表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/61

白牙と新たな八百刃獣

白牙と言うかその正妻と呼ばれる八百刃獣の参入の話+六極神です

 六極神ロッキョクシンとは、八百刃の時代の最上級神を示す俗称である。

 由来は、この当時の神々は、それぞれの能力に特化し、六極化した為だ。

 あくまで俗称であり、公式の場では、使われることは、無い。



「あのどうしても白牙様が行かないといけないのですか?」

 頭を三つ持つ犬の魔獣、三頭狛ミトウハクの言葉に白牙が頷く。

「今回は、担当神の昇格に因る、新規担当を任された神獣間の争いだ。圧倒出来るだけの力があり、その場で判断を行える者が行かないと不味い。上級の八百刃獣は、殆ど新任の安全確認で空きが無いからな。まあ、こういう時の為に、予備要員として俺が居る」

 三頭狛が顔を見合わせた後に言う。

「白牙様って、八百刃様の秘書じゃなかったのですか?」

 白牙の爪を伸ばして言う。

「中級のお前が何で誤解している。俺は、あくまで予備要員で、仕事が無い時にヤオの仕事のサポートをしているだけだ」

 三頭狛が顔をそれぞれ違う方向に背けて言う。

「どちらかと言うとそっちの仕事がメインだと思っていました」

 白牙が出かけ様とするが、三頭狛はそれでも止める。

「やはり、他の上級のお方に代わって貰った方が宜しいと思いますが」

 呆れた顔をして白牙が言う。

「それでは、予備要員の意味が無いだろうが」

 三頭狛が困った顔をしていう。

「しかし、白牙様が居ないと、事務処理の方が……」

 大きくため息を吐いて白牙が言う。

「そろそろ本格的に秘書官を置かないと不味いな。八百刃獣は、ヤオの性質上戦闘向きが多いから、適当な奴をスカウトしてくるか」

 三頭狛が呟く。

「八百刃様を通さず、そんな事を勝手にしていいのですか?」

 白牙が平然と言う。

「事務処理の大半を俺がやってるんだぞ?」

 三頭狛が納得する。

「八百刃様がノータッチでもまるで問題ないですね」

 そして周りが様々な理由で止めるが、白牙は目的地に向かっていった。



 目的の世界の管理空間に白牙が降り立つ。

「偶には、本来の仕事をしないとな」

 そして、周囲を見回すと、白牙と同じ、白い虎の神獣が居た。

「よく御出でくださいました。私は、この世界を担当神に替わって管理している五行虎ゴギョウコの一体、白金虎ハクキンコと申します」

 白牙が頷く。

「態々すまない。私が、八百刃様に使える八百刃獣の一刃、白牙だ」

 それを聞いて白金虎が驚く。

「八百刃様の第一使徒の白牙様! そんな偉いお方が来て下さったのですか?」

 白牙がため息を吐いて言う。

「周りの者にも勘違いされるのだが、私は、上級八百刃獣でないとこなせないトラブルや今回みたいな突発的な問題に対応する予備要員でしかない」

「そうなのですか。とにかく、こちらです」

 白金虎に案内されて、到着した先には、他の四体の虎が居た。

「貴様が、八百刃からの使者か?」

 そういって赤い虎が詰め寄ってくる。

赤火虎セキヒコ殿、八百刃様は、最上級神です、呼び捨ては、いけません」

 慌てて言う白金虎の言葉に、嫌味な笑みを浮かべる青い虎が答える。

「我々は、天包布様の配下、他の六極神に払う礼儀は、無いな」

青水虎セイスイコ殿! 無礼があれば、責めを負うことになります」

 白金虎が忠告するが、止まらない。

 黒い虎が言う。

「今回の一件は、あくまで内部の問題、八百刃が口を出す問題じゃ無いと思うがな」

 それに対して、白金虎が言う。

黒土虎コクドコ殿、事前に天包布様の配下のかたから連絡がありました。今回の一件は、派遣された八百刃獣に一任するとされています」

 緑の虎が机を砕く。

「そこが一番の問題だ! 何故、我々の問題が天包布様まで届いたのだ?」

 白金虎に視線が集まる中、白金虎が言う。

緑木虎リョクモクコ殿は、私を疑っているのですか?」

 青水虎が今思い出したような顔をして言う。

「そうだよな、いざ戦闘になれば、唯一の女性体であるお前が不利になるもんな」

 張り詰めた空気の中、白牙が呆れた顔をして言う。

「お前等、馬鹿か?」

 赤火虎がいきり立つ。

「何だと!」

 白牙が壁や床に映し出された世界の様子を指して言う。

「お前等が首座を争い、管理に滞りが発生した為、世界にどれだけの損害が出ているかが一目で解る。世界は、決して単独で存在していない。周囲の世界に影響に現れてそこから、今回の事件が発覚した。密告を疑う前に、自分達の仕事をちゃんとこなす事だな」

