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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、魔術を習いたい〜異世界生活九十五日目〜

「魔術を教えてほしい…………ですか?」

「はい、是非お願い出来ませんか?」






 あの会議から一夜明け、僕は今マーフォーク族の居住区にあるマリアンさんの家にお邪魔していました。


 会議で今日からの方針は決まりました。

 しかし実際にここへと攻めてくる場合、騎士団が数名かそれ以上を失ったまま強行軍する事は考えにくく、仮に最初からそのつもりであればもっと生死問わずもっと大勢見つかる筈。

 正確な総数は想像でしかありませんが少数だった場合、数名を失った事を一旦報告に戻り、全滅であれば帰ってこないのを不審がって追加の人員を派遣する手筈を整えると思われます。

 どちらにしろ、またこの森に来るとしてもある程度時間が必要になるでしょう。


 そう結論付けた時に、ふと「そんなに焦る必要は無いのでは?」と思い、巡回に参加をしつつ空いた時間で自分の実力向上を測ろうと考えました。


 新しい二振りの相棒の取り扱いは勿論、体捌きの確認・何度かの実戦を踏まえた上で森の中での対人戦闘シュミレーションやそれを想定した模擬戦も取り入れる予定です。


 しかしどれも確認程度にしかならず、実際の戦力アップにはなりにくいので、何か新しいものをと考えた時に思い至ったのが魔術の修得でした。 

 一朝一夕で身に付く事は無いと分かってはいますが、何かしらのキッカケになればと思って直ぐ行動に移す事にしました。


 最初はこの村で一番頼み事がし易いゴルゾフさんの下へ。

 そもそも種族の長が一番気楽なのは可笑しいけど今更気にしない方針。


 話を戻してゴルゾフさんの下を訪ねると、昨日の話で巡回の強化をするためにミスリル製の武具をひたすら鍛えており、とても頼める状況じゃなかったので諦めました。


 エルクリアさんも同様、各種族への伝達の役割や指示出しで忙しそうなので却下。


 フラウさんはそもそも何処にいるか分かりませんでした。


 消去法で申し訳無いとは思いつつも、マーフォーク族への挨拶も兼ねてマリアンさんの下を訪れ、今に至る。って感じです。






「う〜ん……。教えるのは構いませんが、早々身に付くものではありませんよ?先日フラウが言っていた様に私達からすれば直ぐですが、ヒト族の寿命からすると長い時間が掛かりますし……」

「勿論承知の上です」

「そうですか……。それでしたら微力ながらお力になりましょう」

「ありがとうございます」


 とは言っても、僕はまだまだ魔法に関しても魔術に関して無知も無知。

 初歩の初歩から教えてもらう事になりました。


「魔法と魔術の違いは先日エルクリアがお話した通りです。魔法は実に強力ですが、我々原初の四種族かその血脈の者しか使えませんので魔術を中心にお話していきます」


 そうしてマリアン先生による魔術の講義が始まりました。




 魔術は魔力を感じる事が出来れば誰にでも使える。

 その代わり、修得に時間が掛かる。


 これは先日説明を受けた通り。


 魔力は精霊の力、細かく言えば力の残滓である。




「力の残滓?」

「そうですね……。分かり易く例えれば人間で言う糞尿や汗等の老廃物に近いですね」


 …………はい?

 魔力は精霊の老廃物?


 あまりに夢の無さ過ぎる現実に心が折れかけましたが、あくまで分かり易く例えてくれただけだから厳密には違う…………筈。


 違いますよね?


 受け止めきれない現実に負けそうになりながら、説明をしてくれているマリアンさんに失礼の無い様、続きに耳を傾けます。




 魔術は魔法の劣化版で優れている点は二つだけ……と説明はされたが、実はもう一点ある。


 それは汎用性の高さ。


 何度も言うが、魔法は使用者その者の素養に左右される。

 その為、火は得意でも他は使えない。


 だが、魔術は使える魔術修得難度を気にしなければ自分で選べる。

 更にあくまで技術であるが故、その有用性は火を熾す・水を出す・明かりを照らす等多岐に渡る。


 また、魔法と違い火・水・風・土等の所謂属性はあくまで後付けなので、純粋な魔力そのものを使った運用が可能。

 魔力を使った周辺探知や身体能力の向上・以前クラリスが使った防御魔術もそれに当たる。




「簡単に説明するとこんな感じですね。私達マーフォークの中でも血が薄い者は魔術によって水を操る事が多いので、属性の付与は種族によって得意不得意がありますが、ヒト族であればそこは問題無いでしょう」

「問題無いんですか?」

「はい。ヒト族は人間において最後に生まれた種族。つまり、全ての種族の血を少量ではありますが持っていますので、どれでも使えます。逆に言えばどれも得意では無い。と言えますが……」

「う〜ん、問題ある様な無い様な…………」


 ともあれ、魔術の概要は何となく理解が出来ました。


 ここから、僕どんな魔術を修得するべきかを聞いてみようかと思った矢先―――


 マリアンさんはその豊満な胸の前でパチンと手を合わせ、何かを思い出したかの様な表情をしました。


「そうでしたっ!ゴーシィ様はヒト族ではありますが、それ以前に異世界の御方でしたね」

「はい、そうですが……」

「でしたら先に結論から申し上げます。ゴーシィ様には属性を使った魔術は使用出来ませんので、それ以外を探しましょう!」






 …………どうやら、僕は火を出したり風を刃にしたりは出来ないみたいです。

 ファンタジー世界なのに嫌に現実的な世界だなぁ、おいっ!

 既に若干チートに片足突っ込んでる魔術を修得しようとしていますが、前途多難な様です。

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