06
目を開くと僕は体を「う~ん」と言いながら伸ばし違和感が無い事を確認する。
さて、今日はログアウト前に決めたように先ず鍛冶屋に行き武器の耐久値の回復が優先だなと考えた。
部屋を出て下に降りるとシルビナとパーナが起きていた。
「おはようございます」
「おはよう、おにいちゃん!」
「おはようさん、朝食はどうするんだい?」
「あ、いただきます」
「待ってな」といいシルビナは奥へと引っ込んだ。
先日のSP枯渇はもう味わいたくないので食べれるときに食べて置こうと思った。
パーナが「こっち!」と言いながら僕の腕をつかみ食堂へと案内され、パーナと話しながら待つとシルビナが三人前の食事を持ってきた。
朝食を三人でテーブルを囲いながら食べる。
客と一緒に食べるのはどうかと思う人がいるかもしれないが、僕は気にならない。
ただ少しの気恥ずかしさと懐かしさを感じていた。
朝食はホットドックみたいにパンに具材を挟んである、ただウインナーではなく野菜多めでスライスしたゆで卵がはさんである。野菜サンドかな?
パンは硬く歯ごたえがすごいが野菜の水分がパンをふやかし食べやすくしている
この世界には調味料が少ないのか塩とコショウで味付けされている。
昨日食べたハーブも入っているようで塩のしょっぱさ、コショウの辛さ、ハーブの苦味が合わさり口の中で調和する。
しかしそれらは全てわき役だと言うように隠れた主役、いや自分たちこそ主役だと言うように野菜たちのさわやかな甘さが口の中で主張する。
パーナの「美味しいね」と言う言葉に同意しながら僕は朝食をいただいた。
食べながら僕は昨日のドワーフの男達が言ってた、鍛冶師の店に向かうことを話した。
シルビナに鍛冶屋の場所を聞くとこのまま北に行った先、街の北門出口付近に鍛冶屋があるそうだ。
「行くなら私の名前で紹介といいな」とシルビナに言われお礼を言う。
朝食も終わり早速行こうとする前に、この街に数日は止まるだろうからと先に五日分の宿代、100コルをシルビナ払っておく。
「では、行ってきます」
「気をつけて行きな」
「いってらっしゃーい」
二人に見送られて僕は鍛冶屋を目指した。
◇◇◇
宿から出てそのまま北に進むと街の北門の出口が見えた。
街の出口には警備がその場に立っており、入る人間の監視してるか、ここを出る人間を監視してるのか。
進みすぎて鍛冶屋を見逃したのか僕は出口まで歩いて来てしまったようだ、戻ろうと後ろを振り向くと鎧を着た大きな男と当たった。
「おっと、悪い」
「いいえ、こちらこそすいません」
「おい!どこに目を付けてんだ、こらっ!」
鎧を着た男と僕が互いに謝り合ってると、男の後に居たチンピラ風の男が僕に向かって大声を上げた。
「出口付近でいきなり後ろを向くとか常識ないのか?あっ!」
「えっ?…すいません」
「ケンカ売ってるのか!?」
(ええっ何この人?怖い)
怒っているチンピラ風の男に対して、僕は謝ったが彼はより眉間にしわを寄せて睨んでくる。
男が僕に近づいて行き一触即発のような状態になっていると、男の仲間の一人が僕達に近づいて来て口を開く。
「止めなよ、ヴィノ。彼は見た感じ初心者ぽいし、それに狩りの時間無くなちゃうよ?」
「だけど、ネルスよ…」
怒鳴っていたチンピラ風の男はヴィノと言い、その場を治めようとした細目の男がネルスと言うらしい。
「君も出口付近で止まっていると通行妨害になるから気を付けてね。
それにヴェルダン、先ず君が止めるべきケンカだよ」
「…むっ、終わったか?」
「ハァー…まったく、じゃあ互いに悪いって事で解散。君もいいね?」
「はい、ご迷惑おかけしました」
「うん、じゃあ、みんな行こうか」
僕が謝ってばかりいるといつの間にか場を収められていたらしい。