 悔しそうな顔をする五行虎。

「過去の資料を閲覧したい、何処にある?」

 白牙は、わざと黒土虎に問いかけた。

「何故、私に問う?」

 白牙は、続いて視線を向けると青水虎が言う。

「管轄じゃ無いんだ」

「私も違うぞ」

 緑木虎も直ぐに続き、赤火虎が言う。

「資料など、細かいことなど知ったことじゃ無い!」

 予想通りの反応に白牙が白金虎に言う。

「すまないが、案内を頼む」

 白金虎が頷く。

「こちらにまとめてあります」

 二体が出て行った後、青水虎が舌打ちする。

「失敗した。これでは、白金虎が自分に有利の資料を提示できる」

「姑息な手段を使いおって!」

 怒る赤火虎。



 資料に眼を通しながら白牙が言う。

「良く纏まった資料だな」

 白牙の言葉に白金虎が頭を下げる。

「ありがとうございます」

 白牙は、資料を確認しながら言う。

「しかし、自分でまとめたにしては、おまえの失敗が解る様になっている。どうしてだ?」

 白金虎が真直ぐな眼で言う。

「現場の者達は、資料を軽くみる傾向があります。しかし、正確な情報こそ、現場で動くには、必要な事だと考えています」

 白牙が頷く。

「そうだ。しかし、このままでは、この世界の管理は、不可能だな」

 白金虎が驚いた顔をする。

「どうしてですか?」

 白牙が白金虎を指差して言う。

「お前が力不足だ。他の四体の力と比べて、お前一人、力が劣っている為、調和が崩れるのは、時間の問題になっている」

 悔しそうな顔をする白金虎。

「それでしたら、代わりの者の手配の要請が必要ですね」

 白牙が頷く。

「しかし、その前に首座争いに決着をつけておかないと不味いな」

 そして白牙が準備を開始した。



 白牙は、世界の隙間五行虎を呼び出す。

「こんな所に呼び出して何をやらせるつもりだ!」

 緑木虎が言うと白牙が答える。

「それぞれが中心になり、五行陣からの攻撃を放ち、一歩でも後退させた者が首座だ」

 それを聞いて余裕満々の顔で青水虎が言う。

「白金虎を除く全員が出来たら、判定にもならないと思うが?」

 白牙が淡々と答える。

「その場合は、後退させた距離で決める。これなら明確だ、文句は、あるまい」

「こういうストレートな物を待ってたんだ! 俺が一番だぞ!」

 赤火虎が宣言し、五行虎は、その力が最大限に発揮される五行の形をとる。

 そして、トップに立った赤火虎が叫ぶ。

「火の力を見やがれ!」

 他の五行を巡り、増幅された火の力は、一直線に白牙に向かう。

 白牙は、それを爪の一振りで弾き飛ばす。

「そんな力勝負で私に勝てるつもりか?」

 悔しそうな顔をする赤火虎から青水虎にトップが変化する。

「水の怒涛の力を見るが良い!」

 凄まじい水流が白牙に襲い掛かるが、白牙は、爪の一振りで水流を切り裂いてしまう。

「収束されていない力では、切り裂くのは、容易い」

 歯軋りをする青水虎から緑木虎にトップが変化する。

「植物の生命力を見よ!」

 植物が白牙の足に迫るが、白牙は、腕を数回振って、全ての植物を切り裂く。

「目標があからさま過ぎるな」

 舌打ちする緑木虎から黒土虎にトップが変化する。

「大地の力には、誰も勝てない!」

 仮想の地面が大きく振動するが、白牙は苦笑するだけだった。

「こんな、制御されていない力でどうにかなると思ったのか?」

 愕然とする黒土虎から白金虎にトップが変化する。

「精一杯やらせて頂きます!」

 次々とランダムに放たれる金属の小球。

