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断片の断片 <詩>

ヴェロニカ

作者: 壱宮 なごみ

メシアが重荷を背負いゆく

黄ばんだ布を引きずって

よろよろと ふらふらと

人形たちの(むち)振るままに


人の心は砂だった

言葉は全て波に(さら)われ

器ごと海に帰ってゆく


愛の深さで名高い父は

親子愛だけ失ったようで

『求めよ、さらば与えられん』

我が子の叫びが聞こえませんか

ああ それとも


私は与えたいのです

何故求めて下さらないのです

私の心は大理石

海に入れば沈みましょうが

その前に


メシア、あなたの背負う重荷は

一体いくつの砂団子なのでしょう

鉄の心で泳ぐクジラに

ぶつけてしまえばいいものを


真白に(にじ)んだお顔

やはり求めてはいなかった


中学の頃に読んだ「ヴェロニカ」というエッセイ(だったでしょうか)の内容が忘れられず、詩におこしてみました。教えを説くイエスを人々は称えていたにも関わらず、彼の「罪と罰」が公のものとして発表された途端、民衆は彼を糾弾します。罵声と蔑視の中、十字架を背負い歩く彼に駆け寄り、汗を拭いたヴェロニカ。そのハンカチには、彼の表情が映ったそうです。その表情を描いた画家がいて……というようなエッセイだったかと思います。大変ぼんやりした記憶ですが。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 周りの人間を『人形』としている所にセンスを感じました。 [一言] 「ヴェロニカ」というエッセイですが、遠藤周作さんの『聖書のなかの女性たち』に書かれているものではないでしょうか。 私は読ん…
[一言] 読ませていただきました。キリスト教がモチーフで、哲学的な比喩も盛り込まれていますね。このような詩も書かれるのですね。自分には少し難解でしたが、解説を読んで、少し理解できた気がします。なんとい…
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