が居た。

「試してみましょう」

 八百刃の掌に乗っていた水産蛙がその言葉と共に莫大な量の水を生み出す。

 自縄自縛の世界は、当然反応するが、元々無害な只の水、火納瑠や八百刃に害は、ない。

 だが、元々尋常では、ない量の水が自縄自縛の世界の力で、更に倍加して、その世界を崩壊に導いていく。

「意外と早かったね」

 八百刃が崩壊した自縄自縛の世界を確認し、周りに居た管理派の神々に告げる。

「まだ抗う?」

 抵抗の意志を見せられ者は、居なかった。



「私は、貴女に永久の忠誠を誓います!」

 火納瑠が頭を下げた後、帆湖多達と合流する。

「今回は、無事終了したね」

 気楽に言う八百刃だったが、突然の殺気に驚く。

「お前がでばった時点で無事終了って言わん!」

 いつの間にかにやって来た白牙が睨んでいた。

 八百刃の目の前に来て白牙が告げる。

「お前の出番を作った事であの神々は、上位の神にここで敗北する以上の叱責をうけるぞ」

「被害が出なかったから別に構わないと思うんだけどな……」

 八百刃の呟きに白牙が苛立つ。

「そう言う問題じゃないんだ! 最上級神が動くそれだけで一大事なんだ!」

 八百刃が朗らかに笑う。

「あちきが動くなんて、よくある事じゃん」

「よくあったら駄目だって事実をいい加減に自覚しろ! だいたい、お前が、態々水産蛙を連れて来るくらいなら、八百刃獣を派遣しろ」

 白牙のクレームに八百刃が頬をかきながら言う。

「今回は、無駄足になる可能性も高かったから、そんな不確定な命令じゃ困るでしょ?」

「お前が動く方が何倍も困るに決まってるだろ!」

 激怒する白牙に散々叱られる八百刃であった。

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