白牙がする道案内
白牙って偉いんですけどってネタ話
白牙の役職は、基本的に予備役である。
元々は、戦場において圧倒的なアドバンテージを持つ白牙が助人に入る事が多かった故の処置であった。
しかし、六極神になったあたりから、八百刃の秘書的役割が多くなって、一番神殿に居る八百刃になっている。
「失礼します!」
若草色の髪をした神の使徒が八百刃の神殿の入り口で声をあげる。
するとポニーテールの少女の姿をしたのが顔を出す。
「どちら様?」
若草色の髪の使徒が答える。
「地覆葉様の使徒の一人、若草芽。本日は、水流操竜様に伝言があり、まいりました」
するとポニーテールの少女の姿をしたのが申し訳無さそうに言う。
「ご足労は、ありがたいんですが、水流操竜は、出向しています。代わりに承る訳にはいきませんか?」
若草芽が即答する。
「直接会って、伝言する様に言われています。いない場合は、待つか、会いに行くように命じられています」
ポニーテールの少女の姿をしたのが腕組みをする。
「そうなると会いに行った方が早いですね。あちきが案内します」
「貴女のお仕事は?」
若草芽の質問にポニーテールの少女の姿をしたのが気楽に言う。
「現場にも行かせて貰えない閑職だから気にしないで下さい」
「駄目に決まってるだろうが!」
白い子猫が叩く。
「お前は、ここで留守番するのが一番の仕事だ」
「えー、案内したら、すぐ帰って来るから良いでしょ?」
ポニーテールの少女の姿をしたのが手を合わせて言うが白い子猫が却下する。
「私が代わりに行く。私が帰って来る前までにさっき言ったところまでは、終わらせておけよ」
「貴方のお仕事は、良いのですか?」
若草芽の言葉に白い子猫が答える。
「予備役で、今は、あいつの子守りしかしてないから気にするな。行くぞ」
「助かります」
若草芽がお礼を言って、先行する白い子猫についていき、水流操竜のいる場所まで案内され、無事に伝言を済ませ、地覆葉の神殿に戻った。
「水流操竜様への伝言は、前述した様に無事に終了しました」
若草芽が報告を終えると主、地覆葉は、必死に笑いを堪え、第一使徒の緑髪人が顔を押さえていた。
若草芽が困惑した表情で問う。
「私が何かミスをおかしましたでしょうか?」
地覆葉は、笑いを堪えながら答える。
「気にするな、お前は、指示通りこなした。まったく問題は、無い」
それに対し緑髪人が言う。
「問題無い訳がないでしょうが!」
若草芽が慌てる。
「何がいけなかったのですか!」
緑髪人が苦虫を噛んだ顔で答える。
「まず、お前を案内してくださった御方は、第一使徒の白牙様だ」
若草芽が驚愕する。
「六極神にも一目置かれるあの白牙様ですか!」
地覆葉が頷き続ける。
「そして、最初に御会いしたのが八百刃様だぞ」
若草芽が震え出す。
「私は、なんて無礼な真似をしてしまったのでしょうか!」
緑髪人が大きなため息を吐く。
「一つ間違えれば大問題になるぞ」
しかし地覆葉は、気楽に言う。
「あの二名がそんな細かい事を気にしない。まあ、あんまり周りに知られていい話では、無いから気をつけておくように」
「この身が滅び様とも口外しません!」
「そうしてください」
若草芽の宣言に疲れた顔で応える緑髪人であった。




