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俺は猫たんのこと好きだけど、猫たんは別に俺のこと好きじゃないみたい

作者: 蒼城 春
掲載日:2026/03/24

猫カフェ行ってみたいです。



 猫カフェに行こう。


 そう思い立ったのは、猫動画を見ながらごろごろしていた今朝のことだった。


 俺にしては珍しく朝早くに起きられたはいいが、大学の講義もファーストフード店でのバイトもない。そんな滅多にない平日。

 せっかくなら目一杯怠けようとスマホを開くものの、生産性のない行動に疑問をもってしまった。

 猫動画を見ていても世界は何も変わらず、猫たんが今よりも幸福になることはない。精々、動画の再生回数が増えるだけだ。


 画面越しに猫たん見てもあんま意味なくね?

 なんなら猫たん触った方が幸せじゃね?


 じゃあ猫カフェ行くしかねぇよなぁ!!

 俺はその結論に至った。


 「推し活最高!!!」と言って人気のアイドルやアニメに大金をつぎこむより、俺は猫たんを飼いたい。


 言わずもがな、俺は猫たんが大好きだ。

 好きすぎて猫のことを「猫たん」呼びするくらいには。


 彼女よりも猫たんが欲しい。

 やべぇ薬より猫たんを吸いたい。

 だが猫たんを飼うお金の余裕など、俺のような貧乏学生の財布にも口座にもない。これが悲しい現実だ。


 だが!!猫たんを飼えなくても猫たんに触れることはできる!!

 そのシステムこそが猫カフェだ·······!!!

 ほんとうに猫カフェって制度を考えた人に感謝だな、土下座しておこう。




  (=^・・^=)   (=^・・^=)   (=^・・^=)




 猫カフェに来た。

 店舗の中に入ると、まず店員さんに注意事項を言い渡された。けっこうあるようだ、まあ猫たんも見知らぬ人間たちと触れ合うのだから、客に警戒心を抱くだろう。


 注意事項を頭に叩き込み、いざ征かんと覚悟を胸にカフェへと足を踏み入れる。



 猫たんが·······いっぱいいる········!!!



 俺は感動した。こんな数の猫たんを一度に視界に入れられるのかと。

 どこを見ても猫たん、猫たん、猫たん。なんだここ、楽園か?

 俺のIQは一気に降下し、表情筋が緩みはじめる。


「ハッ、猫たん·······!おいで!」


 近くを通りかかった猫たんを「どんなきみも受け入れるよ」オーラを出しながら手招きするも、ふいとあえなく無視されてしまった。

 素晴らしいキジトラ·······、触りたかった······。


 俺はそれからもさまざまな猫たんにアプローチをかけていったが、どの猫たんも俺には目もくれなかった。

 孤高のお姫様な雰囲気を醸す真っ白な子も、クールな金色の瞳が綺麗な黒猫も。

 見るだけでも幸福ではあるのだが、やはり猫カフェに来たからには猫たんに触りたい。


 まわりを見渡してみると、エサ(有料)をもったお客さんには猫たんたちも寄っていくようだ。膝に乗ってくれる気のいい子も中にはいるようだ。その人が羨ましい。

 課金をしないと気を許してやらないよ······と彼らが俺を笑っているように思えてきた。くっそぉ、俺だって、猫たんのためなら、ひいては俺のためには、課金だって厭わない!!


 エサ買いました。


 さて、これからどうすればいいんだろう。

 ペースト状のエサがスティックに入っているようだが、まずどうすれば猫たんがこっちに来てくれるのか。匂いでくるのかな?


 そう思い、その場から動かず待っていても一向に猫たんは来ない。

 行動を起こさねばなにも始まらねぇ!と猫たんが集まっているところに行っても、猫たんたちは蜘蛛の子を散らすようにどこかへ行ってしまった。


 え?まさか、一匹も触れずに帰るの?嫌すぎる。


 俺は負けねぇ!猫たんは気まぐれな生き物だ、今日はたまたま俺の近くに行く気がないだけかも。


 そうやって自分を鼓舞しても、沈みはじめた気持ちは浮上してこない。

 やば、目から水出てきそう。しっかりしろ俺。

 この気持ちはあれだ、締め切りギリギリの課題を前日から徹夜してその日の朝になって「あ、これ終わらんな(白目)」ってなった時と同じだ。

 そんなとてつもない徒労感、諦め、悲しさ。


 猫カフェ行って、こんな惨めな気持ちを味わうなんて………。

 猫たんは俺のこと、嫌いなんでしょうか………。


 俺は猫たんのこと好きだけど、猫たんは別に俺のこと好きじゃないみたい。



お読みくださりありがとうございます!!

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