03 SAMURAI・・悪玉登場!
その頃。
「てめぇら、それでもヤクザ者か!! 女の一人もつかまえてこれねぇなんて!!」と組長が、子分を殴っていた。
「しかし、組長、あいつ、強い用心棒がいるみたいで・・・・!!」
「用心棒?? 雇えるわけねぇだろ。金もねぇのに。」
「けど、赤い髪の侍で・・・・腕がめっぽう強いんです!」
ジャキン!と奥の部屋から音がする。
ボン・・・とふすまを開けると、そこには目つきの悪い男が子分を見る。
目つきも悪いが刀を見ながらニヤニヤと笑っている。
髪は少し長く黒く、背は180cmくらいあるだろうか。
「せ・・・先生。」
「やぁやぁ、話は聞いたよ。で?? 赤い髪の侍が借金取りの邪魔をしたって??」
「は・・・はい。」
「そいつは・・・たっぷりと御礼をしなきゃだねぇ・・・・。」
そういうと、舌なめずりして、「女かぁ・・・久しく斬ってないなぁ・・・ふふ。」と刀を見る。
不気味極まりない。
「おい、先生よう、殺すなら確実に殺してくれよ。」
「誰にものを言っているのです?? 私は、これでもたくさんの人間の命を殺めてきた、安川 明正〔やすかわ あきまさ〕に向かって・・・・」
そう言って、刀を子分に向ける。「動かないで。」笑ってそういうと、バシュン!と言う音ともに刀を振ると・・・パサ・・・と子分のチョンマゲを斬った。
「少しでも動いたら、頭ごと斬ってましたね・・・」
「おいおい・・・・。」
「ま、いいでしょう。あなた方はその男とその女の追跡と情報を、捕まえてもいいですし・・・私は斬れればそれでいいですから。」
そういうと、安川は出て行った。
「組長、いつまであんな奴、仲間にしておくんですか!?」
「うるせぇ・・・あいつはとりあえず、仲間にしておけば他の組も手出しは出来ねぇ・・なんてたって・・・極悪人。この世界じゃあ・・・大層な数の殺ししてきてんだからよ。」
そういうと、組長はパイプを手に取り、煙草を吸った。その手はかすかながら震えていた。
紅丸は道に迷っていた。昼も終わって夕方も近くなってきている。
ここどこだ?? 全く分からない。 しかも暗くなってきた。
すると、道の向こうから、1人のサムライと二人のチンピラが来た。
サムライが中央にいて、チンピラがその周りを取り囲むように歩いている。
仲間としてつるんで歩いているようだ。
その時、ドス!と音がし、紅丸は中央のサムライにぶつかってしまった。
紅丸はわざとぶつかったのだ。強そうだと思うと喧嘩を売る癖がある。
「お、悪いな。」
「いえ、こちらこそ・・・。」
二人の間には、不穏な空気が漂う。
「あなた何人斬って来ました?? その若さで。」
「あ??」と紅丸が首をかしげて聞く。
何言ってんだコイツ??と思いながら。
「いえ、その目から・・・なにか・・・・死人の声が聞こえる気がするもので・・フフ、あなたと戦ってみたいですねぇ・・・」
「あぁ・・・じゃあ、もし、てめぇと俺が斬り合ったら・・・どっちが勝つと思うよ??」
「それは・・・・」
「何だ??」
「斬りあってみないと、分からないですね。」
フッと笑うと、サムライは「是非、斬りあいたいですねぇ・・・」と笑うと、紅丸に近づき、「でも、今は用がありますので・・・いずれあったらしましょうね。」と言って道なりに歩いていく。
「あ、待ってください! 安川先生!!」とチンピラがその後を追いかけていく。
紅丸は小声で、「気味の悪い奴。」と言って、サムライとは逆の道を歩いていった。