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§3 噛み合い始める歯車


その後、さほど遠くない場所にある実家へ

久しぶりに寄ってみた。


健在だった両親は当時共働きで、平日の

日中は留守が多かった。


玄関内側で飼い犬が待っていてくれた。

車のエンジン音で私だと分かっていたのだ

ろう。

しかし、出迎えた彼は低い声で唸っている。

普段はおとなしい子なのに。


「どうした?ロック、俺だぞ?」

「ゔぅぅぅ…」


あからさまに機嫌が良く無い。

牙をむいている。

扉を開けるや否や、弁当箱などを入れて

いるトートバッグを

ひったくられた。


「食い物は入ってないぞ?おりこうにしな

きゃ?」


私の言葉には無反応に、ロックは袋から小

さな本、さっき買ったモノに噛みついた。


「ダメだよ、コレは美味しくない。やめな

さい!」


しばらく揉めたが、無事に奪還した。

ったく、甘やかして育てるからこうなる。

当のロックは、そっぽを向きながら父の

座椅子に丸まっている。

ふてくされた時に彼が見せる行動だ。


「ほらロック、オヤツだよ。美味しいだ

よ。」


好物のジャーキーを与えるも、完全にヘソ

を曲げていた。

オヤツはどうでもイイらしい。


ごめんな。


と頭を撫でようと近づいたところ、ロック

は涙を流して泣いていた。

そう、犬も悲しいと涙を流すのだ。

我々と変わらない。


よくわからないが、ここは辞去した方が

良さそうだ。


頂きもの、お裾分けを冷蔵庫にしまい、実家を後にした。


この時点では、古本もロックの事も、たいして気に留めていなかった。


それよりも帰宅して眠ろう、それが最優先だった。

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