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船翼海豚が起こすトラブル

トラブルメーカー、その名は、船翼海豚

 船翼海豚センヨクイルカ、元は、水上を高速で移動するイルカの八百刃獣。

 ホープワールド時代には、金海波の使徒だったが、ロリな八百刃の外見に惚れて八百刃獣になる。

 現在は、その移動能力を使って、戦場の監視、違法者の捕獲等を行っている。

 同時にトラブルメーカーとしても有名であった。



 八百刃の神殿では、八百刃が人型の為、大半の八百刃獣が人の姿をとる。

 仕事を終えて戻ってきた船翼海豚も同じだった。

「疲れた」

 背伸びする船翼海豚が歩いていると、近くに居た八百刃獣が遠ざかっていく。

「前から気になって居たんだが、もしかして俺は、避けられているか?」

 それを聞いて、船翼海豚の被害者の一刃、水流操竜が言う。

「今頃気付いたのか?」

 それを聞いて船翼海豚が首を傾げる。

「おかしいな、後輩を苛めたりした覚えがないんだがな?」

 それを聞いて水流操竜が告げる。

「お前、自分がトラブルメーカーって自覚無いのか?」

 それを聞いて驚いた顔をする船翼海豚。

「俺が、トラブルメーカー? 冗談じゃない、俺は、極々普通の八百刃獣だぞ」

 半目になって水流操竜が言う。

「お前な、俺が面倒な上、危険が多い他の極神からの依頼を押し付けられていたのが、お前と単純スライムの会話が原因だったのを忘れたのか?」

 船翼海豚は、平然と言う。

「それは、お前の自業自得だろう」

 舌打ちをしながら水流操竜が言う。

「お前のトラブルメーカーぶりは、最初からだろう。入ってきた時の不要な一言で、三役が大喧嘩やらかす原因を作ったのもお前だろう」

 それは、流石に問題あると思ったのか多少責任を感じながらも船翼海豚が言う。

「そんなホープワールド時代の話を蒸し返すなよ」

 すると、傍に居た、熊の八百刃獣、和怒熊ワドユウが言う。

「ついこの間も、百爪様に交際を求めて、大事になって居たと思いましたが?」

 それを聞いて水流操竜が驚く。

「お前、そんな事をしてたのか! 百爪様は、最初の八百刃獣、白牙様の御息女だぞ!」

 船翼海豚は、遠い目をして言う。

「愛に年や身分の差は、関係ないのさ」

「お前は、単なるロリコンだろうが!」

 水流操竜の突っ込みに船翼海豚が言う。

「しかし、考えてみろ、百爪様は、ずっと幼女の外見なんだぞ、まさに理想じゃないか!」

「お願いだから、止めてくれ」

 そういって現れたのは、水流操竜の上司でもある、天道龍だった。

「お疲れ様です」

 頭を下げる八百刃獣達に挨拶を返しながら天道龍が告げる。

「百爪は、蒼貫槍様の第一使徒、蒼牙殿の娘でもある。下手をすれば、蒼貫槍様との関係も悪化する」

 残念そうな顔をする船翼海豚。

「解りました。百爪様の事は、諦めます」

 その様子を見て水流操竜が言う。

「お前は、本気でトラブルメーカーだな」

 それを聞いて、天道龍が言う。

「八百刃様からして、そのタイプなのだ。そこ等へんは、仕方あるまい」

 それを聞いて、船翼海豚が言う。

「そうだ。八百刃様が居た。狼打様みたいな例もあるから八百刃様と良い関係になるって言うのもありだな」

 呑気な船翼海豚だったが、その一言には、周りの八百刃獣が激しく反応する。

「今でも覚えている、あの柔らかい太もも。あの為に俺は、八百刃獣になったんだよな」

 だらしない顔で過去の体験を思い出している船翼海豚だったが、ジリジリと八百刃獣達が詰め寄ってきていた。

 水流操竜達は、ゆっくりと離れていく。

「ほっておいて宜しいのでしょうか?」

 和怒熊の言葉に天道龍が言う。

「私もこれをフォローする事は、出来ない」

 その後、船翼海豚が暫くその姿を見るものが居なかったが、その真相を誰も調べようとは、しなかった。



「そういえば、この頃、船翼海豚の顔を見ないね」

 百爪の言葉に、白牙が不機嫌そうな顔をして言う。

「あのロリコンと顔を合わせる必要は、無い。間違って、同じ仕事に配置された時は、言え。俺が変えるように指示する」

「白牙って過保護!」

 八百刃が茶化す中、白金虎が言う。

「実際問題、暫く仕事もしてないみたいですが、本気でどうしているのですか?」

 それを聞いて八百刃が頬を掻きながら言う。

「まあ、あれだけダメージ食らったら暫く復活するのは、難しいだろうね」

 それを聞いて百爪が言う。

「どっかの戦いでダメージを負ったの? あの速さだけが売りの船翼海豚にしては、珍しいね」

 白牙は、興味なさげに言う。

「代わりの配置は、終わっているから問題ないだろう」

 そんな中、白牙が八百刃の微妙な違和感に気付いた。

「おい、まさかと思うが、分身を出していないだろうな?」

 八百刃が言う。

「まさか、もし出していても、空間を渡れるほどの力を持たせて居たら、誰かに気付かれるよ」

 八百刃の言葉に白金虎も頷く。

「そうですね。この八百刃神殿は、神々の世界の中でも中枢部に存在します。そこから通常の世界に移動するためには、それなりの力が必要です」

 白牙は、それでも気に入らない様子で思案した結果、ある可能性を思いついてしまう。

「治癒室に居る筈の船翼海豚の所在を確認しろ!」

 それを聞いて舌打ちする八百刃。

「あのトラブルメーカーが!」

 白牙の怒声が八百刃神殿を揺るがす中、船翼海豚は、傷ついた体なのに、八百刃の分身を乗せて、幸せそうにしていたらしい。

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