 白牙は、それを打ち砕いていくが、何発かが後ろ足の同箇所にヒットし、半歩だけ下がる。

「狙いは、良かったがパワー不足だな。それがお前の限界だ」

 項垂れる白金虎を見ながら白牙が断言する。

「これではっきりしたな、お前等には、首座の地位などまだ相応しくないと」

「だったらどうしろと言うんだ!」

 赤火虎の言葉に、青水虎や緑木虎、黒土虎も頷く。

 その中、白牙が見ると白金虎が告げる。

「私の力不足は、今ので、はっきりしました。五行虎の地位から抜けさせて頂きたく思います」

 いきなりの発言に驚く他の五行虎。

 そして白牙が言う。

「解った。その力を剥奪する」

 その宣言と共に、白金虎の五行虎としての力が抽出され、白牙に口に挟まれる。

「この力、新たな首座に相応しい者に渡すのも手だと思ったが、こうしよう」

 白牙は、その力を噛み砕き、四つに分けると残りの五行虎に分け与えた。

「その力は、お前等が力を合わせないと発動しない。そして、その力が無ければこの世界の管理は、成り立たない。お前等は、その意味を自ら考えるのだ」

 こうして一つの問題が解決した。



 元の世界に戻っていく白金虎を除く五行虎。

「これからどうする?」

 白牙の問いに白金虎が答える。

「力を失ったといえ、出来るだけ、この世界の為に何かをしていきたいと考えています」

 それに対して白牙が言う。

「私は、八百刃様の優秀な秘書官を探している。お前には、その才能があると考えている。どうだ?」

 驚く白金虎。

「私などがそんな大それた御役目は、無理です!」

 白牙が重ねて問う。

「私、いや俺の傍で働いて、手を貸して欲しいと思っている。お前が居れば大いに助かるんだ」

 それを聞いて少し顔を赤くし、顔を背ける白金虎。

「しかし、私などの力でお役に立てるとは、思えません」

 白牙がその顔の前に行き告げる。

「お前を見込んだ俺を信じてくれないか?」

 その目と言葉に白金虎が落ちた。

「解りました。どこまで出来るか解りませんが、誠心誠意頑張らせて頂きます」

「本当に助かる」

 白牙は、こうして新たな八百刃獣候補を連れて帰る事になった。



「白牙がOKだしたんならあちきは、良いよ」

 あっさり言う八百刃。

 深く頭を下げる白金虎。

「己の全てをかけて当たらせていただきます」

 八百刃が頷く。

「頑張って、ところでもうエッチは、やったの?」

 顔を真赤にする白金虎。

 白牙のその爪を八百刃の首に突きつける。

「冗談も休み休み言わないと、永遠に言えなくなるぞ」

「まだか。白牙ってけっこう手が早いから覚悟しておいた方が良いよ」

 八百刃の楽しそうな言葉に白牙が本気で爪を振るうが、八百刃は、それを紙一重でかわしていくのであった。



 特別編



 これは、白金虎が八百刃獣になった直後の話。



「これから、最上級神の所を回る。これから何かと顔を合わせる機会があるだろうから、紹介するから、ついて来い」

 白牙の言葉に心底驚く白金虎。

「そんな私などが、六極神様と直接会えるとは、思えません!」

 白牙が眉を顰めて言う。

「その六極神と言うのは、本人や公式の場では、禁句だ」

 慌てる白金虎。

「どういう事なのでしょうか?」

 白牙が複雑な顔をして言う。

「最上級神の総意だ。そう名乗ってしまえば、新たな最上級神の受け入れに抵抗が生まれる。序列も生まれかねないと、あくまで同列として特別な呼び名を使わないって事にしているのだ」

