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どうしてこうなった?  作者: 英心
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007 主従関係は難しい

本日四話目です

 契約魔法を交わし、レイと共に親方の工房へと向かう。俺の装備は明日しか間に合わないが、ラビの装備の調整も必要だろう。それに彼女の服とか俺達の日用品も買わなくては成らない。考えれば、サバイバルグッズと宿代も二倍必要と成った訳だ。むむむっコインに羽が生えた様に飛んでいく。



「ほぉ~兎族とは珍しい。名は?」

「レイ」

「獲物は何が良い?」


 彼女は、親方と問いに答えず何故か俺の方を見る。


「っん!?さっきは何でも扱えると言ってたよね」

「確かに扱えるが、私に武器を買い与えるのか?」

「コイツは、その辺の奴より少し変なんだよ。自分の好きなを選ぶが良い」


 俺が戸惑っている間に親方が応えてくれた。だけど、変人扱いは困るぞ。これでも主人と成った身の上だ。威厳は大切だからね。


「主殿は何を使われる?」

「コイツは槍だ。それも魔導槍だぞ」

「それは、思っていた人物像より遥かに上だな。であれば、私は弓と剣もしくは剣と盾が良いと思うが如何か親方殿」

「どっちもアリだが、全部買っては如何だ?」

「其処まで許して頂けるのか?主殿」

「なに予算は既に俺と話が付いてる。後は鎧だが、寸法を測るぞ。明日一緒に納品で良いな」


 俺を無視して話が進んでる気がするが、どっち道理解できないし、此処は承諾済の顔をしておくのが得策だな。


 親方の工房を後にして、ラビの服やら日用品を買った。サバイバルグッズはレイ任せでも問題ないだろう。彼女の選定にまかせて財布と化す俺。此処までで金貨三枚に羽が生えて飛び去った。


「主殿少し聞いて良いか?」


 後は、宿に帰るだけと二人並んでいる所にラビが俺に尋ねて来る。


「猫娘では無く私だ?あの娘の方が若く男好きする身体で在ったのでは?」

「ルーシーだったかな。あの娘は少し俺を甘く見ていた気がするよ。懐柔できると思ったのかもね。其れに計算は苦手な様だったし。可愛さなら、レイも引けを取らないと思うけど。五人の中でも二番目!?タイプで言えば一番だったしね」

「戯言を!私は十八ですよ。少し薹が立ってるぞ。まぁ~子供はまだ産める年齢だが、人との間に子種は出来難いとも聞いては居るがソレでも……」

「えっ!十八って俺に半分以下じゃん。レイは十分若いし、可愛いよ。可愛いより綺麗って方が良いのかな。子種が出来難いは……オイオイ互いに打ち解けあっての話だな」

「誠、主殿は変わったお人の様だ。私は買われて良かったのかもしれんな」


 短い丸い尻尾がプルプルと揺れている。顔はスマして居るケド多分喜んでる気がした。コレがツンデレと言うモノかと中年オヤジは初体験している。



「おや、言付通り早速買って来たんだね。兎族とは珍しいケド、ラナと一緒じゃないか。雅かウチのラナに色眼鏡使う気じゃ無いだろうね!?」

「ラナちゃんだと俺の娘だよ女将さん。彼女はレイ。この娘でも俺の半分の歳さ。分は弁えてるツモリだよ」

「あら!じゃ~私が釣り合いの取れる相手って事かい!?」


 雅かのカウンター攻撃にKO寸前だ。助け舟としてラナが現れた事で俺は窮地を脱した。


「レキッス族の方ですか」

「そう言う貴女はネザーランド族の方ですね。コレから宜しくお願いします」

「滅相も御座いません。レキッス族の方とお近づき成れるなんて夢の様です」


 ラナが兎族とは驚いた。てっきり髪型と思ってた部分は短い耳だった様だ。思えば、兎には声帯が無い筈だが、普通に話をしていたな。今も俺達に聴き取り難い高音域で不思議なやり取りをしている。如何やら人で言えば、貴族と平民の様な間柄だ。ッと言うか、俺は種族問わず話が出来るのが得意なんだと今更ながら知った。多分知らない事はまだまだ在るんだろう。


 レイが増えた事で銅貨三十枚分を加算して計算し直す女将に銀貨一枚を渡した。ツリはラナにお菓子でも買ってくれと受け取らない。代わりに笑顔を返される。

さっきの対戦が復活する前に新しい部屋へ俺達は消える事にした。


「あぁ~……ベッドが一つなんだ」


 女将のあの笑みは対戦では無く策略だった。慌てて部屋代えを試みるが轟沈。俺達は少し小さめのダブルベッドの部屋に泊まる事に成る。


「悪いが、こう言う結果に成った。早めに部屋代え出来るよう頼んでは居るが、暫くは耐えてくれないか?」

「謀略で奴隷の身に落とされ、直ぐに主殿に買われた。コレも天の助けと思い受け入れよう。だが、私の体を蹂躙しようとも心まで奪ったとは思わないで欲しい。奴隷の分は弁えているツモリだ。唯、私も経験が無い故出来れば乱暴は避けて頂けると有難い」


 何を言ってるんだこの娘はとも思ったヨ。でも其れがこの世界の考えなんだと悲しくもアリ寂しくも在った。聖人君子で無いけれど、俺にだって道徳心位持ち合わせるさ。少しは安心してくれ!と言いたいケド、言葉で飾っても意味が無い。理解して貰うまで態度で示そうと心に誓う。


「ずっと気に成ってたんだけど、その『主殿』って辞めないか!?それとレイの言葉が少し硬いんだよな。俺達この先共に狩りをする仲間だし、少し緩い物言いは出来ないかな?」

「今、心まで奪われぬと言ったばかりにコレか。呆れてしまう」


 アッ!タイミング間違っちゃった俺?でも言葉にしちゃったし聞かれてるし遅いよね。

彼女の怒った目に反応し年甲斐も無く狼狽する俺。其れを見て険しい顔つきから少し和らいだ表情でレイは口を開いた。


「フッ。それらも含めて変な人でしたね主殿は。では、何とお呼びしたらお気に召すんでしょうかお聞かせ下さい」


 何が彼女の機嫌を直したかは解からないケド最悪な状態は避けられそうだ。

コレに乗じて話を進めよう。先ずは互いの呼び方から歩み寄りたいと俺は思ったのさ。


「ご主人様って反って酷くなってないか?」

「否、私達の関係で言えば、正当な呼び方かと。名前で呼ぶなど、余りにも馴合い過ぎますと外に示しが付きませんから」

「別に他人の顔色を見ながら生活する予定も無いし、正直レイを奴隷とは思って無いんだけど」

「ですが、旦那様もしくはエイジ様。それとご主人様は譲れません」


 結局答えが出る前にラナちゃんが夕食の時間が整ったと知らせるまで決まる事は無かった。

時間を割いて読んでくれて有り難う

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