ゲシュタルト崩壊するくらいのいつも通り
うちの子を書いてくださってる天の邪鬼先生の作品読んでたら書きたくなったので短いですが導入部分的な感じで書きました。
このままゆるーく続けていくつもりなので、ここで僕の生存を報告させていただきます。
「ほーら、彩花ー。起きないと遅刻するぞー」
ゆさゆさと誰かが僕の体を揺さぶる。んん……誰だ、僕の睡眠時間を邪魔するの……すやぁ……
「おーい!二度寝するなー!いい加減起きろっ!」
バサッ、と頭から被っていた毛布が剥がされる。おかげで外の光がモロに当たって眩しい。
「んんぅ……はじめ、乱暴すぎ……もう少し優しく……」
「乱暴にされたくなかったらもう少し早く起きろー。それより、学校遅れるぞ」
それはまずい。まずいのだがなぜか僕の周りの重力だけ異常に強いらしい。起き上がれない。
「ごめん……はじめ、僕はもう限界みたいだ……僕の屍を超えていけ……っ!」
「ほら、馬鹿な事言ってないでさっさと学校行くぞー」
抵抗虚しく、僕は床の上を引きずられていく。いつ見てもこのフローリング綺麗だよなぁ……はじめ、どれだけ掃除してるんだか……。
リビングまで引きずられてきた僕の前に、学校の制服が落とされる。
「さっさと着替えてご飯食べちゃえよ。じゃないとほんとに間に合わないぞ」
僕たち二人は、電車通学のためそれなりに時間がかかる。だから、きちんと寝ないといけないはずなのだが……
「で?昨日は何時に寝たんだ?彩花」
「えーっと……四時くらいかなー……あはは」
着替えを済ませ、はじめが作ってくれた朝ごはんを食べている途中にそんな質問をされ答える。はじめの反応はいつも通り呆れたような感じだった。
「そろそろテストなのに全く勉強やってないみたいだが?やらなくていいのか?」
「まぁ、前日に範囲のとこ確認するだけでいいでしょ。それより今はイベント走らないと」
はじめは大きくため息をつくと、それ以上何も言わずに自分の部屋に行く。数分後、僕と自分の鞄を持ってきた。そろそろ出る時間か。
「毎朝ありがとね?」
「気にするな、いつもの事だろ?」
そんないつも通りの挨拶をしながら家を出る。鍵は僕も一応持ってはいるが、ほとんどはじめに任せっぱなしだ。万が一失くしたりでもしたら大変だからね。
僕たちはいつも通りの道をいつも通り歩き、いつも通りの時間にいつも通りのホームに行く。なんかいつも通りが多すぎて軽くゲシュタルト崩壊しそうだ。
「お、一席空いてるみたいだぞ。私はいいから彩花座れよ」
「それじゃあありがたく……着いたら起こして」
そうとだけ言うと、僕の意識は夢の中に溶けて行った。
彩花が常に眠そうなのは、作者がそういう人だからです