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序章
この世には、歴史上から消去された時代が在ることをご存知だろうか。
限られた人間は色と呼ばれる特殊な能力を持ち、彼らは忍として暗躍していた。
そして、その能力を持たない人々は高度な技術を次々に生み出し、町はどんどん栄えていった。
今も現存するものを挙げてみると、電気、薬缶、絆創膏や湿布……。
その他様々なものが開発され、人々の暮らしを豊かにした。
だが、そんな時代は長くは続かなかった。
高度な技術を次々と編み出し、肥やされた人間の知識。
それが災いを呼んだ。
高い技術を持った者たちは、持てる知恵を悪事に生かし、人間が人間を容易く殺めるようになったのだ。
さらに、技術者と組んで色を悪用する忍も現れ、世は混乱と恐怖の海へと化した。
この世の終わり。
それを恐れた政府は色によって時代と能力を封印し、歴史を修正したのだ。
水面に浮かぶ泡のように、儚く、しかし美しく消えていく時代。
人々はこの時代を”泡沫”と呼んだ。




