お○ま様に摂り憑かれて…大嫌いな「将棋」が大好きになっちゃった!!!~中盤③ お○ま様目覚~
5分後――――
先に目覚めたのは田だった「はぁ‥眠ってると余計に痛ぇ…」と言うと、流模以外のお駒様は全員、田を睨む
苺風は往復ビンタを田にぶち咬まし「これで『ハッキリ』と目が醒めたでしょ?」と言い
舞を支えている礼美に「礼美さんの分まで、叩いておいたよ」と、微笑みかける
「皆、もうすぐ『舞さん』が目覚めます…」と、流模の声が田以外の心に以心伝心で響く…
「で?何て応えたんだ?」と聞いたのは情二だった…「やはり『自分が指す』そうです」と流模が答えた…
「じゃぁ…勝てんのか?あの子…舞は勝てんだな?」と、龍樹が返すと「うぅ…」と舞が起きたのだった…
礼美は「大丈夫?もぅ少し寝てて良いのよ?」と、その心配は母の愛情と変わらない優しさを感じさせる
「大丈夫だよ」と言い、舞は起き上がった
礼美は走って行き、舞の家の冷蔵庫を探し、保冷剤を舞の頭に巻いた
5分‥脳はどれだけ働いているのだろうか…レム睡眠を使い、アドレナリン、ドーパミンをフルに分泌させ
ルモが舞に将棋を叩き込んだ‥大丈夫なはずは、なかった…
「1000局近く指したのか?そして全て記憶出来たのだろうか?そもそも脳は耐えられるのか?」頭に保冷剤を巻きながら
40度近い「知恵熱」を持った舞の頭に巻いたのだった
「ガシャガシャ!!!」と駒を将棋版に、積み上げ「駒の並べ方は知っているのか?」と田は舞に訪ねた…
「うん」と舞は言い国を探す…田も王を探しゆっくりと59へと運んだ…
舞はコクを51へポンと置くと「負けた時の条件が、有ります」と言い、続けて、金を探す
着物を捲り上げ、人指し指と中指から離れた駒が「ピシッッ」と59へ田を置く音が響き渡った
その指使いは、とても美しく、数多く指してきた事を物語るには十分だった
「パパとママ、おじいちゃんとおばぁちゃん、保育園のお友達に『有難う』を言う時間が欲しい」
「私を知ってる人の記憶を消して欲しい…条件はそれだけです」と、舞は言った
「どちらか1つだ…」と田が言うと、舞は「じぁ最期に言った方を…お願いします」と頭を下げ、駒を並べ続けていた
「話は最期まで聞け、糞ガキ‥『有難う』を言う時間位はあるだろう‥だから心配すんな…」と田が言う
「えぇ?本当?有難う…」と舞は田に微笑むが、その笑顔とは逆に
茜色の空が、薄暗い雲に覆われポツポツ雨が降り始めいた…