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銅のハンバーグ

私は病院にいた

自分のじゃない

生まれてすぐには小さすぎる知り合いの子どものお見舞いとして来るはずだった


でも自分も入院することになるかもしれない…




ある日その子の家に遊びに来ていた時のこと…



家はクリーム色と茶色に近いオレンジ色の平屋の広い家だった

玄関前は石畳でケンケンパのようにまだらに並んでいた

子ども達は玄関前で2人走り回って遊んでいる

3人兄弟の上の2人のようだ


玄関から見て左隣の家との境には柵の前にトマトの木が並んでいた

木だが、リングのようにトマトが出来ていた

トマトの木は横に5、6本並び、赤くなっているのがちらほら見受けられる


上の方はどうやって取るんだろう と、一緒に来た友達に問う

どうかな? って返ってきたから、

私ならあの幹に足をかけて登るかな? なんて、間にある曲がった大きな幹を指差した



家の主は、ワックスで整えられた金髪で色白のハンサムな男の人だ

金髪がよく似合っている ヨーロッパ系の顔だろうか

奥さんはおそらく日本人だが、ほとんど話をしていないからか記憶が定かではない


何語かは分からないが言葉は通じている


庭を案内してくれる と言うので子ども達とに外に来た

まだ11時頃だからだろう



私はトマトを眺めていた時、

向かいの家の前に軽トラックが走ってきては停まった


車の前部分は風船やガーランドで装飾されていた

装飾は前方の上だけで、風船は所々割れおり、見栄えが悪いのが少し気味が悪かった


降りたのは茶髪でラフな格好をしたアジアとヨーロッパの間くらいの顔の色白の男性だった


車を置いて、こちらの敷地にやって来ては


それはフルーツアロエですか?


と植物を見るのに屈んでいた主人に声を掛けた


あ、ああ、そうです


僕、フルーツアロエ大好きなんですよ!


そうなんですか

じゃあ、これをどうぞ・・・


と、面倒ごとを避けたいかの様に、ちょうど足元から摘み取られていた植物が手渡された


え!わぁ、ありがとうございます!


と、その男性は嬉しそうに両手いっぱい小さい葉っぱの形をした緑色の植物を持って車に乗り込んだ

身長は主人の方が頭半分くらい高いようだった


緑色の葉っぱの形をしたフルーツアロエと言われていた植物の大きさは5~10cmだろうか、

厚みは2~4cmという所だろう 外側は小さい毛があってふさふさしている

皮をむいて中身だけを食べるようだが、アロエを甘く、棘がないように改良されたようだ



私はその庭で1人でもらったお弁当を立って食べていた

それぞれ用事があってみんな出かけたようだ

なぜ立って食べていたのか、なぜこの庭の前で食べていたかは分からない


トマトの木を左側にして道路に向かってハンバーグ弁当を食べていた

ハンバーグ、ミートパスタ、ポテトサラダ、煮物、卵焼き…3分の1くらいは食べただろうか


ハンバーグの入っている枠の中にあった小さなタッパーを開けてみることにした

岩塩だと思っていた 開けると明るめな茶色の小さな粉があった

何も不安に思わず、ハンバーグを付けて食べてみることにした


ジャリ…



その時、ちょうど通りかかった工事現場のハンサムなおじさん2人がやってきて、

ちょっといいかな? と私に声をかけた


タッパーの匂いを嗅ぐと、


これはっ……


まさか、食べた?


と聞かれたので頷いた


匂いからして銅粉だね

病院に行った方がいい

連れてってあげるよ


え!?

どうふん!?


その瞬間頭によぎる、このお弁当が買われた先、お弁当のタッパーをよく見ると、

小さくトラックと風船のマークがあった。


まさかと思った


工事現場のおじさんに軽自動車に乗せてもらい、病院に行く途中であのトラックとすれ違った

フルーツアロエととトマトを盗みに行くのではないだろうか

もしかすると空き巣だって有り得る


でも、そんなことを言っている場合ではない

私も命がかかっているかもしれないからだ



病院に着くとお礼を言って車を降りた。

無理言って、この病院にしてもらったのだ

元々、お弁当を食べたらお見舞いに来るつもりだったからだ



銅粉を食べたから検査をお願いしたい

と言っても誰も信じてくれない

そんなことをするはずがないと思っているから


診察を待つ間、お見舞いに行くことにした

私が行くと喜んだあっくんと呼ぶ3歳くらいの少年は、ベッドの上にいた

もう点滴もしていなくて元気そうだ


ちょうどお昼を食べていた


そこに同じようなタッパーを見つけた


あっくん、これ、食べた?


