第6話
何回か剣を交えた後、エルは大きく上段に振りかぶる。ヴァンパイアはその隙を見逃さず、エルの脇腹にステッキを叩きこむ、が、エルの体はユ・コートで物理耐性がありダメージはほとんどない。ヴァンパイアが理解しかねているところをエルが袈裟斬りにして心臓も長剣で貫いた。ヴァンパイアの体が煙となって消える。
・・・ん、誰かの背中?クウガさん・・・?つっ痛いおなか・・・
「まだ大人しくしていろ」クウガが優しく言ってくれた。
「クウガさん、優しいんだ」
「任務だ」
「ごめんなさい」ユッカの目から涙があふれてきた。
「どうした?」
「私、みんなの足を引っ張ってばかりで、何の役にも立っていないよね」
「バカ、そんなことないだろ、お前の土魔法がなければ夜眠ることすらできない、戦闘だけがパーティーじゃないぞ」
「クウガさん、そんなに優しくしたら、私好きになっちゃいますよ?」
「おう、良かったらお兄ちゃんと呼んでくれ!」
「お兄ちゃん・・・、はは、そうですね」
「ん?」
「もう降ります!降ろしてください」
「あ、ああ」
ユッカはすたすたと歩き始める。
「俺何か悪いこと言ったか?」アルナに耳打ちする。
「バーカ」
採掘ポイントを二つ通り、レア鉱石をゲットしたが、ボスの部屋の前まで、モンスターとは遭遇せずに済んだ。朝キャンプを出てからは9時間近くが経過していた、
「ボス戦の説明をします。ボスはアーマードラゴン、首と胴、いわゆる弱点部分の皮膚がものすごく硬いことから、そう呼ばれています。今回の依頼は、その心臓と、硬い皮膚を持って帰ること。おそらく伝説級の防具になるでしょうね」
「そういう防具はギルドに頼まないで自分で取りに来なきゃな」ゴッドが茶々を入れる。
「戦い方は、ゴッドとユッカちゃんのパク・ドラゴンが盾役、エルは飛んで上から比較的弱い背中を攻撃して、クウガは足を狙って、私は眼と顔に攻撃を集中させる、ユッカちゃんはパク・ドラゴンが倒されたらすぐに次のパク・ドラゴンを召喚して、それとなるべく距離を取って。全員に言えるけどドラゴンのブレスは物理・魔法防御を貫通してくるから必ず避けて、以上」