お○ま様に摂り憑かれて…大嫌いな「将棋」が大好きになっちゃった!!!~中盤⑤ お○ま様三間~
「先手▲76歩」真実は静かに言った‥田は扇子を口元に添え動かない…
女性用の着物を着たせいもあり、胡坐を掻き難そうであった
2分程経過するが2手目を指さず、依然右膝に右肘を置き、扇子を口元に添えたままであった
「てめぇ‥いい加減にしろよ…舞は熱があんだ‥2手目にどんだけ時間掛けてんだ…」田に向けて龍樹が言う
「あぁ‥こんな体調じゃ‥将棋所じゃねぇ…まともに指せるかすら…指せたとしても150手以上の長期戦に‥いや100手指せる体力が有るのか…」と
情二も呟く様に言ったのだった…
「情二‥たまに面白い事言うな‥100手か‥よし、やろう…」と言い田は△34歩と突いた
互いに角道を開け睨み合う形となる‥真実は「後手△34歩」と静かに言う…
舞は聞いていなかった‥「聞こえていない」と言った方が正しい…
田が△34歩と突いた指が、鮮やかで、力強く、感動すらしていた…
「私もこんな風に指したい」と思い幾度か練習したが、上手く慣れず「理想形」が田の指使いその物だった…
「いけない‥集中しなきゃ…」と思い盤面に目を戻すが、頭がふらつき、フワついている‥少し寒い…
震えは腕のみならず、全身が小刻みに震えていた
礼美は毛布を探し、舞の肩に掛けたが、それすら気付かず3手目を考えていた…
飛車先▲26歩を突くか‥突いたら角交換してくるかもしれない…78金で左側の守りを厚く…
駄目だ‥角交換させちゃいけない…ここはやっぱり▲66歩で角道を止める…
右手を出し、舞は▲66歩を指した‥肩から毛布が滑り落ちる‥礼美は空かさず毛布を掛けた…
「先手▲66…」と言う真実を、遮る様に、田は口元の扇子をパチッっと鳴らし
「聞こえなかったのか?」と言った
「え?何?」っと舞はその時、初めて盤面から目を離し田の顔を見た、田は盤面を見ていた
「100手持てばお前の勝ちにしてやる…」と扇子で口元を隠しながら言う‥「100手持てばな…」と静かに言った…
34の歩を持ち、34から35へと更に突き進める…「棋士無双神拳-三間飛車-」と
口元を隠しながら田は静かに言った
人間界で言う、石田流三間は…攻めを重視し、継続し切らせない、破壊力を持った戦法だった
※これまでの棋譜
▲76歩△34歩▲66歩△35歩
4手目迄