俺は猫たんのこと好きだけど、猫たんは別に俺のこと好きじゃないみたい
猫カフェ行ってみたいです。
猫カフェに行こう。
そう思い立ったのは、猫動画を見ながらごろごろしていた今朝のことだった。
俺にしては珍しく朝早くに起きられたはいいが、大学の講義もファーストフード店でのバイトもない。そんな滅多にない平日。
せっかくなら目一杯怠けようとスマホを開くものの、生産性のない行動に疑問をもってしまった。
猫動画を見ていても世界は何も変わらず、猫たんが今よりも幸福になることはない。精々、動画の再生回数が増えるだけだ。
画面越しに猫たん見てもあんま意味なくね?
なんなら猫たん触った方が幸せじゃね?
じゃあ猫カフェ行くしかねぇよなぁ!!
俺はその結論に至った。
「推し活最高!!!」と言って人気のアイドルやアニメに大金をつぎこむより、俺は猫たんを飼いたい。
言わずもがな、俺は猫たんが大好きだ。
好きすぎて猫のことを「猫たん」呼びするくらいには。
彼女よりも猫たんが欲しい。
やべぇ薬より猫たんを吸いたい。
だが猫たんを飼うお金の余裕など、俺のような貧乏学生の財布にも口座にもない。これが悲しい現実だ。
だが!!猫たんを飼えなくても猫たんに触れることはできる!!
そのシステムこそが猫カフェだ·······!!!
ほんとうに猫カフェって制度を考えた人に感謝だな、土下座しておこう。
(=^・・^=) (=^・・^=) (=^・・^=)
猫カフェに来た。
店舗の中に入ると、まず店員さんに注意事項を言い渡された。けっこうあるようだ、まあ猫たんも見知らぬ人間たちと触れ合うのだから、客に警戒心を抱くだろう。
注意事項を頭に叩き込み、いざ征かんと覚悟を胸にカフェへと足を踏み入れる。
猫たんが·······いっぱいいる········!!!
俺は感動した。こんな数の猫たんを一度に視界に入れられるのかと。
どこを見ても猫たん、猫たん、猫たん。なんだここ、楽園か?
俺のIQは一気に降下し、表情筋が緩みはじめる。
「ハッ、猫たん·······!おいで!」
近くを通りかかった猫たんを「どんなきみも受け入れるよ」オーラを出しながら手招きするも、ふいとあえなく無視されてしまった。
素晴らしいキジトラ·······、触りたかった······。
俺はそれからもさまざまな猫たんにアプローチをかけていったが、どの猫たんも俺には目もくれなかった。
孤高のお姫様な雰囲気を醸す真っ白な子も、クールな金色の瞳が綺麗な黒猫も。
見るだけでも幸福ではあるのだが、やはり猫カフェに来たからには猫たんに触りたい。
まわりを見渡してみると、エサ(有料)をもったお客さんには猫たんたちも寄っていくようだ。膝に乗ってくれる気のいい子も中にはいるようだ。その人が羨ましい。
課金をしないと気を許してやらないよ······と彼らが俺を笑っているように思えてきた。くっそぉ、俺だって、猫たんのためなら、ひいては俺のためには、課金だって厭わない!!
エサ買いました。
さて、これからどうすればいいんだろう。
ペースト状のエサがスティックに入っているようだが、まずどうすれば猫たんがこっちに来てくれるのか。匂いでくるのかな?
そう思い、その場から動かず待っていても一向に猫たんは来ない。
行動を起こさねばなにも始まらねぇ!と猫たんが集まっているところに行っても、猫たんたちは蜘蛛の子を散らすようにどこかへ行ってしまった。
え?まさか、一匹も触れずに帰るの?嫌すぎる。
俺は負けねぇ!猫たんは気まぐれな生き物だ、今日はたまたま俺の近くに行く気がないだけかも。
そうやって自分を鼓舞しても、沈みはじめた気持ちは浮上してこない。
やば、目から水出てきそう。しっかりしろ俺。
この気持ちはあれだ、締め切りギリギリの課題を前日から徹夜してその日の朝になって「あ、これ終わらんな(白目)」ってなった時と同じだ。
そんなとてつもない徒労感、諦め、悲しさ。
猫カフェ行って、こんな惨めな気持ちを味わうなんて………。
猫たんは俺のこと、嫌いなんでしょうか………。
俺は猫たんのこと好きだけど、猫たんは別に俺のこと好きじゃないみたい。
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