と聞くと


うん と首を縦に振りながら答えたのだ



診察をするお医者さんが病棟まで来てくれた

お医者さんは黒茶の髪でミディアムヘアに少しカーブがかかった女性の先生だった

白衣が似合っていて格好良い


近くの診察室に移動して話をした


お弁当の話、あっくんの所にあったタッパーを渡して、食べてしまった話をした



それが本当なら、なぜ誰も緊急で動かなかったのかと先生が怒った


その地域では、鉄粉は鉄のハンバーグとして死をもたらす危険があると恐れられていた

以前、ハンバーグに鉄粉を入れた計画殺人がされ、臓器に粉末が刺さり内出血とともに亡くなった事件があったのだ


食べてすぐの歯、喉、胃や腸で消化される際に普通のものは溶けるが鉄や銅は解けずに残り、臓器にくっつき、刺さり、そこが荒れ、やがて血が出て…

もしくは、鉄や銅が溶けだし、摂りすぎたために体に異変が起こる


コーヒーの粉より細かく小さいのが厄介である。


上から歯科、(耳鼻)咽喉科、内科、消化器科…まずはほとんど全ての科で検査をしてみないと分からない と先生が言った


どこにあるか、くっついてしまっているかどうかによって手術をする必要があるとのことだ

吸引、または切り取らなければいけないようだ


そこで成分の摂りすぎ、炎症、内出血、様々な危険が考えられるからだ



まずはレントゲンで見てみましょうか

と声をかけられ、あっくんと共にすることにした


あっくんの向かいにレントゲン室があり向かった

保健室みたいな個室で少し落ち着けるような雰囲気であった


思ったより部屋は明るくベットがあり、机があり、その一角にレントゲンの機械がある


上半身脱いで待機することになった

ベットの上に服を置いていく


私が上半身脱いだ時、何故か上半身裸の男性医師がやってきた


え!?!?

と思ったが、何故裸かは知らないが、医者だから患者としか思われてない

だから見られても大丈夫だろう向こうも裸だしと思うことにして無視をすることにした


あ、~~先生

いらしたんですね

銅粉を飲み込んだようでレントゲンを…と撮影するボタンのところで少し話し声が聞こえた


あっくんも脱がせることになったのだか…

子どもは全身撮れるからとあっくんは何故かパンツ一丁にさせられた


あっくんを抱っこしていたが私から離されるとあっくんは嫌がった


私から撮るつもりだったが、あっくんを抱き抱えていて上手く撮れず、あっくんから撮ることにした

あっくんのお腹をレントゲンの機械にくっつけた


あっくんちょっとだけ我慢してね

冷たいかなー? と後ろからこっそり話しかける



はい、OKです


次、お姉さんお願いします


と言われてどうしようと苦肉の策が、

あっくんをおんぶしたまま、首からお腹をレントゲンにくっつけることだった

どうにかうまく撮れたようだ


服を着るのが大変だ



あっくん自分で着れ……なそうだね…


あっくん100まで数えられる?


と聞くと 100まで言える!


と言うのでお願いすることにした

そう、この100秒を頑張って数えてくれている間に私の着替えを終えるつもりなのだ


よーいどん!


いーち、にーい、さーん、ろーく、じゅーにー…


あっくん!ちゃんと数えてー!笑


というとケラケラ笑ってから途中からちゃんと数え始めた

100秒には間に合ったようだ


お待たせしました とあっくんに声をかける


向こうで着る

と言ったあっくんを抱っこして、あっくんの服を掴んで向かいの病室に戻りベッドに寝かせたあっくんに服を着せた


さっきまで100cm近くあった身長が何故かあっくんが20cm程度になっていて、着ていた服も小さくなっていた


担当らしい看護師と協力して親指と人差し指で服を着せていく

ハンドメイドのようで、ちょっと荒々しい作りがまた可愛く出来ている



先生が来たので、歯科も出来ますか?


と、声をかけた

そうですね、順番にしないといけないですね…と話してると


歯科医がやって来てまずは私が見てもらうことにした。


上を向いて口を開ける

ジャリっと言ったのは私から左側だと伝えてある。


茶色いのあるね…


と白衣の歯科医が言う


取ってみようかと用意された吸引器が口の中でゴオォっと音がする



検査等はまだまだかかりそうだ


悪く言えば手術も考えられる



計画殺人として警察とも話をしないといけないな…


あの家族が危ないかもしれない…




と思いながら私は目が覚めた





※フルーツアロエ、鉄粉、銅粉の情報は夢で見ただけの創作でありフィクションです

人に危害を加える危険なこと、また自分を苦しめることは絶対にやめましょう

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