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7.【私のやること】

ん?ここは…どこだろう...

私……


「イッ」

身体を起こそうとすると途端に痛みが走った。痛い、身体中が痛い...

少し動かすだけで、ビリビリする。

「おぉ、起きたようじゃな」

「あ、あなたは?」

「ワシはレイモンド・マイルズじゃ。お主が襲われたあの生物、バグズ共を殲滅することが仕事じゃ」

「ッ……」

お姉ちゃん、お母さん...みんないなくなってしまったんだ……

忘れたい、夢だったと思いたい記憶が現実だと突きつけられた気がした。


「間に合わなくて、救うことが出来んくて、すまんかった!」

マイルズさんはそう言って頭を深く下げた。この姿を見れば、あの状況が、あの生物がよく分からない私にだって、この人は精一杯やってくれたことはわかる。その上で助けられなかったのだと...


この人の所為にしてもみんなは戻らない。いや、悪いのはあの生物であって、この人ではないだろう。

「村のみんなは...」

「残念ながらお主以外はみんな亡くなっておった…」

あの状況では仕方がないのだろう...

私達が隠れている間も叫び声や建物が崩れる音が続いていたのだから。


「まだ幼いお主にこんなことを言うのは気が引けるが...」

マイルズさんは髭を掻きながら、言いづらさそうに話した。

「目覚めて間もないが、あれから10日経っておってな、この先の話をせねばならん…

お主は他に身寄りはおるか?今回のこと忘れることは出来んかもしれんが、親戚などのところで平和に暮らす方法がある。

もうひとつは、ワシらの組織、対バグズ組織BSFに入って、戦う...そんな方法じゃ...こちらは例え後方勤務でも大変な思いもすることじゃろうし、直接戦うのなんぞ、そりゃあ、危険じゃ…

悩むことじゃろうし、体調もまだまだ万全ではない。じっくり考えて「バグズってあの生物ですよね?」」

「う、うむ、そうじゃ、"バグズクラフト"という」


言葉を遮ってしまったが、私には、この選択に時間はいらなかった。

もう今更、忘れて平和になど暮らせない。そもそも身寄りなんていない...

全部失った…

でも奴らを倒す手段がある。ならば迷う必要などない。

私が奴らは許せないのだから。

「私はバグズクラフトを殺します」


「.........分かった。そのように進めよう」

かなり言いたいことはありそうな顔だったけど、了承してくれた。

「...ならば、お前さんさえ良ければなんじゃが………

ワシらの養子にならんか?」


ん?え!?ようし?

用紙?容姿?

唐突なことでよく分からなかった。

「えっと、?」

「えー、ワシらの子供として暮らさないか?ってことじゃ。

今後もワシらがいろいろと守ってやれるからの、どうじゃろか?」

確かに、この人のところにいた方がいいかもしれない。一瞬でバグズを倒してたし、きっとレイモンドさんは強いのだろう。そんな人に教わった方が早く沢山奴らを倒すことができる。


「あぁ、もちろん今の苗字を名乗ってええんじゃぞ!ッと!

ワシとしたことが、名前を聞いとらんかった…」

「あ、アリスです。アリス・ミスカ!

これからよろしくお願いします」

「おぉ、よろしくのう!養子の件もよく考えてから

「ミスカのままでもいいんですよね?」」

ここで決めていい。

私の家族はもういない。バグズとやらをいっぱい殺してやるんだ!そのためにもこれはチャンスだ!

「うむ、正確には戸籍上、ワシとワシの妻が両親となるから、アリス・マイルズになるんじゃが、ミドルネームをミスカとすれば何の問題もないじゃろ!」

「分かりました。ミスカが残るならそれで大丈夫です」

「では、そのように進めるとしようかの。

まずはゆっくり休んでおくれ!食事も用意するからの!」

そう言うと近くにあった書類を抱えて病室を出ていった。そういえば、レイモンドさんはずっとここで仕事をしていたのかな。

やっぱりいい人だろう、私の判断は間違ってないはずだ...



______________

side:レイモンド



あの子の目、決意に満ち溢れておった。ワシも長くこの仕事してきておる、見たことのある目だ。

「復讐か...」

「隊長?」

「おぉ、メイ!あの子目覚めたぞ!」

「ホントですか!?良かったです!ちょっと私も行ってきますね!」

「ご飯持って行ってやってくれんか!?」

「あ!消化に良さそうなの貰ってきますね!ん?...隊長?」

「あぁ、いや、ちとな、復讐を誓った目をしとったもんでなー」

「...そうですか、気をつけないとですね」

「うむ、死に急ぐようなことがなければ良いのじゃが...

あの子は聡い子じゃ、大丈夫だと思うのじゃが」

「それは私達が周りで見てあげるしかないでしょうね...

復讐だけに囚われずに、楽しいことを見つけて貰えるといいのですが...」

「そうじゃのぉ」

「とりあえず、私も話してきますね!」

メイは元気に病室へ向かう。

アリスもメイのこの明るさで少しでもほぐれてくれればよいのじゃがな。

復讐だけが生きる理由になることは、亡くなった家族も望んどらんだろうのう…

養子にしたことで、自暴自棄にならんよう守りやすくなるはずじゃ...

妻も心配しとったしのぉ。


「さて、手続き急がんとまたドヤされるわい!」


それはそうと、アリスには養成学校で友達でも出来るとええんじゃがな……

ご覧いただきありがとうございます。

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