ぞろぞろとその場から北門の街の出口に向かって行く中チンピラ風のヴィノと呼ばれた男が横を通り過ぎる時「ちっ!」と僕を睨み舌打ちしながら通り過ぎた。
しかし何を考えているのか最初にぶつかった鎧を着た大きな男、たしかヴェルダンと呼ばれた男がその場に残り僕に声をかけてきた。
「うるさい連中ですまないな」
「いいえ、こちらに非がありましたから」
「そうか?所で何故闘わなかったんだ?」
「えっ?」
「ヴィノと何故闘わなかったんだ?勝てただろ?」
聞こえなかった訳ではなく意味が分からなっかたので僕が聞き返したのだがヴェルダンは僕の方を見ながら聞き直した。
ユウの方が強いと信じて疑わない顔で。
「ええっ!?…特に戦う理由がないですし、それに…」
「……それに?」
「僕の武器修繕に出さないともう耐久値がありません」
肩をすくめながら僕が槍の先を叩きこれで答えとして良いか?といった感じでヴェルダンに言った。
「…そうか、残念だ…」
僕の言葉に少し眉尻を下げながらヴェルダン納得したようだ。
北門の方からヴェルダンを呼ぶネルス声が聞こえてきたのでヴェルダンはそのまま「じゃあな」と言いながら男たちが待っている北門へと歩いて行った。
僕は彼の考えが理解できず去って行く背中を見ながらその場にしばらく立ち尽くした。
ヴェルダン達との邂逅、これがこの後ユウにどう関わって行くのか、ユウはまだ知らない。
◇◇◇
ヴェルダン達と別れた後、僕は来た道を戻りながら歩くと一軒の看板が掛かった店を見つけた。
そこは木槌と剣、盾の絵が画いておりその下に僕には分からない文字が書いてある。
木槌の絵は恐らく鍛冶屋を表し、下の文字は、彼らドワーフの文字なのだろう、僕はそのまま店へと入って行った。
「……いらっしゃい」
「すいませんこちら、鍛冶屋でよろしいですか?」
「ああ……」
店に入ると周りには武器や防具が飾られており、昨日の夜見た男達のような姿をした、ガタイの良いひげ面の男に、歓迎されていない歓迎の挨拶をされた。
シルビナの店でも感じたように種族間の問題の話だろう。
「シルビナさんの紹介で来ました」
「…シルビナの?」
「はい、槍の修復を頼む場所を聞いたらこちらを紹介してもらいました」
「……ふん、見せてみろ」
鍛冶屋の男が僕に手を差し伸べながら槍を見せるように言った。
僕は背中に背負った槍をはずし男に渡すと男は難しい顔をしながら槍を見ている。
これが職人の顔なのだろう。
「おい!ボロボロじゃねえか!」
「!?」
急な大声に僕は驚き謝ろうとしたが、男が続けて言う言葉に口を閉ざさる得なかった。
「いったい何突いたんだ?槍自体は新品なのに、刃の部分がボロボロってよほど硬い物でも突かないとこうはならんぞ…」
「え~と、船でノープリウスと西でホーンラビットを数匹」
落としたり投げたりは言わない方がいいね、うん。
「…ノープリウスか…あれは硬えからな…素材持っているのか?」
僕は男にノープリウスの殻を渡そうと腰のポーチに手を入れ取り出した。
船で見たままの姿ではなく半分以下の大きさ、それでも30cmはありそうな姿で現れた。
「ふむ、……状態は悪くない…傷もそれほどなし…」
男がノープリウスの殻を見ながら殻の状態を確認していく。
確認が終わると男は僕に向かい
「槍の修繕は無理だ溶かして部品にしちまえ」
「え?そんな困ります」
「てめえが大事に使わねえからだろうが!どうせ投げたり落としたりしたんだろ、傷がひでえぞ!」
あ、ばれてーら
「道具を大事に使わねえ奴なんかに本当は作りたくねえが、シルビナの紹介だ、多少は面倒見てやる」
「あ、はい、ありがとうございます」
シルビナには足を向けて眠れません。
「ふん、ホーンラビットも仕留めたんだろ?手に入れた材料があれば出せ。
と言うより持ってる材料すべて出せ!!ひん剥くぞ!!」
追剥!?見た目がすでに強面なのにセリフがもう強盗か山賊だ!?