「解りました。それにしても皆様、本当に細部まで気をお使いになられる。やはり、最上級神になられる御方は、別格なのですね」

 白金虎が感動した顔をするのを見て白牙小さくため息を吐く。

「性格も別格だぞ。とにかくついて来い」

 こうして、白金虎の六極神巡りが始まる。



 全体を把握する事も不可能な大木の中心、そこにそれは、存在した。

「お久しぶりでございます、大地神、白老杖ハクロウジョウ様」

 頭を下げる白牙に倣って白金虎も目の前の渋い中年に頭を下げると白牙が注意する。

「お前が頭を下げてるのは、白老杖様の第一使徒、若人ワコウド殿だ」

「まさか、この後ろの大木が?」

 白金虎の言葉に、渋い中年の横に居た、赤子が高笑いを上げる。

「その発想、面白いの。わしが最上級神の一人、白老杖だ。元五行虎の白金虎」

 驚く白金虎に白牙が説明する。

「白老杖様は、現在の最上級神の中で唯一ホープワールド出身では、無い。それどころかオールドエイジと呼ばれる方々よりも古い。あらゆる記録上もっとも古い神だ」

「大変失礼をしました」

 何度も頭を下げる白金虎に白老杖が言う。

「気にせんで、良い。それより、仕事の話じゃな。若人、まとめておいた資料をお渡ししろ」

 若人が手に持った情報を白牙に渡す。

「新任の神々の過去の記録です。こちらでも一応の確認は、してありますが問題ありません」

「貴重な情報ありがとうございます」

 白牙も頭を下げてそれを受け取った所で白老杖が興味津々に言う。

「仕事の話が終った所で、そいつを正妻にするつもりか? 色多き白牙」

「個人情報を漏らすのは、止めてもらえますか!」

 白牙が眉間を引きつらせながら言う。

「白牙は、堅物そうに見えて、女に節操無くてな。出先で気に入った女を抱いては、捨てるので有名なのだ」

「本当ですか?」

 思わず聞き返す白金虎に白牙が訂正する。

「誤解だ。お互い、割り切った関係だ」

 白老杖が大きくため息を吐いて言う。

「お前に恋焦がれながら死んだ女がどれだけ居たことか。数えてみるか?」

「いい加減にしませんか?」

 白牙の目が怖くなった所で若人が言う。

「白老杖様、お時間です」

「もうそんな時間か。わしは、これから眠る。次、目覚めた時に又会おう」

 そのまま白老杖は、目を瞑ると大木の中に吸収されてしまう。

「白老杖様は、ああやって、大量の記憶を自分と同じ名を持つ神器たる神木に宿し、全ての過去を記録している。その記憶を用い、若人が現在の過去との差異をチェックして、問題があればそれを是正するのが、配下の神々の仕事になる」

「過去の差異とは、どういう意味ですか?」

 白金虎の質問に白牙が答える。

「今の神々の見解では、時に流れは、無く。ただ今があるだけなのだ。しかし、過去を変えることは、可能なのだ。どうやるか解るか?」

 白金虎が少し考えた後答える。

「今残っている記録と記憶を全て改ざんするのですか?」

 頷く白牙。

「ほぼ正解だ。実際には、エネルギーの位置の訂正など色々あるが、それをすれば過去は、変えられる。しかし、本来と異なる過去を生むと、どこかで歪がうまれる。そうなると世界全てを滅ぼす原因になる。それをさせない為に常日頃から、詳細なチェックをしている。動きこそ、後手後手だが、大切なお役目だ。覚えておくことだ」

