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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、男泣きする〜異世界生活九十七日目②〜

「これは……ローゼン国……私達が住んでいた国の騎士団の鎧です…………」


 フィズさんが言い切った事で皆押し黙りました。


 ローゼンの騎士団が何故この森にいるのか?


 蟻達の残党狩り?

 それなら問題はありません。

 寧ろこの村を守る事に繋がりますから。


 魔獣や魔物の間引き?

 それも同じ理由で、問題は特に無い。


 しかしそうじゃ無かった場合、それが問題。


「フィズさん、目的は……分かりますか?」

「いえ……。ただ、あくまで推測の範囲を出ないのですが思い当たる事は二つあります」

「今は少しでも情報が欲しいの。何でも良いわ、教えてくれる?」


 エルクリアさんに促されたフィズさんは二つの可能性を離してくれました。


 一つ目は第一王女であるクラリス殿下による僕とフィズさんの捜索命令。

 第一王子に出発を命じられた際、最後迄僕の身を案じてくれていた事を思えばそれも有り得ます。


 二つ目は僕達がこの村に来る事になった蟻の駆除を命じた第一王子ボルドー殿下による捜索命令。

 ただ、一つ違うのはクラリス殿下はあくまで僕達の救助を目的とした捜索。

 それに対しボルドー殿下の捜索の理由は―――


「僕とフィズさんの安否確認……。主に僕がちゃんと死んでいるかの確認でしょうね」

「…………恐らくは」


 異世界人である僕が国に……いや、自身を害するもしくはクラリス殿下に組する可能性があると踏んで今回の件を仕組み、完全に亡き者にしたかどうかを確かめたいのでしょう。


「はぁ……、なんとも懐の小さい王子殿下なのかしらね……。人間一人に対してそこ迄執着するなんて……」


 エルクリアさんの呟きに他の三人も首を縦に振って同意しています。

 正直僕も同感です。


「フィズの言った可能性のどちらであっても、はたまたその他の可能性であっても私達が出来る事はそう多くないわね」

「そうだな。とりあえず、ヒト族がこれ以上いないか湖の近く迄は見回りをするか?人員と増やさねぇと」

「ボク達が空から見て回るの!そうすれば楽なの!」

「でもそれだと木の下に隠れてたら見落としやすいのではありませんか?」

「そうだったの!この森は木がいっぱい有りすぎて地面が見えないの!」


 各種族の長だけあってこういったトラブルにも直ぐ様対応しようと話し合いを始めました。

 しかし、一番手っ取り早いであろう解決策を誰一人出しません。


「あの……」

「あぁ゙!?おめぇ、何か良い案があんのか?」

「そもそもの話、僕と彼女を探している可能性が高いのであれば、僕達を村から追い出せば片付く話ではありませんか?そうすれば村に被害は及ばないでしょうし」


 そう、単純に僕達がこの村にいなければ良いだけ。

 そうすれば村が見つかる事も、見つかって襲撃される事もありません。


 その発言をした僕に対し、エルクリアさんとゴルゾフさんは少し怒った顔を、フラウさんはキョトンとした顔を、マリアンさんは困った様な顔をして此方を見てきます。


「何を言ってるのかしら?貴方はもう立派な村人でしょう?」

「おめぇ等は既にこの村の一員だぞ?」

「そうなの!最初もボクは襲っちゃったけど、今は襲われて良いくらい信用しているの!」

「フラウ……襲う意味が違いますよね、それ。それは兎も角、村の仲間を我が身可愛さで追い出したりする事はしませんよ」


 若干一名爆弾発言をしていた気もしますが、皆それぞれに僕達を村の一員として考えてくれていたようです。


 それを聞いて、僕は何て馬鹿な事を言ったのだろうと後悔しました。


「良い?貴方達が追われていた場合でもそうじゃ無い場合でもこの村の周辺にヒト族がいた事実は変わらないわ。その事実だけでも村にとっては大きな問題なの。今更二人がいようがいまいが大した問題じゃ無いの。分かるでしょう?」

「……はい。失言を失礼しました」

「あぁ゙!?おめぇの事だ、どうせ儂等の事を考えてたんだろ?水臭ぇじゃねぇか!」

「ボクより強いヒト族なら寧ろこの村を守ってほしいの!」

「ハルピュイアとマーフォークは未だに二人を受け入れられない者がいるかもしれません。ただ、少なからず貴方を受け入れている者がいる事も忘れないで下さいね」

「…………はい」

「ゴーシィ様?もしかして泣いてます……?」

「え…………?」


 僕の頬にはいつの間にか涙が伝っていました。

 この世界に来て、ここ迄暖かい言葉を掛けられたのは何回あったでしょう?

 フィズさんやクラリス殿下みたいに個人で優しい言葉を掛けてくれた人は確かにいました。

 でも、こんな大勢の人に受け入れてもらえた事は……いや、もしかしたらあちらの世界を通しても初めてかもしれません。


 生まれ育った環境はあまりに現実的では無く、人との繋がりを紡ぐよりも人の命を断ち切る人生だった僕。

 多少は仲良くしていた友人知人はいましたが、ここ迄信頼してもらえた事は無かった様に思えます。


 内心、男の……僕なんかの泣き顔の何処に需要があるんだよ。と、思いながらも嬉し涙は少しの間止まる事はありませんでした。







 今後、事ある毎にそれを弄られ続ける日々が待ち受けているのをを今の僕はまだ知らないままで……。

 実はフィズやクラリス以外にも信頼してくれた人達がいましたが、あくまでビジネスライクと主人公は考えていたので今回登場していません。

 忘れられているのは誰でしょうか?

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