女神の野望
「フレイヤ様が再び再生したって?」
「わずか百年余りしか過ぎていないのに。..本当にこれからどうなるのか。」
老いれば火の中に老いた体を焼いて、新しく生まれるという火の鳥の伝説のように、こちらの神々は再生の過程を経て新しい神に再び生まれ変わることが一般的になっていた。
そして神が長生きすることが、その神を信じる者たちには大きい力になることまた、事実だった。
新しく生まれた神は容貌から性格まで、既存の神とは違うためだった。
「今回こそエルフという種族がこの世から消える時がきたのかも。」
伝令であるバルキリーの連絡に各地のエルフが女神の神殿でもあるセスルムニルに集まった。 そして彼らは前例がなかった女神のはやい再生に不安感を隠せずにいた。
実際にタークエルフの襲撃によってエルフの数が急減していた。 このままではエルフは滅びる可能性は高かった。
数万に達するエルフが集まって、不安な心を隠すことができないようだったが、静かなのを好む彼らの性格上それほど騒々しくはなかった。 彼らの鋭敏な耳のためにささやく声で話し合っていた。
「人間だ。 なぜここに人間が?」
「いや、人間であるはずがない。 女神様だ。」
人間美女の姿をした女神フレイヤが登場した瞬間、エルフは動揺した。
「現身されたことなのか? 人間のからだに?」
「いや、あれは現身とは違う気が。」
「美しいけれど、少しは偏った感じなのを。 人間とは確かに違って。 あんな容貌の人間があるわけがない。」
「それはそうと、どうして人間の姿をしたんだろう?」
「何か意図があるのか? まさかエルフを捨てることはないだろう?」
彼が女神キャラクターを作る時、参考にした情報がアニメーションを基礎で作られたことだった。 美しいけれど、正常な人間の容貌とは微妙に違った。
フレイヤが演壇に立って、場内が静かになった。
『運命』というゲームでもたびたび演説をする場合があった。 決まったテキストを読めば良いことだが、堂々としていて高貴な態度を取らなければ信仰心が鼓吹されるのではなく、落ちることもよくあった。
人間は内心で謙虚なリーダーよりは自信あって、自分と違いさらに優れて優秀な存在をリーダーで望むためだった。
彼は、いや女神はしばらく沈黙を持った後、口を開いた。そして、彼が覚えている唯一の演説を真似し始めた。
カリスマはどれくらい自身をよく整えるかによって決定される。 運命というゲームでもこのような演説をどれくらいうまく行うのかがゲームの難易度を決めた
「我々はひとりの神を失った!
しかし、これは敗北を意味するのか!?
否! 始まりなのだ!」
力強い演説にエルフたちは唖然としていた。反応はあまりよくなかった。
(ガンダムに出る演説だと分かっているんじゃないだろう。)
「アース神族に比べ我がエルフの力は100分の1以下である
にもかかわらず、今日まで戦い抜いてこられたのはなぜか?
諸君!
我がヴァン神族の戦争目的が正義だからだ!
これは諸君らが一番知っている。
我々は南の大地を追われ、北の寒い森の主民にさせられた!
そして ひと握りの神々が
新しい世界にまで来て人類を支配して2000余年!
平和に暮らしたい我々が自由を要求して何度、アース神族に踏みにじられたか!
ヴァンの神々に掲げるエルフひとりびとりの自由のための戦いを
天が見捨てるわけはない!
私の先任者、諸君らが愛してくれたフレイやは死んだ!!
なぜだ!?
新しい時代の覇権を我ら選ばれたエルフが得るは歴史の必然である。
ならば、我らは襟を正しこの戦局を打開しなければならぬ。
我々は過酷な北の森を生活の場としながらも共に苦悩し
錬磨して今日の文化を築き上げてきた…
かつてジオン・ダイクンは
人類の革新はエルフたる我々から始まるといった。
しかしながらアースの神々どもは
自分たちが人類の支配権を有すると増長し我々に抗戦をする。
諸君の母も、子も、
そのアース神族の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!
この悲しみも、怒りも忘れてはならない!
それを…フレイヤは…死をもって我々に示してくれた!
我々は今、この怒りを結集し、アース神族にたたきつけて、
はじめて真の勝利を得ることができる!
この勝利こそ、戦死者すべてへの最大のなぐさめとなる!
エルフよ!