 白金虎が大きく頷く。



 次に八百刃の神殿に近い、新名の神殿にやってきた。

「おひさしぶりです、時空神、新名様」

 新名が微笑みながら答える。

「おひさしぶりです。白牙さん、ご結婚おめでとうございます」

 慌てる白金虎を尻目に白牙が新名の横に居る第一使徒、狼打に言う。

「お前は、自分の仕える神に嘘を教えてどうする。だいたい、情報源は、何処からだ?」

 それに対して、狼打が自分の手に装備された甲虫の八百刃獣、闘甲虫トウコウチュウを指差して言う。

「闘甲虫は、八百刃獣だって事を忘れていたのか?」

 驚く白金虎。

「そうなのですか? でも、どうして狼打様がその先輩を装備されて居られるのですか?」

 白牙が威嚇するように闘甲虫を睨みながら答える。

「奴が人間だった時から貸し出ししていて、まだ返却されていない。いい加減、時空の安定を司る新名様の使徒になるか?」

 闘甲虫の代わりに狼打が答える。

「すまないが、このまま、八百刃獣に居させてくれ。気分的な物だとは、解っているのだが、俺にとっては、支えの一つだ」

 小さくため息を吐いた後、白牙が言う。

「だったら、変な情報収集に使うな。仕事の話に戻りましょう。新名様、新任の神々の影響は、どうでしょうか?」

 新名が眼で合図を送ると狼打が答える。

「エネルギーバランスの確認は、済んでいる。これがその資料だ。持って帰って八百刃様にお見せしてくれ」

「感謝する。それでは、次があるので」

 白牙が白金虎を連れて帰ろうとした所で新名が言う。

「結婚式には、招待してくださいね」

 ここまで来て、まだ嘘に気付かない天然系娘の新名であった。



 次にカジノみたいにけばけばしい金海波の神殿にやってきた。

「大海神、金海波様と約束している。取り次いでもらいたい」

 入り口で白牙がそういうと受付が困った顔をする。

「それがその金海波様が行方不明なのです」

「それは、一大事です!」

 本気で慌てる白金虎だったが、白牙は、慣れた様子で言う。

「また、例の病気だな?」

 受付が視線を合わせない。

 そんな中、金海波の第一使徒、金の鱗を持つ金鱗人キンリンジンが現れて言う。

「すまない。また、貢物で楽しむ為に篭っているみたいだ」

 大きくため息を吐いて白牙が言う。

「いい加減にしないと、討伐対象になるぞ」

 金鱗人も大きくため息を吐く。

 事態が飲み込めず首を傾げる白金虎。

 金鱗人は、白牙に情報を渡しながら言う。

「今の所、変な流れをもっている新任は、居ないが、資料は、渡しておく」

「感謝する。金海波様は、主に流れ、未来を司っている。間違った流れが生み出されないか常に監視している。その為、危険な流れを産む存在の排除も仕事としてあり、我々と協力体制を組むこともある」

 白牙の説明に白金虎が頷くと金鱗人が言う。

「新しい秘書官か。これからも色々とお世話になると思うのでよろしく頼む」

 慌てて白金虎が言う。

「未熟ですが、精一杯やらせて頂きますので、よろしくお願いします」

 こうして金海波の神殿を立ち去る白牙達。

 離れた所で白金虎が質問する。

「ところで、さっきの騒動は、なんなのですか?」

 白牙が疲れた顔をして言う。

「金海波様は、レズの上のロリコンだが、本人が直接相手を出来ない為、自分の力を分け与えた人間に幼女とエッチさせて、その記憶を捧げ物にしている。それを楽しむ為に、一時的に行方不明になるのだ」

 固まる白金虎。

「本当ですか?」

 沈痛な表情で白牙が頷くのであった。



 広大な敷地に大量の桜が生え、複数の月が浮かぶその場所に白牙達がやって来た。

「白牙様、あの人は、何をしているのですか?」

 白金虎の指差す方向を見て白牙がまたため息を吐く。

 ゆっくり近づくとそこには、今にも首をつろうとする男が居た。

「お久しぶりです、影星命神、月桜玉ゲツオウギョク様。また自殺ごっこですか?」

 白牙に気付いた月桜玉は、白牙の前足を掴み言う。

「君だったら私の後を任せられる。私が滅びた後は、任せたよ」

「どういうことですか!」

 パニック寸前の白金虎。

 そこに元妖精ハーフの少女が来て言う。

「月桜玉様! 白牙殿も仕事で来ているのですから、変な事を言って、困らせないで下さい。これは、こちらで調べた新任の予想寿命です。特に早死にしそうな御方は、いませんでした」

 資料を受け取り白牙が言う。

妖眼姫ヨウガンキ殿、感謝する。しかし、今度は、何だ? 前回は、確かどうやってか知らないが、携帯で知り合った小学生に嫌われただったな」

 それに対して妖眼姫がため息を吐いて答える。

「本気でどうやって繋げていたのか謎だけど、インターネットの出ていたジュニアアイドルの少年がクラスメイトの少女が好きだって書いてあったそうですよ」

 深いため息を吐き合う二人。

「あのー、どういう事なのか解らないのですが?」

 白金虎の言葉に妖眼姫が言う。

「解らなくても良い事よ。とりあえず、あたしは、生き物の生死の最終判断者、月桜玉様に仕え、生死を見続ける者、妖眼姫。多くの者が命を失う戦争を管轄する八百刃様との関係は、他の最上級神より深いわ。よろしく頼むわね」

「未熟者ですが、御指導のほ程お願いします」

 頭を下げる白金虎。

「無視されている。やはり私は、死んだ方が良いのだ」

 そのまま首吊りを始める月桜玉。

「ほっておいて良いのですか?」

 白金虎の言葉に妖眼姫が言う。

「神様が首つったくらいで死にますか。気が済むまでほっておいて。それからじゃないと仕事にもならないのよ」

「そうだな、次に行くぞ」

 白牙も同意して白金虎を連れてその場を後にする。



 最後に訪れたのは、今までの神殿の数倍豪華な天包布テンホウフの神殿。

 玉座に座る、今までの六極神には、無い王的雰囲気をかもし出す天包布が言う。

「久しいな、白牙。それでそっちが、動けぬ蒼牙ソウガの代わりだな?」

 白牙が顔を引きつらせながらも笑顔で言う。

「何を言っていらっしゃるのか解らないのですが、大天神、天包布様」

 天包布は、鷹揚に頷く。

「まあ、女の数は、男の甲斐性。お前は、それだけの仕事をしているのだからかまわんだろう。そうそう、仕事の話だったな。例の資料をもってこい」

 傍に仕えていた、眼鏡をかけた元エルフの女性が白牙に資料を渡す。

「これに、新任の現在の関係者のリストです」

「感謝致します。天包布様、五感妃ゴカンヒ殿」

 頭を下げる白牙を無視して天包布が白金虎を見下ろし言う。

「我々は、今を管理する。それは、即ち、ルールを作り、それを守らせること。それから外れる者も多く、その場合に八百刃には、色々手助けをしてもらう。お前の力も借りることに成ろう。頑張って仕事に当たってくれ」