「は、はい!!」
僕は慌ててバックの中から昨日手に入れた物を全て出してホーンラビットの肉や薬草を取り出し「カウンターを汚すな!」と怒られた。
世の中理不尽だ。
「ふん、これなら作れるな…」
ホーンラビットの角を見ながらフムフムとうなずき一人納得する。
「あの~どうですかね?」
「あ?ああ、そうだな…殻と角後これを溶かして使える部分を部品にする。
あとは木材だが…まあいい、こちっで用意しておく」
「えっと殻は三つ全て使うのですか?」
「ああ、そうしないと強度が出ねえ」
…えっとミーシャに渡す分が…
僕は迷い槍を〔作る〕事に決めた。
ごめんミーシャ、今度違うもの渡す。
僕は「お願いします」と男に製作依頼をした。
「そうだな、製作費は500コルってとこだな」
た、高い!?持ち金全てじゃないか!
ホントにこの人は山賊か何かじゃないか?
「…おい、なんか失礼なこと考えてるんじゃないだろうな?」
「…いいえ」
僕は首をブンブン振りながら否定するが男は半目のまま僕を見ていた。
「あのな、これでもシルビナの紹介だからまけてんだぜ。
材料費を引いて製作費、それと木材費を入れて足が出ちまう」
「そうなんですか?」
それは疑って申し訳なかった。
「疑って申し訳ございません、それとありがとうございます。
そうだ、申し遅れました、僕はユウと言います」
「……やっぱり疑ってたのかよ、ハァー、もういい俺はガッドだ。
小僧、明日には槍が出来ているから取りに来い」
「はい、分かりました。ではお願いします」
僕はガッドに有り金全て渡し再度お願いしますと言い「おう」と言う言葉に僕はお礼を言ってその場を後にした。
◇◇◇
さて困った、製作を頼んで武器を渡してしまったので冒険者ギルドに行って依頼を受ける事が出来ない。
薬草採取にしてもホーンラビットと戦わなければいけないし……包丁使って戦う?あれ確か攻撃力あったよね。
僕はうーんと悩みながら道を歩いていると[シルビナの宿]まで戻って来ていた。
ログアウトする?流石に早すぎるなと思いながら店に入ると店の食堂には数人の筋肉…失礼、お客がいた。
昨日見たドワーフではなく違うドワーフのようだ。
そこをパーナが行ったり来たりしている。
手伝いかな?そう思っていると襟首を掴まれた。
後ろを振り返るとシルビナだった。
「あ、ただいま帰りました」
「暇そうにしているなら手伝いな」
「え?僕お客…」
「あ、文句あるのかい?」
「サーありませんサー!!」
来なと僕はそのままシルビナに引っ張られていった。
◇◇◇
「下処理終わりました!」
「よし、次に玉ねぎをみじん切りにしておきな!」
「はい!」
僕は現在調理場で第二コックとして働いている。
店は小さいが明るく楽しい仕事だ、いやなこともあるが僕は客の笑顔を見るために料理を作る。
そうか僕がこのゲームをやっている理由は料理をきわめていずれ自分の店を持つことだったんだな、うん、違うね。
「遅いぞユウ」「ははは似合ってるじゃねえか」「いいよ、キレてるよ」「美味し~!!」「ガッハハハハ!!」
今いる客は昨日会ったドワーフたちで僕の働く姿を肴に飲みながら囃し立てる。
ちなみに最後の笑い声は朝に会ったガッドだ。
てめー製作頼んだのに呑気に飲んでて出来てなかったら解ってるよな?
アレだぞ……うん、勝てる気がしない。お願いだから作っていてね、僕がひどい目に合うから。
その後僕のログアウトいっぱいまで手伝いが続いた。
手伝い賃としてシルビナから100コル貰い《料理》スキルも上がったし、まあ、いいか。
PN:ユウ
人種:新人種(人間)
性別:male
HP:100
MP:100+10
SP:100:100
状態:睡魔
STR:6+4
VIT:5
DEX:6+7
AGI:4+5
INT:4+2
LUK:5+3
BP:0
スキル:《槍》LV:2《料理》LV:3《鑑定》LV:4《調合》LV:1《風魔法》LV:1《跳躍》LV:3《投擲》LV:2
控え:
称号:《アイルの祈り》




