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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、夢破れる〜異世界生活九十五日目②〜

 僕は火や水・風や地の属性魔術は修得出来ない。

 そう言われて既に戦力アップの道筋が途絶えた気がしました。


「……マリアンさん、因みに何故かお聞きしても?」

「はい、勿論です。ゴーシィ様は異世界から来たので、我々の血が一滴も入っていません。火を操るドワーフの血も水を操る我々マーフォークの血も」

「あぁ、成る程…………」


 さっき言われた「ヒト族はどの全ての種族の血を持っているから全て使えるが得意では無い」の原理的からすれば、そもそもこの世界の人間では無い正に純粋なヒト族の僕はその血の一切がこの身に宿っていません。

 そりゃ使えないのも当然でした。


「そうなると僕に使える魔術はあるんですか?」

「え?エルクリアやゴルゾフ、それにフラウの話ではゴーシィ様は既に魔術を使われているのでは?」

「…………ん?」


 どういう事でしょうか?

 僕は魔術どころか魔力も何も分からない。

 そんな人間……この世界で言うヒト族が魔術を既に使っている?


「あら?違いましたか?」

「え〜っと…………。皆さんはどうして僕が魔術を使っていると?」

「それは―――」


 マリアンさんが聞いたところによれば、三人は皆フラウさんとの戦っている時に使用した《傀儡遊戯(クグツユウギ)》の事を言っている様でした。


「三人の話から推測するに、ゴーシィ様が使われているのは身体強化に属する魔術だと……」


 僕的にはただの身体運用のつもりだったのですが、まさか魔術に片足突っ込んでいるとは思いもしませんでした。

 まぁ、考えてみれば母上や他の人達からも「脳を弄るとか何処の魔法だよ」って言われた記憶がありますね…………。


 僕はマリアンさんに《傀儡遊戯(クグツユウギ)》含む身体運用法の原理を伝えました。


 全てを聞き終えたマリアンさんは難しい顔をしていました。

 少し考えた後、彼女は口を開きます。


「ゴーシィ様、その魔術……あまり使わない方が良いかもしれません。それはあまりに危険過ぎます。自らの命を削る程に……」


 マリアンさんの言う事に心当たりがありました。

 と言うより心当たりしかない。


 マリアンさんの曰く、脳に関してはあちらの世界は勿論この世界においても詳しい事は分かっていない。


 そんな緻密なものを外部から無理矢理手を加えた場合、どんな後遺症……所謂バグが起こるか分からない。


 この世界の身体強化魔術の中でも禁忌に近い。

 それ程危険なものである。


 と。


「ですが、それ程の魔術を既に使えるのであれば話は変わってきます。ゴーシィ様、正式な身体強化魔術を覚えませんか?」

「正式な身体強化魔術ですか?」

「はい。本来、身体強化魔術は脳では無く文字通り身体能力の向上をするものです。どんなに身体の深くを強化する場合でも精々感覚器迄。それでしたら今使われているものより安全且つ平時の戦力強化にはうってつけだと思います。勿論、多少能力上限は下がりますが、それでも使用していない場合とは比べ物になりませんから」


 彼女の言う事は尤もでした。

 確かに僕の身体運用法はデメリット付きであり、土壇場での使用以外はあまり使えません。

 それが効果が落ちるとは言え、戦闘中常に使えるのであれば爆発力は無くても継続戦闘力が上がります。

 《童ノ戯レ(ワラベノタワムレ)》も同じですが、あれも所詮は脳神経の集中化なので、身体への負担は少なくても脳へのダメージはありますし。


「ありがとうございます。でしたら身体強化の魔術の修得を目指そうと思います」

「賢明なご判断、こちらこそ感謝致します。では、まだ時間も早い事ですし、先ずは魔力を感じるところから始めましょう」

「え?今からですか?」

「何かご都合が悪いですか?」

「いえ……特には……」

「でしたら早速始めましょう。あれですよ、異世界で言う「善は爆速で駆け抜けろ」ってやつです!」

「駆け抜けたら駄目ですから!それ間違ってますからね!?」

「そうなんですか?」


 変な諺教えた奴誰なんですかね?

 僕は正しい諺をマリアンさんに教えつつ、提案通り早速魔術修得の基礎を学ぶ為に家の外へと向かいました。




「では、やっていきましょうか」

「はい、お願いします…………ってどうやって?」

「魔力を感じて下さい」

「…………ん?」


 あれ?

 マリアンさんって思ったより教えるの下手?

 いや、教えてもらう側が言うのも烏滸がましいんですけど、流石にねぇ?


「あ、そうでした。ゴーシィ様はそもそも魔力がどんなものか分からないんですよね、忘れていました」


 下手なんじゃない、天然なんだ、この人。

 見るからに養殖では無いですが…………いや、忘れて下さい。


 それよりその「てへっ」って言い出しそうな表情で小首を傾げる動作って美人がやると破壊力凄いですね。


「では、ゴーシィ様に質問です。この世界に来て以前の世界と空気……と言えば良いですかね?それが違う感じがしましたか?」

「空気……ですか?自然豊かで、排気ガス……って言っても伝わらないですね、空気が澄んだ感じがして…………あと、少し()()と感じました。何故かは分かりませんが……」

「良いですね。その少し重いと感じたそれが二つの世界の違いです。つまり、それが魔力です」


 そうか、これが魔力。

 二つの世界に様々な違いはあれど、基本的には同じ様な環境でした。

 最初は植生の違いか空気中の成分の違いかと思っていましたが、その違和感そのものが魔力だったとは盲点でした。


「やはり、感覚が鋭い方は直ぐに感じられますね」

「他の異世界人はそうでは無かったんですか?」

「はい、他の方々は魔力を感じる迄に早くて一年は掛かりました。しかも誰かしらの補助付きで漸く……です」

「おぉ!マジかぁ…………」


 これは生まれた環境に感謝ですね。

 ……感謝以上に恨みも無くは無いですが……。


「では次の段階です。ゴーシィ様、魔力を取り込んで下さい」

「……具体的には?」

「思いっきり深呼吸を繰り返して下さい。勿論、魔力を取り込んでいるのを意識しながら」


 言われた通り、魔力の重さを意識しながら思い切り息を吐いて深く息を吸ってを繰り返しますが、何も変化は感じられません。


「すみません、何も変わらないのですが……」

「あれ?おかしいですね?…………あぁ、そうです。ゴーシィ様。()()()()()()()()()()()()

「え〜っと……普通にしてま―――」


 言い切る直前、ふと思い出した事がありました。

 僕ですら忘れていた事をこの人は直ぐに分かったんですか?

 どうやら、原初の四種族の長たる者の実力を見誤っていたみたいですね。




 その底が見えない実力に若干の恐怖を感じながら、改めて僕は()()()ゆっくりと深呼吸をし始めました。

 主人公の身体運用法の詳しい説明は【剛士、少し本気を出す〜異世界生活七日目③〜】に掲載してあります。


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