 白金虎は、深々と頭を下げて言う。

「ありがたきお言葉、言葉にならない喜びです。そのお言葉に答えられるようこの身をかけ、仕事に当たらせて頂きます」

「それでは、失礼します」

 白牙が帰ろうとした時、五感妃が声を掛けてくる。

「何度も同じ事を言うのは、お互いに辛いことだが、言わせて貰いたい」

 白牙が思いっきり嫌そうな顔をしたが諦めて振り返ると五感妃が言う。

「八百刃様を現場に出さないで頂きたい! あのお方は、最上級神のお一人、間違っても現場で動いていて良いお方では、無い! 下の者達から八百刃様が現場に居ることで混乱したと、いくつも報告があるのだぞ!」

 白牙が頷く。

「解っております。我々も全力で阻止させて頂きたく思っております」

 そんな、下手な神より権力を持つ使徒同士の会話を聞いて天包布が言う。

「八百刃を止める事など誰にも出来ないな。しかし、抑制だけは、ちゃんとしておけよ」

 白牙が頭を下げる。

「ご忠告、謹んでお受けいたします」

 そして今度こそ白牙達は、八百刃の神殿に帰っていく。



「一人を除き、最上級神にあった感想は、どうだ?」

 白牙の言葉に白金虎が少し考えてから答える。

「皆さん、表向きは、明るく泰然としておられますが、その行動一つ一つに細心の注意がありました。自分達がどれほど重要な位置にいらっしゃるか理解し、努力なされている事が解り、より一層の献身の思いを持ちました」

 白牙が頷く。

「六極神という俗称すら気をつけなければいけないほど、我々の立場は、複雑な物だ。しかし、我々は、それに恐怖し、躊躇する事を許されない。常に最善を尽くす必要があるのだ」

「はい」

 白金虎が答え、八百刃の執務室に到着する。

「八百刃様、資料を預かって来ました。今度の最上級神会議に提出する資料の作成を……」

 そこで言葉が止まる。

「どう成されたのですか?」

 白金虎の言葉を無視して白牙が八百刃に近づき言う。

「今度は、どこに分身を出しやがった!」

 八百刃は、冷や汗を垂らしながら言う。

「何の事?」

 下手な神様レベルでも死にそうな視線(比喩抜き)を向けて白牙が言う。

「ついさっき五感妃にも念を押されたばっかりだって言うのに、貴様は!」

 白牙は、舌打ちして白金虎に預かってきた資料を渡す。

「これを整理しておいてくれ!」

「はい。どこに行かれるのでしょうか?」

 白金虎の質問に白牙が八百刃を指差して言う。

「あの馬鹿が、また分身を現場に向かわせやがったから回収に行くんだ。俺が帰ってくるまでこれ以上分身を神殿の外に出さない様に監視していろ!」

 そのまま駆け出していく。

 そんな白牙を眺めながら八百刃が言う。

「もう、せっかちなんだから。直ぐには、捕まらないと思うから、ゆっくりやってて良いよ」

 のん気な八百刃に白金虎が問う。

「宜しいのですか?」

 八百刃はあっさり頷く。

「あちきは、自分の八百刃獣を信じている。だから、ここであらやこれや指示を出すんで無く、自分も同じ様に働きたいの」

 白金虎が信じられないって顔をした。

「しかし、失敗する可能性も高くなると思いますが?」

 八百刃がはっきりと答える。

「失敗した時の責任をとるのがあちきの仕事だって思ってるよ。貴方も八百刃獣になったからには、自分の意思で正しい戦いを見つけなさい。それが本当に正しいと判断できたら、思うままに進みなさい。どんな失敗をしてもあちきが責任をとります」

「八百刃様……」

 八百刃の懐の深さに白金虎が感動していた頃、白牙は、卵料理屋で見つけた八百刃の捕獲を開始していたりするのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