依頼
からん、と音がしてドアが開いた。
店の中でぼーっと座っていたメイリンは慌てて笑顔を取り繕った。
「いらっしゃいませ」
「おう、メイリン、今日もべっぴんさんやな」
いかにも、という好青年が顔を出した。
「褒めても何にも出ませんよ、ディドさん」
「きついなー、メイリンちゃん」
「それで、本日はどういったご用件ですか」
それを聞いたディドはさわやかな笑顔でこう言い放った。
「とびっきりの呪いを、我が友人に」
「わかりました」
平然と答えたメイリンにかえってディドは驚く。
「いいの?メイリンちゃん」
「ええ」
仕事ですから、と少し悲しげに微笑むメイリンはそれを見る人の心をとらえてやまない。
メイリンが働いているのは、村のはずれにある、とある呪い代行店である。流れ者のメイリンが仕事を探して村をうろうろしていたところを、この店を経営している若夫婦は引き取ったのだ。
夫婦はメイリンに仕事を強制はしなかったが、世話になっているのだから、と無理やりに頼み込んでほとんどの時間を店番としてメイリンは過ごしていた。
「それにしても、ヨーリさんたちは何をしてるのかねー。こんなかわいい子に店番させて」
本気で文句を言いそうなディドにメイリンは慌てていった。
「わたしが頼んでいるんです。店番をさせてくださいって」
「それは……」
ディドは息をのんだ。