悲しみを怒りに変えて立てよ、エルフよ!
我らエルフこそ
選ばれた民であることを忘れないで欲しいのだ!
優良児たる我らこそ人類を救い得るのである!」
力が入った彼の盗んだ演説にエルフたちはあまり反応しなかった。戦闘に向いていないエルフたちのことを考えたら当たり前のことだった。
「ジオン・ダイクンはいったい誰なの?」
「いままで人類は関係ないと思ったけど、敵だとは思っていた」
女神の宣言に、エルフたちが動揺した。 以前のフレイヤは人間との隔離を推進していた。 森に入ってきた人間は例外なく殺すことが彼女が決めた掟だった。
どうであれ女神の宣言はエルフに大きい意味を持っていた。 エルフたちは強い信仰心でフレイヤに結ばれていた。
今までは神託の形式で簡単な指示が降りてきたことがあったが、今回の演説は違った。
神託よりより大きい意味を有していた。
エルフ帝国の建国と積極的な戦争、それをいっていた。
彼は神官の中で一人を皇帝に決めた。
神官は女神に対する信仰心と忠誠度が高くなければ選択されなかった。同時に神官である以上、信仰心と忠誠度が強制的に維持される特性も持っていた。
裏切りたくても裏切ることはできない神官を皇帝にした。
もともと女神を中心に動いた祭政一致社会だったため問題はなかった。
ただし、人間を支配するという女神の宣言が持ってきた波紋があまりにも大きかったためにエルフたちの顔には不安感がいっぱいだった。
このまま行けば確かに滅亡するという危機意識を皆が持っていたので、希望を持つようになったこともまた否定できなかった。
通説と違いエルフの寿命はそんなに長くなかった。百世余りの寿命があった。 ただし、異世界では人間の寿命がきわめて短かった。 せいぜい40年だった。 平均寿命は二十程度と見ても過言ではなかった。
十三程度に成人式を終えて、結婚をして子供を産んで40になる前に戦場で死ぬか、家族に殺されるということだった。
お互いを信じることができないから睡眠もゆっくり寝られないことだし、老化がはやかった。
(ぴったり野蛮人と現代人の差と見れば良いぐらいだ。)’
フレイヤの加護を受けるだけに、きれいに老いたために年齢に比べて非常に若く見えたりしたが、確かに老化は存在していた。
美の女神フレイヤの神官は全部女性だった。 彼により決められた皇帝トリアも女性だった。
五十台の歳だが、三十台に見える気品ある美しい女性だった。 その年齢帯の女性の中では最も美しいといっても言い過ぎではなかった。
(小説や漫画のように年齢を完全超越したのではないか。 少し若く見えるだけだ。)
女帝トリアには娘があった。名前はリディアであった。 エルフは普通二十五に成人式を上げて、成人と見なされた。
彼女をよく見ると、パラメーターがあらわれた。女神キャラクター自体にはステータス ウィンドウが存在しなかったけれど、信者を調べる時はステータス ウィンドウが浮び上がった。
(信仰心忠誠心共にいっぱいだな。)
まだ神官にはならなかったけれど、十分に使うことができるようだった。
「あなたの娘リディアを侍女として使いたい。 大丈夫か?」
もちろん女帝も、リディアも拒否するはずがなかった。 エルフに、特に忠誠心と信仰心が高い者たちにフレイヤは絶対的だったためだった。
(地球に連れていって私の侍女、いやメイドで使えばどうかな。そしたら姉には何と言えばいいかな?)
彼の治療と侍女(予定)のリディアの存在をどのように姉に納得させられるかが問題であった。なぜか彼は隠すことだけを考えていた。
「まず考えなければならない問題はタークエルフたちだな. トリア. タークエルフ問題は私に任せて、君はまず帝国の整備に集中して被害を防ぐことだけに最善を尽くせ。」
現在の森の中に隠れたタークエルフは約一千、精鋭な若い戦士だけで一千に達することだし、対処も容易ではなく被害が大きい状況だった。
戦えるエルフは約二万に達するが、ほとんどのが民兵水準で、タークエルフ戦士に比較すれば実戦経験もなく、訓練も全くなっていないといっても言い過ぎではなかった。
帝国の整備には軍隊の養成自体も含まれていた。
(ゲーム キャラクターを利用してタークエルフたちと戦うのが最も現実的だろう。うまくいけばいいけど)