お○ま様に摂り憑かれて…大嫌いな「将棋」が大好きになっちゃった!!!~中盤⑧ お○ま様雨音~
礼美は舞の涙を拭うと「さぁ‥泣かないで…自信を持って指しなさい」と優しく髪を撫でる
舞は何度も「うん‥うん…」と頷き「パパとじいちゃんに謝る…」と言い、大きく息をし、盤面を見る
舞は角を持ちながら「皆さん有難う、後、駒‥傷つけた事‥ご免なさい…」と、謝罪とお礼を言いながら、77角と指した
玉が62と上がっただけなのに、3段目がとても厚く感じたが‥舞に迷いはなかった…
皆、優しい‥その想いに応えたい‥だから思い切り「将棋を指そう」と決めたのだった…
苺風は「私もね?矢倉練習してるのよ、舞ちゃん菊水矢倉教えてあげるね?」と優しく問いかけ
真実も「先手▲77角…俺も教えてやる…」と舞に言ったのだった…
舞はお駒様の優しさに触れ、また涙が出そうだったが、堪えて「うん‥うん…」と、何度も頷いていた
田は、更に玉を右へと進め「少しは‥指せる様になったんだな…」それは独り言の様であったが、舞への問い掛けにも感じ
扇子で隠してはいたが、口角を上げた事が、はっきりと解る…
舞は「うん」と答え、飛車を振った‥真実は「後手△78玉‥先手▲88飛車…」と静かに言う…
舞は「ルモさんとの将棋‥とても楽しかった…ルモさんはきっと良いお駒様なんだ…」と心に思う
流模は「舞さん、聞こえてますよ」と舞の心に囁きかけ、舞は頬を赤らめた…「でも本当だよ」と心で囁き返したのだった
田は、ただただ、楽しかった‥遠い所で喧嘩するより、王に近づく手筋を選び
8筋に飛車を回す‥何より飛車を活かす発想…そう思うと、安易な様で「最善の一手」である
どんな受けをするのか‥その発想も知りたい‥自然と笑みが零れていた…
「良い手だ…」田は扇子を鳴らしながら、舞にそう言っていた
「では行くぞ…」田はそう言うと力強く3筋の歩を突く‥12手目‥真実は「後手△36歩」と静かに言った
先手の歩と後手の歩がぶつかり、静寂が流れて‥雨音だけが響き渡っていた…
※これまでの棋譜
▲76歩△34歩▲66歩△35歩▲68銀△32飛車▲67銀△62玉▲77角△72玉▲88飛車△36歩
12手目迄