街道で
二人が今歩いているのは、街と街をつなぐ街道のような場所。この辺境の村から王都に向かうには、徒歩で二か月ほどかかる。
「次の街までは歩かなしゃーないけど……。メイちゃん、馬は乗れる?」
一瞬メイと呼ばれたのが自分だと分からなかったが、すぐに首を横に振った。
「せやろなあ。どうしよか」
「歩きでは、ダメなの?」
そう聞いたメイリンにディドは答えた。
「歩きでもええねんけど、時間がかかりすぎんねん。上からの命令は三月っていわれてたんや。それを俺が半年言うて伸ばしてもろたんやけど、その半年も後ひと月やねん」
なぜか、という疑問を感じ、メイリンは尋ねると、ディドは決まりが悪そうな顔をした。
「いやあ、あんまりあの町が居心地よかったから、メイちゃん口説いてあそこで過ごすのもええなーなんて思ってるうちに、いつの間にか時が過ぎていったんや」
「さらっと私を口説くとか言っているのは、聞き流しておくことにします」
そしてぷいっと横を向いてしまったメイリンにディドはあわてて謝った。
「メイちゃん許して」
「さあ、今後のディドさんの行動次第で考えることにします」
それを聞いたディドは心底弱った顔をしたのち、破顔した。
「やっぱメイちゃんおもろいわ」