這い寄れ!焼きそばパンくん・3
そういえば、つぶ餡が入ったパンが頭部の主人公の異世界には、擬人化した焼きそばパンって居なかったような…
(『つぶ餡』は公式設定です)
「あの……」
「……………」
「えっと………」
「……………」
「………ゴメン!!今日の昼、絶対買って渡す!!だからもう勘弁して!!」
(よし!勝った!)
花さんの無言の圧力に、お調子者男子は頭を下げた。
…正確には『無言』だけではないのだが…
◇◆◇◆◇◆◇
焼きそばパン惨劇事件から3日
朝から教室内が妙にザワついていた。
「なにアレ…本物じゃないよね?」
「作り物だとしても、あんなの売ってる?」
「わたし聞いてきたよ!アレ、黒木さんが作ったんだって」
「え!?作ったのか…って、作れるのか!?」
「マジで!?」
「おはよ~クロキっちゃん、お疲れかい?」
「おはよう、疲れるほど夜更かししてないよ。中身を手抜きしてるもん、ほら」
「あ、ホントだ!中身取ったら、なんか面白い♪(笑)」
「先生に注意されたらどうすんの?」
「大丈夫。『文化祭で販売する試作品の実用実験中です』って通るように、簡易的な『筆箱』になってるから。手抜きだから、消しゴムしか入らないけど(苦笑)」
「「「入るんかいっ!」」」
花さんの机の上には、焼きそばパンを模した ぬいぐるみ…筆箱?…が鎮座している。
本体とキャベツ・紅ショウガはフェルト生地と化繊綿、麺は毛糸。
もちろん、花さんの手芸スキルで錬成(縫製)された物である。
…まぁ『手抜き』なので、おままごと玩具の食品レベルな見た目なのだが、「なんとなく食べられそう」に感じてしまうのが、ミステリー……
何か怪しい物質と一緒に、等価交換で創造されてるのかも知れない……(怖いわっ!)
◆◇◆◇◆◇◆
お調子者男子は最初ギョッ!と驚きつつも無視を決め込んでいたが、授業中、
焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン コロッケパンは不可 焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン おのれお調子者め 焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン 最期までヤル 焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン焼きそばパン お好み焼きパン
花さんがメモ帳にビッシリと書き込んでいるのを見てしまい、「むっちゃ怖かった…(涙目)」と反省していた。
花さんがその後、フェイクスイーツ作りに目覚めたり、文化祭で販売したぬいぐるみマスコットで「ざまぁ!」したりするのは、別の話である。
読んでいただき、ありがとうございます。
・花さんとお調子者男子は隣の席でした。
・花さんは『隣のサイコさん』ではありませんが、『隣のジブリ好き』です。