この素晴らしいポエムを朗読します・4
さぁ始めようか、朗読と言う名の黒歴史の時間を!
翌日
2限目の授業が終わり、休憩時間になると同時に、竹林と堀田は「どうすればナマイキな黒木を泣かせられるか」をコソコソと相談し始めた。
本人たちは『コソコソ』と内緒話をしているつもりだが、実際には『ギャワギャワ』と大声で騒いでいるため、クラスメイトたちは今日もウンザリしていた。
そんなドンヨリした雰囲気の5組の前を通る花さんを見付けた堀田は、
「おい!!黒木!!ちょっと来いよ!!用があんのよ!!」と、ニヤニヤしながら叫ぶ。
何か嫌がらせのネタでも思い付いたらしく、竹林も笑いを堪えるようにニタニタしている。
ドアの側にいた男子が「アイツら企んでたぞ」と、コッソリ知らせるが、小さく頷いた花さんは、何も気付いてない無防備な足取りで堀田の前に行く。
「用って何?私は暇じゃないんだけど」
「ケッ!いっつもヒマそうにしてるクセに…まぁいいわ、コレ、ゴミだから拾ってよ」
そう言うなり、堀田は椅子の上に立ち、花さんの頭の上から千切った大量の紙を撒き散らす。
「あっはははは!アンタ、ゴミ好きなんだから うれしいでしょー!」
「ギャハハハハッ!スッゲー!キレイになったじゃん!」
常軌を逸したような迷惑コンビに、5組の生徒たちは真っ青になる。
「…なぁ~んだ、私が想定していた以下より下の、しょ~~もないことしか思い付かない頭が2つもあるのか…確かにゴミで要らないわね~」
皆の視線が集まる中、妙に楽しそうに話す花さん。
「昨日のノート、捨てるには惜しい価値があったから返そうと持ってきたんだけど、こんなふうにバラバラにされたくないから、預かっとくわね」
竹林は気付いてないのか、花さんへの嫌がらせも忘れ「それ、誰かの日記だったんでしょ!?今すぐ読んでみなさいよ!」と、大ハシャギする。
「……『今すぐ読んで』って言質頂きましたよ…ボソッ……では、この素晴らしいポエムを朗読します!
作者は、クルリン星マーク ミラクルラブリースイート・ラッキースター・キューティクリームプリン8世プリンセス姫さんのポエム。
タイトルは『夢みたいなあなたが天便だよ』です。
【Lave Laveハッピータイムは わたしの夢の中
毎日 星マークにおねがいするよ
天便の玉子様がおちてくるのが
わたしのHoppiハートマーク3個 辛い辛い辛い時なよね
あなたは家ねの上から わたしに毎日言うの
世階のいちばんは Puryttはキミさ!!!!!って星マーク
Hoppiハートマーク3個 Hoppiハートマーク3個
LaveLaveLaveハートマーク3個】
……ご静聴ありがとうございました。
クルリン星マーク ミラクルラブリースイート・ラッキースター・キューティクリームプリン8世プリンセス姫さんのポエム『夢みたいなあなたが天便だよ』その1、でした。
これから…だと時間が無いか、昼休みにでも文芸部と相談して、山野先生に許可貰ってからだけど、来月の『青翔』に載ったら読んでね。ああそれと、他人の迷惑になるように、わざと置いたり捨てたりした私物はゴミじゃないから、自力で何とかしてね。じゃっ!」
シーーーンと静まり返る5組の生徒たちに、右手を敬礼のようにシュビッ!と上げて、花さんは自分のクラスに帰っていく。
◇◆◇◆◇◆◇
5組の生徒たち
「さっきのポエム…ポエム?って詩か、ムチャクチャな内容だよな」
「内容というより、意味がわからん」
「…それより気付いたか?あのノートの裏に書いてあった名前」
「うん見た。自分で自分の名前書いてたのに気付かないもんかな?」
「いやあれ、最初…というか、読み始めてから見えるように持ち直したんだよ。クルリン姫って言った後に」
「ぶっ!お前その名前言うなよ!思い出したら…ぶくくっ!」
「…それにしてもさぁ…あんなバカからバカにされて怒らないなんて、黒木さんスゲェよなぁ」
「うん、いつも女子が『親切だから、からかうな』って言うのわかる」
「え?黒木さん、あれでも怒ってるんだよ?」
「うんうん、まだまだ序の口らしいけどね?」
「ちょっと前に黒木さんが私を庇ってくれたことがあるんだけど、すっごいボコボコに言い返してくれたから、本気で怒ってるのかと思って聞いたら『え?こんなの本気の内に入んないよ。アホな悪口に説教しただけだもん。じゃっ!気を付けてね』って、スッと去って行くんだから」
「それより、あの頭がどうかしてるポエムを読んでる間、無表情だったのが怖いわ……」
「「「「……確かに……」」」」
2年8組の文芸部 副部長・瀧川さん「私は嫌よ!こんなゲテモノを最後まで読むの!私の脳が呪われるわー!」
花さん「私も最後まで読んでないけど、呪われるって大袈裟な…うん…まぁもしも呪われても何とか出来そうだし」
瀧川さん「何とかって何!?」