4.【アリス・イン・ホームタウン】
ピッ
春も終わりこれから気温も高くなるであろう時期。
朝の日差しを浴びて、目が覚める…
「アリス、朝よー!」
ちょうど、お母さんが起こしにきたようだ。
「んー、おはよ」
「はい、おはよー」
6歳の私はやっとこ起きる。
眠い目をこすりならがら、台所に行くとお母さんが朝ごはんを用意してくれていた。
私の家は北欧の酪農な盛んな田舎町。世帯数も30件程だから村でもいいかもしれない。周囲が森に囲われ自然豊かな所だ。
お父さんは私がもっと小さい頃に狩りに出かけてから帰って来ないらしい。
みんなが探してくれたらしいが、帽子しか見つからなかったらしい。
川辺に残されていた事から、おそらく水難事故なのだろう。帽子は形見としてリビングに置いていた。
正直、私としては記憶にほとんどないので実感はなかった。実質今のお母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん、4個上のお姉ちゃんと5人で暮らしているのが家族だ。
「お姉ちゃんはー?」
「まだ起きないのよ、アリス起こしてあげて!」
「はーい」
お姉ちゃんはいつも起きれない…
全く、手のかかるお姉ちゃんだ。
「おねーちゃん!起きて!!」
お姉ちゃんの身体を揺さぶりながら、声をかける。
「もうちょっとぉ」
「だーめ!またお母さんに怒られちゃうよ」
「んー、んぅぅう、わかったよぉぉ」
すごく眠そうな声ではあるが
ようやく動き出したので、台所に戻る。ちょうどお爺ちゃんとお婆ちゃんが朝仕事を終えてきたようだ。
「おぉ、アリスは朝早いのぉ」
「おはようさん」
「お爺ちゃんお婆ちゃんおはよ」
「私よりみんな早いじゃん?」
「子供は寝とるもんじゃよ、ワシらは勝手に目が覚めるんじゃ」
「んー、みんなおはよぉぉ」
「あ、エリスやっと起きたね。とんでもない寝癖だねぇ。」
「私もお母さんに似た銀髪ならサラサラだったんだよ?」
「お父さんは金系だったけど、サラサラではあったぞ?」
「そうよ、エレンは寝起きでなにもしてないだけでしょ!?それに銀髪じゃなくて、プラチナブロンドよ」
「お父さんはそこに惚れたのかなぁー!?」
「私の魅力は髪だけじゃないの!」
「えー、こんなに怖いのに!?」
「この子は…お父さんはお調子者ものじゃなく、冷静で勇気ある人でしたよ!?」
「えー!?」
「はいはい、まず、朝ごはん食べましょ!」
「「「「いただきます」」」はい、いただきまーす!」
「お母さん今日はなにするの?」
「ふっふー、2人とも今日は隣町に行く日だよ」
「やったー!久しぶりだねー!?」
「楽しみー」
隣町はここよりも大きい町でアイスを売ってる店がある、帰りに買ってくれるのが楽しみなのだ。
「帰ってきたらヤギの餌やり忘れちゃダメよ」
「ねー、アリス、ヤギって紙食べるらしいよー」
「そうなの?」
「うん、昨日学校で話してた」
「うちのヤギも紙食べるの?」
「食べれるけど、あげちゃダメよ!ヤギさんがお腹壊しちゃうからね、ヤギさんも食べたい訳じゃないはずよ!」
「えー、お母さんそうなの!?」
「そう!エリスがトマト嫌いなのと一緒かな?」
「ゲェー、じゃあ、ヤギさんも食べない方がいいね!!」
「お姉ちゃんはお腹壊す訳じゃないんだから、食べたらいいのに」
「気持ち悪いからきっと壊してるの!」
「エリスがもう少し大人になったら食べれるのかもねぇ」
「お婆ちゃん、どうしたら大人になれるの?」
「そうだねぇ、経験を積むこと……かねぇ」
「経験をツム??」
「色々と何かに向かって頑張ってみれば分かってくるよ」
「むずかしい」
「よくわかんないや」
____________
ふっふふふーん、アイス買ってもらった。
「アリスのチョコアイスちょっとちょうだい」
「いいよー、お姉ちゃんのもちょっとちょうだいね」
「しょうがないなぁー」
「こぼさないようにしなさいよ!道が悪いんだから」
「ガタガター!」
「ガッタガター!!」
ただでさえ道はでこぼこしているが、運搬用のトラックに乗った私達は時折、身体に浮遊感すら覚える道を帰っていた。
「アリスほっぺについてるよ」
「え!?」
「ほらここ!全くまだまだお子ちゃまなんだからっ!」
朝起きれないお姉ちゃんに言われてしまった……
悔しい!
「お姉ちゃんだって起きれない癖にー」
「私は起きれないじゃなくて、起きないの!アリスが来るまでね!」
「ずーるーいー」
「はははっ、姉を起こすのは妹の仕事なのだ!」
「あれ?煙?」
村の東の方から煙が上がっている。
なんだろう?
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