お○ま様に摂り憑かれて…大嫌いな「将棋」が大好きになっちゃった!!!~中盤⑭ お○ま様序終~
20年後――――(現在:序盤編⑫から続く)
その「女性」は商店街を抜け、駅に向かう「信号より‥地下道の方が一手早そう…」と、心で呟く
「良し、間に合った‥」と、改札へ向かう‥3列入口で「今日は、中飛車で行くか…」と真ん中へと選ぶと
手前の男性が「ポンピン!!!」と、ブザーが鳴り遅れる‥「『フリカ』位『チャージ』しときなよ!!!」と、心で思うと同時に、素早く右列入口へ移動する…
階段付近で、ホームから出発音が聞こえ、間に合わない事が見える‥「次の電車でも‥まだ間に合う…」と判断した‥が、落着かない…
「あぁ‥もぅ‥八百屋で一手損し、地下道で一手稼ぐが、改札で一手損か…やっぱり私『居飛車党』だ…」等と、考えてた
結果、1本遅れた事により、地下鉄の乗継ぎも遅れたが、何とか「目的地」へと辿り着く…
息を切らせ走る‥3階なら階段の方が早い‥受付迄後10m‥全力疾走で、その「女性」は走る…
受付に居た女性も「突っ込んで来る!!!」と思う程の勢い‥しかも額全快で「んー!!!」と言い目を開けていない‥思わず身構えていた…
「ひたっ!!!」と止まり‥「はぁはぁ…まだ12分前…間に合いますよね?」と、受付の女性に尋ねると、観戦者用の受付名簿を出す…
「違います‥出場者なので‥はぁはぁ…」と、まだ呼吸が荒い…
受付の女性は「貴女が『島田 舞』さん?」と問いかけ「「はぃ…はぁ…」と、少し呼吸が収まりつつ有る
受付の女性が、舞に「では身分書を拝見できますか?」と、問う声に「えっ!?」と、言うと同時に、「その声」に聞き覚えが有ったが…
今日に限って、運転免許書を「大財布」に入れ「小財布」だけを、持ちあわせいてた‥一瞬たじろぐが「あっ!!!」とまた声を上げ
「これのどれか?駄目ですか?」と、カバンを「ドンっ!!!」と受付台の上に置き、パスケースごと受付の女性に渡す
舞は「受付の女性の声に、聞き覚えが‥誰の声だったろぅ…」と考え、ネームプレートを確認する…
そこには「【7200 トミタ自動車】社長秘書室長:七色 流模」と書かれていた…
思わず「えぇ!!!【7200 トミタ】って世界のトミタ!!!しかもその若さで!!!」と声を上げ、更に続け
「もしかして‥『詰将棋天国』で有名な、詰将棋作家の『虹ルモさん』じゃ!?」と、感極まっている
七色 流模も「証券外務員1種‥内務管理責任者‥診療放射線技師…」と、顔写真付きの物を確認し「舞さんも‥その若さで資格凄いね…」と、少し驚く
それより「その女性(島田 舞)」が、身分を偽っていない事も解り「これは国家資格だから大丈夫です」とパスケースを返す…
ふと、カバンのキーホルダーの「田駒・国駒」に目が止まり、自然と呟く「それ‥まだ持ってたのね…」と…
舞は「ん?何故知っているの?」と思わず返すが、記憶が無い‥その時(幼少期)の事を思い出そうすると「偏頭痛」が起こる…
七色 流模も「あれ?私も何で見覚え有るんだろう…」と、2人して首を傾げる
流模は「記憶力・暗記力」共に自信があるが、思い出せない…
遠くの方から2人の女性が歩いてくる…「あぁあの子です!!!舞!!!」と、内林先生が舞を呼び、その横の女性に
七色 流模が「礼美さん!!!この子を会場までお願いします!!!」と言い、舞に「早く」と促す…
舞は「二十歳過ぎなんだから『この子』は無いでしょ!?」と思うが、不思議と違和感がない
小走りに、駆け出す舞‥それを見送り、ふと受付台を見ると、舞のパスケースが置いてある‥「あぁ!!!舞さんパスケース!!!」と叫んだが、会場に入り聞こえない
「あの子‥『ポカ(見落とし)』さえなければ‥結構指せるのに…」と、七色 流模が独り言を囁く
「んー‥何で私‥あの子の将棋‥知ってるんだろう…」と、思い出そうとする…が、出来ない…
先刻の「舞の二十歳位の顔」を思い浮かべる‥何故か懐かしい…
春から夏へと移り変わって行く‥「人間って、早いなぁ‥んー…何でこんな事思うのだろう?」とだけ、七色 流模は、呟いた