這い寄れ!焼きそばパンくん・2
某RPGのアイテム『やくそう』は、『蓬』だと確信している私。
「あのバカ…素直に戻って来るかな…?」
花さんの呟きに、
「バカだけど戻って来るよ。戻って来ないと、クロキっちゃんが更に怒ると思うだろうし」
「うん、あれだけ元気にダッシュしてたもん。バカは体力だけはあるもんね」
「あ~、確かに体力だけはあるよね~。骨が2~3本折れてても、バカだから『覚えてない』とかあるし」
「あんまりバカにバカって言ったらアカンよ。バカはバカなりにバカを治そうと、コッソリ生えてて幻と言われてる虹色の草を探してたりするんだからねぇ」
「「「治る草があるの?」」」
「え、その辺に生えてるわけないやん。バカにしか見つからない貴重な薬草があるらしいけど、伝説だし」
「「「……ツッコむ所がわかんないよ、そのネタ……」」」
楽しげにヘイト談義をしていたが、花さんの素なのか地なのか天然なのか不明で、『もしかして本当の話?』と信じてしまいそうなボケに、流石の友人たちもツッコミできない…
◆◇◆◇◆◇◆
お調子者男子は、ローマの暴君の元へ走って戻ってきた青年のように汗だくだったが、自分が助けるどころか落として踏みつけた焼きそばパンの残骸が弔われるように丁重にハンカチに乗せられ「次は踏まれても潰れないドイツの硬い黒パンになってね…」と花さんと友人たちに祈られている異様な光景に、汗が止まらなかった…
◇◆◇◆◇◆◇
「戻ってきたのはいいけど、なんで手ぶらなの?学食まで行っただけ?」
「え?……………あっ!?」
「うん、期待してなかったけど、予想通り過ぎて呆れるわ……とりあえず明後日の昼休み終了まで待ってるから、新しい焼きそばパンお願いね」
◇◆◇◆◇◆◇
2日後の昼休み終了間近
「アイツ、昼休みになったらダッシュで何処か行ったぞ」
「学食と反対方向だから、チャリ(自転車)置き場だろ」
「情報ありがとう。あのバカ、隠れても必ず見つけ…いや、早退か?私が甘く見られてるとは…フフフ…」
((黒木、怖ぇぇぇ~~!!))
「よし!ちょっと頑張るか!」
((何を頑張るんだよー!?))
同級生男子2人が静かにビビってるのに気付かず、1人で拳を上げて気合いを入れる花さんだった。
『黒木さん』の作中会話で書いてるネタは、作者が学生時代にツッコミ不可能とされた、悲しいボケです…
今回は、走れメ○ス・懐かしの魔女っ子アニメ『花の子ル○ルン』・ドイツ昔話の定番『イワ○のバカ』・禁じられた遊び・赤い彗星少佐のセリフ