お○ま様に摂り憑かれて…大嫌いな「将棋」が大好きになっちゃった!!!~中盤⑨ お○ま様空戦~
舞は不思議と恐怖心が無かった‥恐いと感じる事も忘れ、ただ集中し、今の局面を推し量る…
「55に角はいない‥これは取る一手だ…」と、その手を指そうと決めていた
だが、直には指さなかった‥意識の中で流模と指した時の事を思い浮かべていた…
将棋の内容としては、決して良い内容とは言え無かったが「良い呼吸でした」と誉められたのだった…
父からは「そぅじゃねぇ!!!何だその手は!!!」と、罵声しか記憶に無い舞にとっては、本当に嬉しい言葉…
その流模が「舞さんは勝てます」と言い切ったのだ‥その言葉は嘘でも嬉しかった‥「良い将棋を見せたい」と心から思った…
「ふぅ…」と一呼吸置く…そして36の歩を取り、36と歩を突いた…「先手、同じく▲36歩」と、真実が読み終える前に
田も素早く36の歩を取り、飛車を滑らせた‥「後手、同じく△36飛車」と言い‥しばし沈黙が訪れる…
舞は「何時もの私なら37歩で蓋を‥そんなだから‥駄目なんだ…」と呟く…
「39の拠点は金で+1‥38の拠点は金・飛車で+2‥37の拠点は桂馬で+1…ならば、39と37の拠点を+2にする…」と39の銀を手にし28に指す
真実は「先手▲28銀」と読上げる‥舞は37・38・39の拠点を+2にし、飛車を効かせ銀を守る‥「良い将棋を‥指すんだ…」と、思わず呟いていた…
田は「『空中戦』だな‥面白ぇ‥間違えんなよ…」と、呟き36の飛車を持つ
一手でも間違えば、一気に崩れる…それは舞への助言ではなく、将棋を指したい‥楽しみたい為だけの言葉だった…
そして34へゆっくりと引いた‥力を溜めに溜めて一気に突き崩す‥その意志が、舞にも十二分に伝わる一手であった…
舞は「ルモさん、怖いね…」と心で囁く、死に対する事ではなく将棋の事であった‥「えぇ‥怖いです…」と落着いた口調で流模も囁き返す
「お互いに怖いのですよ」と言う声に、舞は落着き掃うと「うん」と舞は頷いた‥その間に真実は「後手△34飛車」を読み上げ、舞の手を待つ…
舞は暫く考えて、49金を手に取り38金と指した、飛車を効かせ3筋を守る、舞が考え出した、唯一の「最善の一手」だった
※これまでの棋譜
▲76歩△34歩▲66歩△35歩▲68銀△32飛車▲67銀△62玉▲77角△72玉▲88飛車△36歩▲同歩△同飛車▲28銀△34飛車▲38金
17手目迄